ラップ型投信、じわり拡大 コスト低めの商品も登場

日銀によるマイナス金利政策の導入を受け、定期預金の金利がゼロ%目前に下がってきた。これまで株式や外貨への投資には消極的で、地元の地方銀行の定期預金などに資産を預けていた人の間で人気を集めているのが「ラップ型投資信託」だ。国内外の幅広い金融商品に分散することでリスクを低減しやすいうえ、少額から始められる点が魅力で、購入する人がじわじわと増えている。

ラップ型投信は富裕層向けの投資一任サービス「ラップ口座」の仕組みを投信に応用した商品だ。国内外の債券や株式などを組み合わせて「安定型」「成長型」など目標利回りに応じて複数の商品を用意している金融機関が多い。ラップ口座のようにプロと個別に相談して運用対象を決められないが、1万円から投資できるなど少額から始められる場合が多い。

これまでラップ型投信は数多くの金融商品を組み合わせている分、残高に応じてかかる信託報酬が年1~2%程度と比較的高めだった。運用成績次第では利益を得られなくなる可能性もあり、敬遠する人も多かった。

こうした不満に応える商品の一つが、りそなホールディングス傘下の3行が1月末から販売を始めた「R246」だ。ラップ型投信として初めて目標利回りを明示し、購入者が考える運用目標に合った商品を選びやすい。

国内外の株式や債券、不動産投資信託(REIT)で運用する。目標利回りは短期金利プラス2%の「安定型」、同4%の「安定成長型」、同6%の「成長型」の3種類。信託報酬もそれぞれ年0.6%、1%、1.1%と最低水準だ。「短期売買でなく、中長期的な保有を促す」(りそなアセットマネジメントの西山明宏社長)商品だ。

りそなは流行商品の販売を主眼に置いた営業から、運用資産の目標利回りを基に適切な資産配分を提案する営業への転換を進めている。今回の投信はこうした方針の下での中核商品という位置づけだ。日銀がマイナス金利政策の導入を発表した1月29日から取り扱いを始め、3月22日時点で販売額は3商品合計で200億円を超えた。

こうした商品を取り扱う動きは地銀にも広がっている。静岡銀行は昨年11月からドイツ銀行グループと共同で企画したラップ型投信の販売を始めた。主な投資先を上場投資信託(ETF)にすることで信託報酬を抑えた。商品名は「プラチナラップ」。静岡銀全店と静銀ティーエム証券、ドイツ証券で買える。

投資初心者向けの安定型と成長型から選択できる。安定型はリスクの低い先進国株式や国債、投資適格社債が投資対象で、3カ月ごとの基準価格をマイナス3%までに抑えることを目指す。下限の目安を設定する商品は珍しく、購入者の安心感に訴えかける狙いだ。京都銀行も今年1月から安定型と成長型の2種類の取り扱いを始めた。

ラップ型投信は少額から分散投資ができるため、投資初心者が定期預金に代わる商品として検討しやすい。元本を割り込むリスクを認識したうえで、手数料や運用構成、目標利回りなどを比べながら、自分に最も合った商品を選びたい。(小川和広)

[日本経済新聞朝刊2016年3月26日付]

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