iPhoneの「低電力モード」を検証 消費が半分以下に
iPhoneのiOS 9には「低電力モード」機能が搭載されている。低電力モードでは、アプリのバックグラウンド動作、全体の処理や計算を行うCPUが低速で動作するなど一部の機能が制限されるが、動作時間を延ばせる。そこで通常モードと低電力モードで、バッテリーの持ちを比較してみた。
iPhoneを低電力モードにするには
iPhoneを低電力モードで使用するには、2つの方法がある。1つは、ホーム画面の「設定」→「バッテリー」とタップして表示される画面で、「低電力モード」をオンにする方法。低電力モードで動作しているときは、画面右上のバッテリーアイコンが常に黄色で表示される。
もう1つは、低電力モードへの移行を促すダイアログに従って低電力モードにする方法だ。このダイアログは、バッテリー残量が20%以下になったときに表示される。
任意のタイミングで低電力モードにしたいなら、前者の方法ということになるが、これをSiriにやってもらうと簡単だ。Siriを起動して「低電力モードをオンにして」や「省電力モードにして」と言えば、設定画面を開くよりも早い。
低電力モードで制限される機能とは
低電力モードは、一部の機能を制限またはオフにして消費電力を抑える。具体的には、主に以下のような制限がある。
・メールの取得が手動のみになる
・アプリのバックグラウンド更新がオフになる
・アプリの自動ダウンロードがオフになる
・視差効果などのビジュアルエフェクトが制限される
・「Hey Siri」でSiriが起動しなくなる
これらの制限を見る限り、iPhoneの機能を大きく損なうことなく、バッテリー消費を抑えられると思われる。
12時間経過したときのバッテリー残量は?
実験では、外出してから12時間後に帰宅する日を2日間設定し、その間「iPhone 6s」を使ってみた。そして、通常モードと低電力モードを1日ずつ使うことでバッテリーの減り方を確認した。
外出時の行きと帰りに約30分、BluetoothイヤホンでApple Musicの音楽を聴き、昼休みの1時間はSafariでニュースサイトなどを巡回して記事を読んでいた。それ以外は、1時間に1回5分程度メールをチェックしたぐらい。それぞれのモードで、きっちり同じことをしていたわけではないが、筆者の平均的なiPhoneの使い方だ。
はじめに低電力モードで1日使ったところ、12時間後の帰宅時にバッテリーが73%も残っていた。この時点で、低電力モードだとバッテリー動作時間が驚くほど延びることが確信できた。いくらiPhoneを操作しなかった日でも、今までこんなにバッテリーが残っていた記憶がないからだ。使用したバッテリー量に着目すると、12時間で27%ということになる。
次に、通常モードで1日使ってみたところ、帰宅時のバッテリー残量は40%だった。これまで使ってきた感覚からしても、今回のような使い方だと大体この程度だろう。
低電力モードは使いどころが肝心
丸1日、低電力モードでiPhoneを使って最も不便に感じたのは、「メール」アプリを起動したときにしか、新規メールを受信しないことだ。
通常モードなら、プッシュまたは一定間隔で新規メールを受信しているので、ロック画面を見るだけで重要なメールが届いているかどうかが分かる。しかし、低電力モードでは、メールアプリを起動するまで新規メールが届いているか分からない。メールサーバーをチェックして新規メールがあれば受信という作業も、通常はバックグラウンドで行われているので気にならなかったが、待たされると結構長い時間に感じた。
低電力モードでも、「メッセージ」アプリや「LINE」のメッセージは、即時受信できていたので、即時性のあるメッセージのやりとりはできるが、すべてのメッセンジャーアプリが対応しているかどうかは不明だ。それ以外のアプリの通知にも同じことがいえる。
低電力モードは、バッテリーでの動作時間を延ばす有効な手段。ずっとオンにしていてもよいが、通常モードよりも若干不便になることは覚えておこう。
(ライター 伊藤朝輝)
[日経トレンディネット 2016年3月4日付の記事を再構成]
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