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「地上波でできない番組」でBSスカパー!が人気上昇

日経エンタテインメント!

2016/4/4

 「地上波では絶対に見られない番組」。こんなあおり文句を体現する番組作りと編成で注目を集めているのが、スカパーJSATが運営する「BSスカパー!」だ。「スカパー!」でチャンネル・パックなどを契約していれば誰でも視聴可能で、BS241チャンネルなどで放送されている。

 放送スタートは2011年。当初はスカパー!内のチャンネルの紹介がメインで、各事業者の人気番組などが中心だった。しかし14年10月に大規模な番組改編を実施。オリジナルのバラエティーやドラマ、ライブの生中継などを大幅に増やした。「ネット経由のオンデマンド配信サービスが急増するなど、競争環境が厳しくなるなか、目玉になるコンテンツを作ることで、他のサービスとの差別化を狙った」とBSスカパー運営チーム長の渡部康弘氏は説明する。

 とりわけ内容の過激さで話題になっているのがバラエティーだ。14年10月の改編時に放送が始まった『ダラケ!~お金を払ってでも見たいクイズ~』は、キワでコアな世界の体験者を集めて、エピソードをクイズ形式で紹介する番組。これまで「AV男優」「元覚醒剤中毒者」「遺品整理士」などをテーマに取り上げてきた。「AV監督」や「ピンク映画」がテーマであれば、最近の地上波では見られなくなった上半身裸の女性が登場したりする。また「遺品整理士」の回では、孤独死のエピソードを生々しい現場写真とともに紹介した。

BSスカパー! は、月額視聴料が最も安価なチャンネル(TBSニュースバード)を契約すれば、月821円で視聴可能。『ダラケ!~お金を払ってでも見たいクイズ~』は、司会が千原ジュニア。4月14日からシーズン7が開始。(C)2016 スカパー!
『モノクラ~ベ』の司会は堀潤。4月10日からシーズン5がスタート。毎週日曜21時。(C)2016 スカパー!

 同時期に始まった『モノクラ~ベ』では、同分野の2つの人気商品を徹底比較。これまで「お掃除ロボット」「牛丼」「洗剤」「ビール」などをピックアップしてきた。

 「地上波では放送できないようなバラエティーを作りたいと考え、BSスカパー!ならではの特徴を改めて検討したとき、(1)スポンサーCMがない、(2)地上波ほど自主規制を厳しく考えなくてよい、(3)有料放送のためコアターゲットを狙った企画が作りやすい、の3つが浮かんだ」と『ダラケ!』と『モノクラ~べ』のチーフプロデューサーである清水泰貴氏は振り返る。

■現場はテレビ黄金期のよう

 清水プロデューサーは、フジテレビで『笑っていいとも!』のプロデューサーや『SMAP×SMAP』のディレクターなど数多くの人気番組を務め、約20年にわたりバラエティ制作の経験があり、14年に出向という形で現職に就いた。制作スタッフも、地上波のバラエティーに関わっている面々が顔をそろえる。女性の裸などの過激な映像に目を引かれるが、バラエティーとしての制作体制は、地上波並みに引けをとらず、クオリティーの高さにつながっている。

 「バラエティーなので、番組作りの考え方は地上波と変わらない。ただし、自由度が高く好きなことが出来るので、スタッフは非常に生き生きと仕事をしているように見える。企画会議も、あえて個人の中の“自主規制”を外して意見を出してもらっているので非常に活発。制作の現場は、20年前の地上波バラエティーに似ているかもしれない」(清水プロデューサー)

 バラエティだけではなくドラマでも、BSスカパー!ならではのオリジナル作品を制作している。

オリジナルドラマにも力を入れている。2月19日21時スタートの『螻蛄』は、直木賞受賞作家・黒川博行原作の “疫病神シリーズ”の第4作。北村一輝・濱田岳のダブル主演。第1話は無料で視聴できる。(C)2016 スカパー!

 累計発行部数が1000万部を超える人気漫画が原作で、15年7月に放送された『アカギ』は、ギャンブルがテーマで、全10話のほとんどが麻雀を打っているシーンだった。「オリジナルドラマの方針も、原作が強いにもかかわらず、地上波ではやりにくい作品を見つけること。『アカギ』はまさにぴったりだった」(渡部氏)

 同局では14年10月の改編後、新しい編成が浸透するまでは時間がかかると見ていたものの、視聴者からの反響はすぐにあったという。「2~3カ月でBSスカパー!の番組が理由での加入者の増加という数字に跳ね返ってきた。最近の地上波を物足りなく感じている層に対し、お金を払ってでも見たいと思えるコンテンツを作れば反応してもらえるという手応えを感じられた」(渡部氏)

 視聴者からの好反応に加え、「BSスカパー!なら面白いことができるらしい」との評判が制作プロダクションやお笑い芸人の間で広まりつつあり、バラエティーやドラマなどの企画の持ち込みも増えているという。地上波がコンプライアンスやスポンサーの意向などで、内容や表現に制限を設けざるを得ないなか、「本当に面白い番組はスカパー!で」とのブランドの確立を目指す。

(日経エンタテインメント! 上原太郎)

[日経エンタテインメント! 2016年3月号の記事を再構成]

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