新浪氏が米企業相手でもひるまない理由新浪剛史サントリーHD社長に聞く(上)

1回の授業で、教授に指名され発言できるのは、90人中、せいぜい3分の1の30人ぐらい。ハーバードの成績は相対評価で、下位何%かは強制的に退学させられます。だから必死です。あまり指してもらえない時は、授業終了後に教授に会いに行き、「もっと僕を指してください」と直談判しました。

発言しても内容が伴わないと低い評価になるので、予習も徹底的にやりました。毎朝6時に起きて、7時半までクラスメートと勉強会。夜も10時から夜中の2時ぐらいまで再び勉強会をこなしてから寝ます。

睡眠時間は平均して2、3時間。金曜日には疲労がピークに達して頭の中が思考停止状態になり、授業中、教授やクラスメートの言っていることが、さっぱりわからない。ある時、体調がよくないなと思ったら、血尿が出て、焦りました。たまたま弟が医者をやっているので、弟に相談したら、「精神的なものだろう」と。それくらいきつかった。まさに修行です。今振り返っても、ハーバードの1年目はもう二度とやりたくありませんね。

それでも1年目の後半になると、授業にも徐々に慣れ、自信もわいてきた。

3、4カ月たって耳が慣れてくると、米国人のクラスメートが何を言っているのかほぼ完ぺきに理解できるようになりました。すると、実は彼らは、そんな大したことを言っていないということがわかってきたんです。本当に優秀な人もいますが、大半は、プレゼンの仕方がうまいので、すごいことを言っているように聞こえるだけ。米国人は小学生のころからディベートの訓練をするので、もともとプレゼンは上手です。

相手も自分と同じレベルだとわかったら、やりあえる自信が急に出てきました。今でも、ビジネスで米国人や米国企業を相手にしても気後れしないのは、この時の経験から来ていると思います。

ただ、プレゼンにたけた米国人を見て、世界で通用するにはプレゼン力が大切だということも悟りました。なにせグローバリゼーションは、アメリカナイゼーションとほぼ同義語ですから。必須科目の中にもプレゼンを学ぶ授業があり、いい勉強になりました。

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