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若者は内向き志向といわれて久しい。人口減少時代に突入し、国内市場の今後の拡大は期待しにくい。活躍のフィールドが世界に広がる中、どう自分で判断し市場を切り開く人材を育てるか。「成功体験の積み重ねが大切」と話すファーストリテイリングの柳井正会長兼社長に、人材育成論などを聞いた。

<< 柳井氏に聞く(上) 「孫さんは…」柳井氏の考える本物のリーダー

 現代の若い人は保守的で、安定志向ともいわれる。広い視野を持つ経営者をいかに育てていきますか。

「なかなか経営者はできないんです。僕らはエベレスト登山をしているんですね。でもいきなりエベレストは無理なんで、まず近所の300メートルとか500メートルの丘に上がってくれ。風景が変わるので、300の次は500、500の次は1000となります。まず低い山に登ろう、目標をつくろうということを考えなければいけないと思っています。日本経済が今のままいったら、本当に残念ですがあなた方の将来はないですよ。それに一生も有限で、1回しかない。僕の宣教師みたいな人をつくって、社員一人ひとりの心に火をつけていかないといけない。無理かもしれないけれども、一人でも心に火を付けることをやっていかないといけない」

「若い人や変わった人を引き上げる。能力があるのに発揮しない人は、すねているんですよ。もったいない。大会社だとなかなかうまくいかず、即窓際族になっちゃう。そういう人を生かさないといけない。うまくチェックしながら成功体験をひとつずつさせていって、良い経営者に育てる。達成感がないとダメでしょ。若い人はずっと成功体験がないんですよ。親の給料はずっとダウンしているしね。財務だったら財務、人事だったら人事だったり、ひとつのことで強みを出せるようになれば、もっと広くみれるようになる。そしたらやらせてみたらいいんですよ」

 経営者に求められる仕事の進め方はどんなものなのでしょうか

柳井正氏

柳井正氏

「実行するときに、一番失敗する例がある。たとえば3年計画で、1年目は準備だけ、2年目にちょっと損か大損して、3年目に大成功というパターンを描く人がいる。これがプロジェクトをうまく進められない人の特徴です。なぜ最初からやらないのか。計画をつくりながら実行していかなければならない。3年後どういう風になっているか、わからない。世界中でどういう競争相手が現れてどういう風になってくるかわからないよね。いつどうなるかわからないのに、3年後にこうしますというのはできっこない。そんな時代じゃない。一番良いのは最初からずっと浮上していく。計画しながら実行していくことが必要です」

「自分の部署だけに閉じこもって机上の空論書いているのもダメだ。計画はすごく考えて、考えて考えて考え抜かなきゃいけないんだけど、結局実行しなければ意味はない。考えることと実行することを両立させないといけないし、アクションプランじゃなきゃいけない。自分の部署だけじゃなしに関係部署まで全部入れてアクションプランを実行しなければいけない。そこの交渉力も大切だ。そして知らないことについては、知ってる人に聞かなければいけないんですよ」

柳井正氏(やない・ただし)
1971年早稲田大学政経学部卒、ジャスコ入社。72年に小郡商事(現ファーストリテイリング)入社。84年社長、2002年会長。05年9月、社長に復帰。

(岩戸寿 代慶達也)

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