「失敗してもめげず、3秒で熟睡」沢田氏ハウステンボス社長の沢田秀雄氏

沢田秀雄 ハウステンボス社長(エイチ・アイ・エス会長)
沢田秀雄 ハウステンボス社長(エイチ・アイ・エス会長)
ハウステンボス(長崎県佐世保市)社長の沢田秀雄氏。旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)、格安航空会社(LCC)の先駆けとなったスカイマークエアラインズ(現スカイマーク)を創業した起業家は、ハウステンボスを舞台に次々新規事業を仕掛けている。開業以来18年間、赤字続きだった同社は2015年9月期に経常利益100億円を達成した。「賢くないから失敗の連続だった」と笑う沢田氏のリーダーシップ論を聞いた。

――再建を始める前まで開業以来18期連続で赤字。従業員のやる気を引き出すのは大変だったのではないでしょうか。

「再建に着手した当時、1100人ほどいた従業員の平均年齢は40歳以上。若くて優秀な人はほとんどいなかった。一部の部署では成果主義を採り入れたが、戦略や戦術など難しいことを言ってもしかたがないので、黒字になったらボーナスを出そうとか簡単なことしか言わなかった。だが、ゆっくりならば変えていける。ハウステンボスに来て3カ月後くらいだったと思うが、(東京の)ディズニーランドを越えよう、と言った。従業員は当初、懐疑的だっただろう。だが、最近では経常利益が100億円を超え、ひょっとしたら越えられるのではないかと思い始めている。夢を与えることが重要ではないか。自分も夢見る人だ。創造的、発展的なことをやっていると楽しいものだ」

――今後のハウステンボスがめざすところはどこですか。

「第1の局面である再建はほぼ終わった。今後は、文化や芸術を楽しみながら、最先端の技術をみたいといって人が集まるような“観光ビジネス都市”をめざす。くしくも、この土地はモナコほどの広さがあり、小売店や飲食店、発電施設など、都市の機能は大抵そろっている。しかも私有地だ。特区みたいなもので、ドローンの実験など、最先端の技術の実証実験にはうってつけ。ロボットがフロントなどで働く『変なホテル』を昨夏に開業した。同様に新しいビジネスを創出できる。未来都市の実験を始める」

――これまでビジネスでたくさんの失敗をしたと言います。失敗で最も学んだことは何ですか。

沢田秀雄 ハウステンボス社長(エイチ・アイ・エス会長)

「旧山一証券系の証券会社の再建を引き受けた時だ。当時はインターネット証券が出始めた頃。安さを売りにしたビジネスは当初うまくいった。だが、コンピューターのシステム障害に伴って行政処分を受けたり、営業停止を受けたりするなど、失敗の連続。今は再建して黒字の会社となったが。素人が勝ち残れるわけがない。当たり前のことがわかった。モンゴルのハーン銀行の再建の際は、米国から銀行のプロを招いて取り組んだ。失敗から学ぶことは多い。その代わり2回目は失敗しない。その積み重ねだ」

――ビジネスの成功の要因はどこにありますか。

「私は能力がないから、能力のある人に来ていただいて使おうと思う。能力があったら自分で全部やってしまう。結果的には会社は1つしかできない。優秀な人に任せていく。能力が余りなかったからよかったのではないだろうか。それが私の特性。抜群に能力あったら自分でやってしまう。あとは夢物語が好きで、新しいことにチャレンジしている」

――リーダーには独自の習慣があるといいます。どんなところがリーダーとして向いていると思いますか。

「チャレンジして諦めないこと。めげない性格ですかね(笑)。開き直る。布団に横になると忘れ、夜寝られないことがない。例えどんなときでも、2、3秒で熟睡できる。ストレスへの耐性が強いのだろう。会社が減収減益であっても命まではとられない。継続してやっていると、いつか良くなっている。証券会社も何年も赤字だったが、今は黒字になっている。いいじゃないですか」

さわだ・ひでお 1980年にインターナショナルツアーズ(現HIS)を設立して社長に就任。96年スカイマークエアラインズ(現スカイマーク)を設立、2010年にハウステンボス社長。大阪府出身。65歳。

(新沼大 代慶達也)

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