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年収1000万円は困難でも、投資で数千万円なら現実

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2016/4/22

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かんべ・たかし 早大法卒。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)、日興証券(現・SMBC日興証券)を経て、1999年にFPアソシエイツ&コンサルティングを設立。金融教育に関する政府委員なども歴任

日本人は「運用しないと資産は殖えない」という事実と向き合う必要がある。日銀のマイナス金利導入で金融市場が荒れ、投資初心者は腰が引けるだろう。それでも運用すべき理由は2つある。

1つ目は、もう労働だけでは蓄財しにくいからだ。年収1000万円を稼げるのは上位5%、1500万円なら1%に過ぎない。経済的豊かさを示す1人当たり国内総生産(GDP)では、かつて最上位グループにいた日本は最近では主要国で最低レベルだ。経済成長が鈍っている日本では仕事でお金を殖やすのは難しい。だからこそお金にも働いてもらうしかない。

■長期積立なら荒れ相場はむしろ味方

2つ目の理由は、長期運用を始めるには、足元の市場環境はむしろ「追い風」ということだ。下のグラフは毎月一定額を投資信託で積み立てた場合の試算だ。運用期間中の基準価額の推移で分類すると、運用成績が良いのは、積立期間の前半に価額が下がり、後半に上がるパターン。相場が悪い(=安い)時は投信を多く購入でき、平均取得単価が下がっていくからだ。

株でも理屈は同じ。年初からの株安がニュースになっているが、変動率は20%程度で、株式が本来持つリスク量の範囲内だ。長い目で見ると運用開始の好機だろう。

長期運用では分散も重要なポイントだ。先進国と新興国、株式と債券、円と外貨、と分散すれば、運用利回りは究極的には世界経済の成長率に近付く。投信なら少額から買えるので「長期の分散積立投資」は誰でもできる。年収200万円の派遣社員でも数千万円の資産を作るのが決して夢ではなくなる。「上位5%」の年収1000万円を目指すよりもはるかに容易なはずだ。

ただし、運用中は定期的なリバランスが不可欠な点は預貯金とは異なる。最初に決めた資産構成(ポートフォリオ)は相場次第で大きく動く。例えば株高で株式比率が上振れた場合は利益を確定して安全資産に移す必要がある。これで運用資産のリスク量は一定に保たれ、相場の振れにも強くなる。頻度は毎年1回が目安だ。

「マイナス金利」を奇貨として、運用について真剣に考えるきっかけにしよう。

(日経マネー編集部 嶋田有)

[日経マネー2016年5月号の記事を再構成]

日経マネー2016年6月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)

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