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熊野の聖地へ 滝に祈ってパワーチャージ 癒やしと発見の「滝ガール旅」

2016/4/2

 滝は、自然を最も手軽に、そして深く体感できる最強のパワースポットです。全国津々浦々、滝をテーマに旅を続けている「滝ガール」の坂崎絢子さんが、働く女性のための癒やしと発見に満ちた「滝」をめぐる女子旅をご紹介します。
 この春、新しいチャレンジをしたい。そんなときに「決意」と「パワー」をくれる滝を求めて、熊野の聖地に向かいました。

 滝ガールの旅は「癒やし」がひとつのコンセプトなのですが、今回はどちらかというと「決意」や「祈り」がしっくりくるかもしれません。美しい姿を眺めて癒やされるだけでなく、自分自身と向き合いたいときや、祈りを捧げるときにも滝は味方になってくれるのです。

 紀伊半島の南部、和歌山県那智勝浦町。熊野古道が通る山中、那智川中流にかかる大滝が、那智の滝です。日本の滝百選、日本三名瀑のひとつに数えられ、前回ご紹介した富士・白糸の滝と同様、ユネスコの世界遺産の一部にもなっており(『紀伊山地の霊場と参詣道』2004年7月登録)、まさに日本を代表する滝です。

 この滝の魅力は、何といっても圧倒的な神々しさ! 133mもの高さ(一段の滝としては日本一の落差です)から直下に落ちる滝を眺めていると、心身が浄化されていくような気分になります。それもそのはず、滝そのものが「ご神体」として、古くから信仰対象となっているのです(熊野三山のひとつ、熊野那智大社の別宮「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」のご神体です)。

■歴史を感じつつ、祈りを捧げる

 俳人、高浜虚子は「神にませば まことうるわし 那智の滝」と詠みました。やはりここは観光というより「参拝」するような気持ちで向き合いたい滝。熊野信仰の奥深さや歴史もセットで味わいながら訪ねてみるといいと思います。

 まずは、石畳に風情が残る熊野古道の大門坂から出発。

 立派な杉木立。熊野詣が盛んだったという平安時代をイメージしながら、467段の石段を登っていきます。30分ほどの古道ウォークです。

 途中、遠くに那智の滝が見える場所があります。ここがかつては十一文関という関所で、那智山の入山料をとっていたそうです(現在は、通行料はかかりません)。

 茶屋やみやげ物屋が立ち並ぶ表参道を抜けたら、まずは熊野那智大社でお参り。熊野三山の一つで、かつて熊野信仰の中心地として栄華を極めたところです。

 熊野那智大社のお隣は、那智山青岸渡寺。神仏分離がされる前は、熊野那智大社と一体の寺院として発展し、西国三十三所観音霊場巡礼の第一番札所です。1163年に平清盛もお参りしたという案内もありました。

 青岸渡寺では三重塔とセットで滝を眺められるスポットがあります。まさに「信仰の滝」というイメージですね。

 境内から滝方面への古道を下っていくと那智の滝の参道へ。飛瀧神社では参拝料(300円)を納めて、滝見台で間近に滝と向き合いましょう。

 ……と、その前にお瀧水をいただき、身を清めます。那智山からのおいしい湧き水で、「延命長寿」のご利益もあるといわれています。

 そして、いよいよ滝見台へ。ドドド……身体の奥にまで響く轟音(ごうおん)。ここから見上げる滝の姿は、まるで意志をもってうごめく巨大な白龍のようです。滝を「さんずい」に「竜」という漢字で表すことにも思わず納得。周囲には細かい水しぶきがキラキラと舞って、晴れた日の昼間にはくっきりと虹も出現。神々しさも倍増です。

 私はいつも、この滝に喝を入れてもらっています。そして不思議と自分のなかに新たな「決意」が沸いてくるような気がするのです。平安時代や鎌倉時代の人は、ここでどんな祈りを捧げていたのでしょうね。

 「那智の滝」の御朱印をいただくのも参拝の記念になります。滝が表紙になったオリジナルの御朱印帳が素敵です。

■滝参拝のおともに、那智の伏流水と絶品ソフトクリーム

 さて、滝までの参道を歩くとそれなりの距離になりますので、疲れを癒やすためにも甘いものが欲しくなるところです。

 「那智ねぼけ堂」さんは、那智山からの伏流水を使ってお菓子をつくっているとのことで、那智の滝参拝のあとに訪れるにはぴったり。人気は秘伝製法の黒飴焦がし蜜を使ったお菓子なのですが、なかでも私がお気に入りなのがこちらの「黒飴ソフトクリーム」です。

 黒飴づくりで培った技術を生かしたとのことで、優しい甘さにほのかな香ばしさが絶品ですよ。

■熊野は滝の宝庫、はしご滝もおすすめ

 那智の滝は日本随一の大観光スポットですが、山深い熊野エリアには、ほかにもおすすめの滝がたくさんあります。那智の滝と同じく日本の滝百選にも選ばれている名瀑で「はしご滝」をしてみてはいかがでしょうか。

 こちらは、三重県熊野市の布引の滝。

 4段に分かれた滝で、落差は計53m。滑らかな岩を滑り落ちる様子が布を垂らしたように見えることから、その名がつきました。

 まずは道路脇から遠望でそのスケールを体感したら、滝つぼの方まで降りることができます。

 宝石のように輝くエメラルドグリーンの滝壺に、そっと消えていく水の模様。落差があれだけあるのにもかかわらず、こんなに静かな滝壺も珍しいです。那智の滝と比べると、優雅で女性的なイメージの滝なので、私は「女神様の滝」と呼んでいます。

 訪れる人も少ない場所なので、プライベート気分でゆったり滞在できます。女神様に見守られた空間は、ヨガや瞑想などにも最適。滝の音や風に触れながらの「滝ヨガ」は、集中力が高まって効果抜群です。

 熊野三山を始めとしてパワースポットといわれる場所が密集する熊野エリア。働く女性にも人気の旅先ですが、さらに滝という切り口で訪ねれば、より深く歴史や自然を味わうことができます。パワーチャージ間違いなしの春の滝ガール旅に出かけてみませんか。

坂崎絢子(さかざき・あやこ)
 編集者、ライター。2015年まで日経BP社に在籍。学生時代から10年以上、趣味の滝めぐりで日本全国を行脚。2013年に自身の滝活動の情報発信サイト「takigirl.net」を開設。日本の滝のポテンシャル、楽しみ方をウェブサイトや雑誌で情報発信するほか、都会で暮らす女性向けに滝めぐりのレクチャーや滝yogaイベントを開催している。 http://takigirl.net/

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