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「日本一オーラのない監督」が語る、リーダーの条件

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NIKKEI STYLE

日経DUAL
先日実施された小室淑恵さんの講座「チームで勝てるリーダー術! 女性管理職養成講座」に登場したのは、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二さん。早稲田大ラグビー部監督に就任した後、部員から「日本一オーラのない監督」と言われながら、翌年から2年連続で全国制覇を成し遂げた中竹さんが語る、「リーダーに必要なこと」とは。

"選手から怒られる監督"。時代の先端を行く

私は早稲田大学のラグビー部の監督時代に、選手から"日本一オーラのない監督"という名誉あるあだ名をつけられたほど、オーラのない監督でした(苦笑)。

当時から私が大事にしていたのは「怒らない指導」で、「どんなことがあっても怒らずに相手の話を聞く」というのが私のスタイルでした。ここ最近になって「怒らない指導が正しい」と広くいわれるようになりましたが、私はまさにそのパイオニアだったわけです。パイオニアですから、「怒らない指導」よりハイレベルで、「怒られる指導」をしていました。つまり、監督が選手から怒られてしまうわけです(笑)。

選手から、「監督、いいかげんにしてくださいよ」「言っていることがさっきと違うじゃないですかっ」などと言われるほど、"選手が自律している状態"でした。

でも、この状態が長く続くと選手にナメられるようになります。事実、中には私に「死ね」「監督やめろ」と言ってくる選手も出てきました。陰で言われているならまだいいのですが、だんだんと私に面と向かって「死ね」と言う選手まで現れたのです。そして、とうとうコーチ陣のほうが怒り出し、「そんな選手は退部させるべきだ」と言い出す始末……。

しかし、私はここでも自分のスタイルを貫くことにしました。「いやいや、待てよ。選手達の話をちゃんと聞いてみようよ」と。

コーチ陣からは大ブーイングの嵐が巻き起こりました。「そんな調子だから選手から『死ね』なんて言われるんだよ」とも言われました。

暴言を吐いた選手とじっくり対話した結果は

私は「死ね」と言ってきた選手と、1対1で話してみることにしました。最初は彼による一方的な主張が続きました。「監督、あなたはここがダメです」「早く辞めてください」「俺も一緒に辞めますから」……。私はただただ黙ってそれを聞いていました。

そうやって1時間くらい彼の話を聞いてから、私は口を開きました。

「色々聞いて本当に参考になった。だけど、お前が言いたいことって一つだよね。『なんで俺のこと、見てくれないんですか』だよね」

それまでふんぞり返っていた彼の態度が変わりました。

私は続けました。

「私はおまえが頑張っているのを知っている。4軍ではいつくばっているのを知っているよ。でもおまえを今、上にあげるとまたすぐ手を抜くでしょ。おまえにずっと言ってきたよね。大事なのはスキルじゃなくて、スタイルだって」

「おまえは試合で調子がいいときと悪いとき、頑張るときと頑張らないときの間にブレがある。プレイヤーとしてスタイルをちゃんと持ってほしかったんだ。だからもう1週間は、4軍で頑張ってほしいと思っていたんだ」

彼の目から涙がポロポロと落ちました。すべてが図星だったんでしょう。

私は練習や試合中の彼をずっと見ていました。彼がいかに頑張って後輩を指導して、チームを勝たせるために恥も捨ててまい進しているかということを、私は分かっていたんです。

逆境を乗り越えて、チームの雰囲気が変わった

本来ならば、監督に「死ね」などと言った選手は、即刻、退部です。でも私はスタイルを貫くと決めていたので、じっくり話を聞き、選手にその後の判断を委ねました。

「どうする、おまえ。1日待ったりはしないよ。今からどうするの」と聞くと、彼は「私はあなたの悪評を立てて、誤解を生んでしまいました。土下座をしてチームにお詫びしたい」と言い出しました。

私は「土下座でもなんでも、自分でやりたいならやってくれ」と伝えました。さらに、彼は最初「辞める」と言っていたのですが、「続けたいのなら続けていい」と伝えると、「謝った後に辞めずに続ける」と言ってくれました。

そこからです。その選手もチームも、劇的に変わったのは。

実はというと、彼と話をする前日、私は「どうしたらいいのだろう」と悩みに悩んで、よく眠れませんでした。でも、自分が普段から選手達に「逆境のときこそ自分のスタイルを発揮しろ」と言っていた。「今がまさに私にとっての逆境だ」と思い、「自分のスタイルを貫けばいい。しっかり話を聞いて考えさせて、最後は本人に決めさせよう」と腹をくくりました。まさに自分のスタイルに助けられたわけです。

逆境の前に、自分のスタイルを見つける

人は自分から好き好んで逆境に入っていくことはできません。逆境は不意に向こうからやってきます。ですから調子がいいうちに、「自分のスタイルは何か」と考えておくことが大切です。

自分のスタイルを考えろと言われると、つい何かにおけるナンバーワンを目指してしまいがちです。でもそれではスキルを追求することになってしまいます。スタイルを見つけるのは非常に時間がかかるので、ぜひ今からスタートしてもらえたらと思います。きっと3年後くらいには、自分だけのスタイルを見つけられているはずです。

私の怒らない指導というスタイルは、チームが優勝するまではみんなに散々否定されました。でも、その指導法の結果、チームが優勝したら他人からの評価はガラッと変わりました。世の中は意外とそういうものです。ですからスタイルを見つけたら、自信を持って続けてほしいと思います。

リーダーというと「何でも知っていて、常に正解を持っていて優れている人」というイメージがあるかもしれませんが、これからのリーダーは違いますので安心してください。

リーダーは「ピラミッド型」から「プラネット型」へ

これまでのリーダー像は「ピラミッド型」と言えるものでした。トップダウンで指示を出すので、物事が伝わるのが速く効率がいい。でも、リーダーが解けない問題に出合うと、そのチームは立ち往生してしまうという欠点がありました。また、メンバーがいいアイデアを持っていても、そのアイデアがなかなか採用されないという弊害もありました。

これからの時代に必要とされているのは「プラネット型」の組織です。この組織ではメンバーは縦方向ではなく、横方向につながり合い、課題に応じてリーダーが流動的に変わります。つまり、プロジェクトごとにその案件を得意とする人がリーダーになっていくのです。こんな組織の手にかかれば、多少時間はかかっても、どんな問題にぶつかっても最適な解答を導き出すことができるでしょう。

これからの時代、組織は従来よりも複雑な問題に遭遇していくでしょう。そのために、組織はこのプラネット型のほうが相性がよいのです。

中竹竜二さん
 (公財)日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター/U20日本代表ヘッドコーチ。TEAMBOX代表取締役。1973年、福岡県生まれ。早稲田大学人間科学卒業後、単身渡英。レスタ―大学大学院社会学部修了。三菱総合研究所でコンサルティングに従事した後、早稲田大学ラグビー蹴球部監督、ラグビーU20日本代表監督を務め、自律支援型の指導法で多くの実績を残す。 現在は、日本ラグビー協会コーチングディレクター(初代)として、指導者の育成、一貫指導体制構築に尽力している。次世代リーダーの育成・教育や組織力強化に貢献し、企業コンサルタントとしても活躍している。主な著書に『自分で動ける部下の育て方-期待マネジメント入門』(ディスカヴァー携書)、『部下を育てるリーダーのレトリック』(日経BP社)など。

(ライター 西山美紀)

[日経DUAL 2016年3月14日付記事を再構成]

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