スマホ用Windows、オフィスやPCとの連携で優位
HTML5準拠、高性能になったブラウザー
Windows 10の目玉の1つは、ウェブブラウザーが従来までの「Internet Explorer(IE)」から新しい「Microsoft Edge(Edge)」に変わった点だ。
パソコンではIEでも不便を感じるケースは少なかったが、過去のスマホ用OS「Windows Phone」のIEはスマホ向けページが表示されないなど課題が多かった。Edgeになってかなり良くなった印象だ。
Windows 10 MobileのEdgeは、iOSやAndroidと同様にFLASHには対応しない。だが、HTML5への対応度は高い。ブラウザーのHTML5にどれだけ対応しているかを点数で表示できる「HTML5TEST」をWindows 10スマホ(KATANA 02)のEdgeで試したところ、447点だった。iOS 9.2.1のSafariは407点、AndroidのChrome 48.0.2564.95では518点なので、447点はなかなかよい点数だ。
JavaScriptの処理も速い。近いハードウエア・スペックのAndroidスマホのChromeブラウザーと比べて遜色ない。
スマホが生きる音声コンシェルジュ
Windows 10は音声コンシェルジュ機能「Cortana(コルタナ)」を搭載している。パソコンにもあるが、スマホのほうが便利に使える。
Cortanaは機能的にはiPhoneの「Siri」やAndroidの「Google Now」に近い。「今日の天気は」や「今日の予定は」などとCortanaに音声で質問すると、マイクロソフトの検索サービス「Bing」やスケジュール管理サービス「Outlook」などの情報をベースに回答してくれる。Cortanaに「メモを書く」と言うと、その後の音声を認識してメモアプリ「OneNote」に文字として記録する。
面白いところでは、「おみくじ」と言うと、おみくじが表示される機能がある。Cortanaはパソコンでも使えるが、目が覚めてすぐベッドのなかでその日の運勢を確認できるという点で、スマホとの組み合わせは相性がいい。
使い物になるようになった地図アプリ
日本で人気の地図サービスといえば「Googleマップ」だ。アップルは以前、GoogleマップをiOSで採用していたが、2014年に提供開始したiOS 8から独自の地図アプリ「マップ」となった。当時、特に日本ではその機能の低さが話題となった。
マイクロソフトも、Windows Phone時代の日本の地図は品質が低かった。だが、今回のWindows 10 Mobileでは、Googleマップが使っているのと同じゼンリンの地図情報を用い、ルート案内などのナビゲーションにも対応するなど、かなり使えるようになった。ルート案内では電車の乗り換えや徒歩、自動車に対応する。
iOSの場合、グーグルが提供しているGoogleマップアプリを使う方法もあるが、Windows 10 Mobile向けにはGoogleマップも含めてほぼGoogleのアプリは提供されていない。標準のマップアプリが使いものになるかどうかは非常に重要だ。
OSリリース時点でこのクオリティーなら、今後のアップデートでかなりいいものになることが期待できる。
機能充実した純正オフィスアプリ
Windows 10 Mobileの最大の強みは、ワードやエクセル、パワーポイントといったマイクロソフト・オフィスの純正アプリが使える点だろう。最近ではマイクロソフトはiPhoneやAndroidにも無料でオフィスアプリを提供しているが、今後も無料で使い続けられるかは、マイクロソフトのさじ加減次第だ。
オフィスの各アプリは、すべて機能を簡略化したモバイル版となっているが、かなりの機能を持っている。たとえばワードなら文字修飾や画像挿入などの編集だけでなく、編集履歴の記録などもできる。ほとんどの用途で問題なく使えるだろう。
加えて、マイクロソフトではオフィス・アプリとクラウドの連携を強化している。Windows 10スマホからクラウドストレージサービス「OneDrive」などに手軽にデータをアップロードできるほか、出先のパソコンにオフィスソフトがなくても、ブラウザー版オフィスを利用することでシームレスに作業が進められるようになっている。
パソコンとの親和性は高い
Windowsパソコンを使っている人なら、Windows 10スマホとの連携機能によって、より便利に使える。
分かりやすいところでは、どちらのWindowsにも「Microsoft 映画&テレビ」や音楽アプリ「Groove ミュージック」、ゲームアプリ「Xbox」などがプリインストールされており、Microsoftアカウントにログインしていれば購入したコンテンツを共有できる。
音楽や動画などをパソコンからスマホに転送するのも簡単だ。映画&テレビやGrooveなどのアプリでも可能だが、USBケーブルで接続すれば、パソコンからエクスプローラを使ってコピー&ペーストできる。パソコン操作に慣れている人なら、このほうが簡単だろう。スマホにもエクスプローラと同じような操作性の「ファイル」アプリがある。
このほか、Windows 10スマホの着信をパソコンで受ける機能や、パソコンからWindows 10スマホのテザリングのオン・オフなどができる機能も用意している。これらの機能はiPhoneやAndroidでもアプリなどで実現可能だが、Windows 10スマホにはパソコンとスマホのOSを一緒に開発しているという強みがある。連携機能では、マイクロソフトが優位と見ていいだろう。
(ライター memn0ck)
[日経トレンディネット 2016年2月25日付の記事を再構成]
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