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iPhoneでハイレゾ音楽 つなげて楽しむ「ポタアン」

日経トレンディネット

2016/3/19

日経トレンディネット

ここ数年、イヤホンやヘッドホン、携帯音楽プレーヤーを中心としたポータブルオーディオのブームが続いている。

例えば、フジヤエービックが主催する世界中のヘッドホン・イヤホンなどが視聴できるイベント「ヘッドフォン祭」は約1万人前後の動員数を誇る。タイムマシンが主催する、2015年12月に開催されたポータブルオーディオの祭典「ポタフェス2015」は5万人を超えるファンを動員。ブームは、一部のファン層を中心としたムーブメントではあるものの、着実に広がりつつある。

近年の携帯音楽プレーヤーは、韓国アイリバーの高級ブランド「Astell & Kern」など海外メーカーの製品が主流だった。国内メーカーでは、2013年秋にソニーの「ウォークマン」が高音質なハイレゾリューション(ハイレゾ)に対応してから、専用プレーヤーで音楽を楽しむ流れが起きている。

一方で「ポータブルヘッドホンアンプ」も、英Chord Electronicsから「Mojo」が登場したことで再度注目を集めている。

英Chord Electronicsの注目ポータブルヘッドホンアンプ「Mojo」(6万8000円)

■ポータブルヘッドホンアンプって何?

ポータブルヘッドホンアンプ(ポタアン)とは、スマホや携帯音楽プレーヤーと接続して音声を増幅する機器である。

ポタアンは、プレーヤーのアナログ出力(ライン出力やヘッドホン出力)を増幅する「アナログヘッドホンアンプ」と、プレーヤーのデジタル出力(同軸デジタル出力、光デジタル出力、iOS機器のLightning端子などからの出力)をアナログ音声に変換して出力する「デジタルヘッドホンアンプ」の2つに大きく分かれる。

アナログヘッドホンアンプは、プレーヤーから出力される音声をアンプで増幅するため、プレーヤー自体の性能を超える高音質化は難しい。

一方、デジタルヘッドホンアンプを使うと、出力された音はプレーヤー内の「DAC」(デジタル・アナログ・コンバーター:デジタル信号をアナログ信号=音声に変換するチップ)を経由しない。そのため、プレーヤー内のDACに比べて、より高品質なポタアン内のDACを通してアナログ音声に変換出力される。プレーヤー本体の音質よりもはるかに高音質な音楽を楽しむことができるというわけだ。

■iPhoneが「ハイレゾ対応」に

では、ポタアンを使うメリットはどこにあるのか。どのようなことができるのか。既存の携帯音楽プレーヤーを高音質化することもできるが、大きな魅力の1つが「iPhoneを“ハイレゾ対応”にできる」点だ。

アップルの「iPhone」を携帯音楽プレーヤーとして利用している人は多い。また、かつて「iPod」が発売されてから1万円を超える高級イヤホンや高級ヘッドホンがブームになり、その流れはiPhoneが中心になった今も続いている。

しかしiPhoneは、最近人気が上がりつつあるハイレゾ音源(CDを超える高音質を実現した楽曲)を楽しむには大きな弱点がある。iPhoneがハイレゾに対応していない点だ。

ポータブルオーディオ専門店「e☆イヤホン」のポタアンランキング

iOSアプリでハイレゾ音源を再生するアプリは多数提供されているが、iPhoneのヘッドホン出力はハイレゾ出力に対応していない。このため、iPhoneでいくら高音質な音源を再生しても、ヘッドホンに出力される音質はCDと同等の音質となる。

そこで出番となるのがポタアンだ。iPhoneとポタアンをLightningケーブルなどで接続すれば、音源はiPhone内のDACを経由せず、高品位なポタアン内のDACを通して出力される。iPhoneでもハイレゾ音源を高音質で再生できるというわけだ。

もちろん、iPhone以外のデジタル出力に対応したプレーヤーとポタアンをつなぐこともできるし、そういった使い方で音楽を楽しんでいるユーザーも多い。しかし多くの人が所有し、使い勝手にも慣れ親しんでいるiPhoneの音をさらに高音質化できるからこそ、ポタアンの存在価値は大きいといえる。

■ポタアンが再注目された理由は

実はポタアンは昔からあり、「専用プレーヤー+ポタアン+ヘッドホン」というのがスタンダードな使い方だった。だが、パワフルなアンプを搭載する高音質の専用プレーヤーが多数出てきたことから、携帯性の低い「専用プレーヤー+ポタアン」という組み合わせから「専用プレーヤー」単体にシフトし、注目度が下がっていた。

この流れが変わり、ポタアンが再注目を集めた要因の一つが、冒頭に紹介したChord Electronicsが2015年11月に発売したポタアン「Mojo」(6万8000円)の登場だった。

