介護費用、民間保険で備える 長期化でも安心

高齢化が進み、介護が必要になる人が増えている。一般に要介護状態になると公的な介護保険を通じて介護サービスを利用できるが、それで必要なすべてを補えるとは限らない。介護に必要なお金を用意する手段の1つが保険会社などが販売する民間の介護保険。基本的な仕組みを知り、加入すべきかを考えたい。

民間の介護保険は公的な制度を補完するのが基本的な位置付けだ。公的な介護保険制度ではその人の状態に応じて一定の介護サービスを原則1割の自己負担で利用できる。「要介護5」なら通常、最大で月約36万円(自己負担約3万6000円)分のサービスを受けられる。民間の保険は、この自己負担分などに保険金を充てるのが目的となる。

実際の介護にはもっとお金がかかることがある。生命保険文化センターが介護経験者を対象に実施した調査によると、毎月の介護費用が5万円未満かゼロだった人は35%に達する一方で、15万円以上の人も16%いた。

公的な制度の範囲内の介護サービスで済めば負担は比較的少ないが、上限を超えた分は全額自己負担となる。「要介護度が重い場合は費用がかさみやすい」とファイナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子氏は指摘する。

民間の介護保険商品は給付の方法で大きく2つに分けられる。要介護状態が続く間、年60万円といった金額を毎年給付する「年金型」と、条件を満たすと300万円などまとまった金額を1回出す「一時金型」だ。

朝日生命保険の「あんしん介護」は年金コースと一時金コースの2種類を用意する。年金コースは公的な制度で要介護1以上と認定されると年1回給付がある。金額は要介護5を上限に状態に応じて変わる仕組みだ。一時金コースは要介護3で給付がある。

民間介護保険の給付条件は「要介護2以上」など公的な制度での認定のほか、会社が定める場合もある。損害保険ジャパン日本興亜の商品は要介護2~5相当の状態が90日を超えると一時金が出る。

保険料は給付の条件や保険金額、契約した年齢などにより変わる。一般に給付のハードルが低く、給付額が高くなると保険料も上がる。死亡保障が付いた商品も保険料は高くなりやすい。

ソニー生命の商品は要介護2以上と認定されていれば介護年金が一生涯支給される。死亡時の給付金もある。契約上の給付金額から、それまでに受け取った介護年金などの総額を差し引き、残りの金額を受け取る。介護のお金の心配を減らしつつ、介護と無縁なら子どもにお金を残せる。

介護にかかる費用については「基本は貯蓄で備え、負担の重いケースを保険でカバーすべきだ」(FPの新美昌也氏)と話す専門家が多い。介護費用は人によって大きく異なり、ゼロの場合もある。保険で使途を決めてしまうと、その分、老後に自由に使えるお金が減ってしまう。

FPの畠中氏は検討すべき商品として「要介護状態が続く限り年金が出る商品」を挙げる。介護は終わりが見えづらいため、貯蓄を取り崩すのに不安を覚えやすい。「少額でも一定の給付があれば、安心して介護にお金を使える」と話している。(長岡良幸)

[日本経済新聞朝刊2016年3月19日付]

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