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婚活は一時休止 無理せず縁のある人を探したい

キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論

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NIKKEI STYLE

こんにちは。ライターの大宮です。他人の「愚かしい言動」は正論で裁きたくなるものですが、自分が同じようにされると素直に耳を傾ける気持ちになれません。なぜでしょうか。人間という生き物は合理性だけで構成されてはいないからでしょう。

自分でもバカな行いだと分かっているけれど、どうしようもなくてやってしまうことだってあるのです。それを頭ごなしに叱られても「あなたに私の何が分かるんだ」と反発するだけでしょう。お互いに弱い人間であることを認めた上で、「バカな君も好きだよ」と寄り添ってくれれば、少しずつでも健全な方向に進めるかもしれません。

恋愛は「愚かしい行動」が起きやすいですよね。周囲からは「あんな人のどこがいいの?」とあきれられるような相手でも、ほれてしまったのだから仕方ありません。理屈で人を好きになるわけじゃないんですから。手ひどい目に遭って別れたとしても、「そういう恋もあるよ。(あなたにとっては)よっぽど魅力的な人だったんだろうね」と穏やかに聞いてもらえれば、自分の中の様々な感情をちょっとずつ整理することができます。そして、まったく同じ失敗はしなくなるでしょう。

広告制作会社で働く山中弘子さん(仮名、38歳)の話、でしたね(前回記事はこちら)。あるパーティーで知り合った既婚者の浩一郎さん(仮名、40歳)と4年近くにわたって交際し、一度は結婚の約束をしたものの裏切られて別れることになりました。

どんな裏切りだったのか。浩一郎さんに国内旅行に誘われたけれど仕事が忙しかったので断ったら、彼は別の女性と泊まりがけで旅行へ。そのままその女性と付き合い始めて(以前から浮気していたのかもしれません)、妻とは別れたけれど弘子さんと再婚するのではなく、その女性と結婚したのです。ちょっと考えられない行動ですよね。

「あのとき、私が無理をしてでも旅行に行っていれば別れずに済んだのかな、と思うことがあります。大切なものはちゃんと大切にしなくちゃいけないんですね」

弘子さん、その感想は浩一郎さんが泣きながら言うべきものですよ! あなたには何の落ち度もありません。自由すぎる浩一郎さんとの恋愛も含めて、ですけどね……。

「はい。楽しかったことも辛かったこともありました。浮気されたときは『どうしてそういうことができるんですか?』と問い詰めましたよ。彼は『すみません』と謝るばかり。でも、好きになったことは後悔していません」

婚活がストレスに 無理に妥協はしない

弘子さんは浩一郎さんと昨年の春にきっぱり別れて、その勢いで結婚相談所に入会しました。いいぞ、その調子だ!

ただし、弘子さんの好みは一貫しています。仕事を楽しそうに前向きにやっている若々しい男性、です。

「相手に求める年収を650万円以上にしていたのですが、相談所の人にアドバイスをされて500万円以上に変更しました。でも、収入の話で気まずくなりたくはないし、年収が高い人のほうが生き生きしているのは事実だと思います」

弘子さんの希望に沿ってお見合いを組むと、相手は50歳前後の男性が中心になるそうです。そうすると「若々しい」という基準に引っかかってしまいます。

「顔のシミとかがどうしても気になってしまって……。やっぱり10歳も年上の男性となると難しいですね」

通算で15人の男性とお見合いをして、弘子さんが「いいな」と思ったのは1人だけでした。海外経験も豊富な42歳。見た目も考え方もはつらつとしています。しかし、その人からは弘子さんがふられてしまいました。

いま、弘子さんはその結婚相談所を休会しています。特に「婚活」はしていないそうです。

「子どもが欲しいので焦って結婚相談所に入りましたが、この年齢では会える男性が限られていて、かえってストレスになると感じました。あまり深刻に考えずに、縁があった人と一緒に暮らせればと思っています。今後、もし誰かと結婚することになっても仕事は続けます。浩一郎さんとのお付き合いを通して、既婚者も浮気をする可能性があると痛感したからです(笑)。自分の食いぶちはちゃんと持っておかないと気持ちが保てません」

僕は弘子さんと旧知の間柄ですが、久しぶりに会った彼女は以前よりも小粋にキレイになった気がしました。恋愛や結婚をあきらめたわけではないけれど無理に「妥協」はしない、自分の生活は自分でなんとかするから――。その覚悟が弘子さんの背筋をしゃんと伸ばしているのかもしれません。

大宮冬洋(おおみや・とうよう)
 フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/

「キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論」バックナンバー

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