ナショジオ

睡眠

寝酒がダメな理由

日経ナショナル ジオグラフィック社

2016/4/5

■「自分は依存症と違う」って、本当ですか?

【ケース2:日々晩酌。酒量もやや多め】

さて、ここからだんだん辛口になる。酒ではなくコメントが。

日々晩酌を続けるうちに、せっかくの催眠作用が徐々に弱くなってくる。これは「耐性」と呼ばれる現象である。古いタイプの睡眠薬も耐性ができやすく、多剤併用、大量服薬の原因として問題となった。寝酒も同様で、ある程度酒量を増やさないと眠気が生じなくなってくる。ちなみに、多くの睡眠薬の作用部位もGABA-A受容体である。要するにアルコールはデキの悪い睡眠薬と言える。

古いタイプの睡眠薬では耐性に加えて、離脱症状(禁断症状)の危険もある。離脱症状とは急に減薬・休薬すると出現するさまざまな精神症状や身体兆候で、不眠、発汗、動悸(どうき)、震え(振戦)、イライラ、不安、知覚異常などのほか、重症の場合には意識障害やけいれん(てんかん発作)が出ることもある。

耐性と離脱症状をあわせて身体依存と呼ぶが、これらの症状は、映画や小説に出てくるアルコール依存症(アル中)患者の特徴にそのまま当てはまる。同じGABA-A受容体を介した離脱症状であることを考えれば何ら不思議ではない。

(イラスト:三島由美子)

飲酒歴が長い人では、イライラ、不安、軽い震えなど軽度の離脱症状がしばしば見られる。そして夕方過ぎには晩酌(寝酒)をやりたくて落ち着かなくなってくる。

え? 自分は依存症と違うって? ……本当ですか?

寝つけないときに寝酒を追加したり(耐性による増量)、冷蔵庫の中にビールがないことに気づいて舌打ちしながら(不安とイライラ)、キッチン周囲をウロウロと探し回ったり(薬物の探索行動)、それでも見つからないと風呂上がりにもかかわらず近くのコンビニに買いに出かけたり(強い探索行動)していませんか? 思い当たる節があれば、すでにアル中に片足を突っ込んだ状態ですよ!

ナショジオ 新着記事

ALL CHANNEL