Chord Electronicsが2014年に発売したポータブルヘッドホンアンプ「Hugo」(実勢価格24万9500円)。ポータブルオーディオファンだけでなく、古くからのオーディオファン、オーディオ評論家からもかなりの評価を得た名機

Mojoは、2014年の発売当時に約25万円という高額さと音質の高さで話題になったポタアン「Hugo」を引き継ぐモデルだ。Hugoはポタアンとして、というよりも「バッテリー内蔵の据え置き型USB DAC」[注1]という位置付けで、ポタアンとしては若干大きくて重い製品だった。

MojoはHugoの音質設計を引き継ぎつつ、3分の1以下の価格を実現している。約7万円と安価ではないのだが、約25万円のモデルのDNAを引き継いだ割には安く、そのコストパフォーマンスの高さが話題になっているというわけだ。それでいて、Mojoのハイレゾ音源の対応フォーマットはHugoよりも増えている。iPhoneと接続してハイレゾ音源をより高音質で楽しめるということもあり、ポタアンが再注目されるキッカケになったといって間違いない。

■iPhoneで使う場合の注意点

ハイレゾ対応のポタアンは多いが、iPhoneで利用する場合には2つの注意点がある。(1)「ハイレゾ対応」かつ「iPhone対応」でも、必ずしもハイレゾを聴けるわけではない、(2)iPhoneを接続するスタイルも2種類ある。

まず1番目についてだが、ポタアンで「ハイレゾ対応」と「iPhone対応」の両方をうたっていても、「iPhoneのハイレゾ音源をハイレゾ音質で楽しめる」とは限らないということだ。

USB入力や同軸・光などのデジタル入力端子を備えていて、ハイレゾ対応のDACを内蔵しているものの、iPhoneと接続した場合にはCD音質までしか対応しないポタアンも存在する。他社のハイレゾ対応プレーヤーやノートパソコンなどを接続した場合はポタアンのポテンシャルをフルに発揮できるのに、iPhoneと接続した場合はそれができなくなってしまう。

例えばソニーの人気ポタアン「PHA-3」(9万2000円)の場合、パソコンなどではリニアPCM方式のフォーマット(アナログ信号をデジタルデータに変換する方式の一つ)は192kHz/24bit、DSD方式(デジタル音声記録技術)は5.6MHzまで対応するが、iPhoneシリーズの場合は44.1kHz/16bit(CD音質)までしか対応しない。

一方、先ほど紹介した「Mojo」や、OPPO Digital Japanの「HA-2」(4万2000円)、オンキヨーの「DAC-HA200」(2万1000円)などのポタアンは、iPhoneと接続してハイレゾ音源を再生できる。

オンキヨーの「DAC-HA200」
OPPO Digital Japanの「HA-2」

■普段の使い勝手を左右する接続方法

もう1点注意したいのは、iPhone対応ポタアンでは接続方法が大きく2種類に分かれることだ。

iPhoneとポタアンを接続する場合、多くのモデルは「Lightning - USBカメラアダプタ」(3480円)と呼ばれる接続ケーブルを必要とする。iPhoneのLightning端子にUSBカメラアダプタを接続し、そこにUSBケーブルを挿してポタアンに接続するというスタイルだ。先に紹介したMojoも、このスタイルを採用している。

MojoとiPhoneをLightning - USBカメラアダプタを経由して接続したところ

一方で、OPPOの「HA-2」やオンキヨーの「DAC-HA200」などは、Lightning - USBカメラアダプタなしでiPhoneと接続できる。このため、より軽快に持ち運べるのが大きな魅力だ。さらにHA-2の場合、iPhoneとの接続に便利なUSB A - Lightningデータ用ケーブルが付属しており、買ってすぐにハイレゾ音源を楽しめる。

ポタアンを選ぶ上で最も重要な要素の一つは音質やコストパフォーマンスだろうが、こうした接続のしやすさも普段の使い勝手に大きく左右するので注意したい。

これまで紹介してきたように、iPhoneで音楽を楽しんでいるユーザーが音にこだわりたい場合におすすめしやすいのがポタアンだ。

高音質のハイレゾ音源はデータ容量が大きいため、多くのメモリー容量を必要とする。だが、iPhoneのメモリー容量に余裕があれば、そのままポタアンをつなげるだけで高音質プレーヤーとして利用できるようになる。64GB以上のメモリーを搭載するiPhoneのユーザーなら、ポタアンを使ったスタイルも検討してみてはいかがだろうか。

[注1]USB DAC=パソコンとUSBケーブルで接続し、デジタル音源を高音質で音声出力する機器のこと。多くの機器は同軸デジタルや光デジタルなどのデジタル入力、ヘッドホンアンプ機能なども搭載。

(IT・家電ジャーナリスト 安蔵靖志)

[日経トレンディネット2016年2月10日付の記事を再構成]

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