「仕方がない」と膨らむ出費 隠れメタボ家計家計再生コンサルタント 横山光昭

「毎月の生活はぎりぎり。ボーナスで何とか暮らしています。改善できませんか」と相談に来られたのは、会社員のYさん(47)。パート勤務の奥さん(45)と一緒にいらっしゃいました。子どもは中学3年生の長男、中学1年の次男の4人暮らし。手取り収入は夫婦合算で57万円ほどもあるのに、毎月生活がぎりぎりだというのです。

以前はそれなりに貯蓄もでき、ボーナスを生活費に回すことはなかったそう。家計が変化したのは次男がアレルギーを発症した3年ほど前。急に食物アレルギーを発症し病院に運ばれたそうです。

原因となる食べ物を誤って口にすると今でも呼吸器の症状が出るため、食べ物にはかなり気を使っています。風邪などもひかせないよう気を付けているといいます。さらに、同時期に夫の担当部署が変わり、仕事関連の持ち出しが増え、これも家計の負担増になりました。

Yさん夫婦は支出は増えても、やりくりして貯蓄をしようと考えており、節約を意識しているそうです。ただ、思うように家計が好転せず、何が悪いのか教えてほしいといいます。

ところが、家計表を見てみると節約家計というよりは、むしろ明らかにメタボ家計です。やむを得ない支出があるとはいえ、それ以外も膨らんでいます。

支出削減のポイントを見つけるため、固定費と流動費の割合を計算してみました。黒字家計で貯蓄もできている当社の相談者の傾向から算出した平均的な割合です。その理想的な割合とは、「固定費:流動費:貯蓄=45:35:20」。この数字に照らし合わせれば、どこが悪いのか見えやすくなるはずです。

Yさんの家計を調べたところ、比率は「固定費:流動費:貯蓄=45:55:0」。固定費はがんばって節約していますが流動費が多く、かつ、貯蓄ができていません。そこで支出を改善するため、流動費の費目をひとつずつ調べてみました。

食費は4人家族で10万円を超えていました。原因はアレルギー食材を除去したレトルト食品やお菓子などを多く買うこと、共働きの疲れから夜の外食が多くなっていることでした。水道光熱費は室内の冷暖房、加湿・除湿などにかかる電気代、ガス代が支出の多くを占めます。子どもに不快な環境をつくりたくないという配慮からだそうです。

日用品は買い置きが多く、体にトラブルが起きないよう刺激の少ないせっけんなどを購入したり、ティッシュなど紙類は素材にこだわったり、ナチュラルな原材料を使った掃除用洗剤を購入したり――。

交通費は主に塾やパートへ通う交通費で、子どもの調子が悪い時に病院に行くタクシー代も入っています。交際費は夫が所属する仕事関係の学習会の参加費用で、旅費なども含まれています。

アレルギーや仕事を理由に不必要な支出を増やしている印象を持ちましたので、そこを洗うことにしました。食費は外食を2週に1度と決め、高いレトルト食品は必要最低限に抑えるよう意識しました。すると1万9000円支出が減りました。

水道光熱費は過剰に機器を使うのをやめ、必要最小限にしました。アレルギーを発症した当時は、まだ子どもは小学生でしたが、今では2人とも中学生。窓を開けて換気する、着るもので調整するなど、自分で対応できます。これで5000円削減できました。

日用品は買い置きのしすぎを控え、せっけんなどは品質が高くても長く使えるものを探したり、時には普通に安売りされている商品を使ったりする工夫をし、8000円も支出を減らしました。今までいかに買いすぎていたかがわかり、Yさんも驚いていました。

住んでいる自治体は中学生までは医療費が無料だということもあり、心配になるたびに病院を受診します。今まではそのようなときにタクシーを使っていましたが、それをやめ、交通費を7000円削減。

被服費・交際費・娯楽費は主に夫の仕事関係で支出が膨らんでおり、勤務先から補填はありません。そこで、参加する会合に優先順位をつけ、無理のない範囲で頻度を減らし、計画的に行動することで被服費は1万3000円、交際費は2万3000円、娯楽費は8000円削減しました。

また、以前から決断しきれなかった禁煙をこの機会に始め、嗜好品を1万3000円、美容費も7000円削減しました。なんと合計9万6000円も支出を削減できたのです。Yさんは家計相談をきっかけに、今まで気が付かなかったことに取り組んだり、迷っていたことなどを始められたりできたと、結果に喜んでいました。

最初は禁煙はつらいとおっしゃっていましたが、今ではそれを乗り越えて成功です。4カ月後には比率が「固定費:流動費:貯蓄=45:36:19」になりました。

固定費削減が賢い節約といわれ、懸命に取り組む人が増えている半面、流動費については何かと理由をつけて「仕方がない」と支出を増やす家計が増えています。

「仕方がない」と思う支出なら固定費のように予算を立てて管理してもいいでしょうし、費目を別建てして管理してもいいでしょう。食費、日用品費などの一般的な費目の中で漂流させたままでは、余分な支出がどんどん増えていきます。節約しているはずなのに支出が減らない、どこを節約してよいかポイントがわからないという人は、固定費、流動費の割合を見てみると、家計の状況がよりつかみやすくなると思います。

「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です。次回は4月6日付の予定です。
横山光昭(よこやま・みつあき) マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで8000人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「年収200万円からの貯金生活宣言」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめとする著書は累計99万部。近著は「『おひとり』を不安0で生き抜く女子貯金」(祥伝社)。