マネー研究所

Money&Investment

「新電力」で賢く節約 プラン選びのコツ

2016/3/19

一般家庭向けの電気の小売りが4月に自由化される。石油会社や携帯電話会社など「新電力」と契約すれば電気代が下がる可能性があるが、複雑な料金プランも多く、比較するのは簡単ではない。家計の節約につなげるにはどう選べばいいのだろうか。夏に向けての節電の基本とともに頭に入れておこう。

神奈川県の一戸建てに家族4人で暮らす会社員のAさん(45)は、東燃ゼネラル石油の「myでんき」の契約を申し込んだ。Aさん一家は電気の使用量がやや多く、1月の電気代は1万6500円だった。同社サイトで試算すると、現在契約している東京電力に比べ一律6%安い料金プランが適用され、年間1万円の節約につながるという。

■携帯とセット割引き

電気料金はもともと省エネルギーを促す目的で使用量が多い世帯ほど割高になっている。使用量が多い家庭は小売り自由化のメリットが大きくなりやすい。一人暮らしなど使用量が少ない場合は現行のプランの方が安いこともある。こうした両タイプの顧客を新規に獲得するため多くの新電力が手がけるのが携帯電話、ガソリンなどの料金との「セット割引」だ。

KDDIがauユーザー向けに始める「auでんき」の電気料金プランは各地域の大手電力会社と同じ。ただし月々の電気代に応じて、auのプリペイドカードにキャッシュバック(現金還元)がある。電気代が8000円以上なら5%が還元され、携帯料金にも充てられる。

特定の地域や生活スタイルに合う家庭にメリットが大きい新電力もある。東京急行電鉄の沿線で暮らすファミリー世帯であれば、東急パワーサプライの「東急でんき」が選択肢になるかもしれない。

電気料金の割引率は大きくないが、東急グループのクレジットカードやケーブルテレビ契約、鉄道定期券でそれぞれ特典がある。一戸建てで月1万3000円の電気代を払う4人家族の場合、ポイントや割引を合算したメリットは年間1万2620円。電気代が実質的に8%下がったと考えることもできる。

既存の電力大手も使用量の多い家庭向けの新料金プランで対抗する。東京電力はおおむね電気代が月1万7000円以上なら割安になるプランを新設。ソフトバンクやLPガス会社など提携先によるセット割引も始める。関西電力は夜間の電気が割安になる時間帯別プランを追加する。

インターネットには電気料金の節約額を試算できるサイトがある。エネチェンジ(東京・墨田)のサイトでは自宅の郵便番号、現在の電気料金、家族の生活スタイルなどを入力すると、各社のプランごとに節約額が出せる。あくまで目安だが、プランを比較する手がかりになりそうだ。

もっとも来年4月には都市ガスの小売りも自由化される。日本総合研究所の滝口信一郎氏は「自由化に合わせてセット割引など新しい料金プランが相次ぐのは確実。いま選んだプランがずっと安いとは限らないので、新電力は目先1年くらいの契約のつもりで選べばいい」と話す。

■契約容量を変更

料金プランを選ぶ以外にも節電につながる方法がある。契約している電気容量「アンペア」の引き下げだ。例えば東電の一般的な契約で50アンペアを30アンペアに変更すれば、年間7000円近い節約になる。アンペア変更ができるのは電力大手10社のうち北海道、東北、東京、中部、北陸、九州の6社。節約額次第では検討してもいいかもしれない。

アンペアは電気の流れの大きさを示す単位で、家電の消費電力「ワット」を電圧「ボルト」で割ったものだ。家庭の電圧は通常100ボルトなので、例えば消費電力1000ワットのドライヤーを使うと10アンペアになる。様々な家電を同時に使って契約アンペアを超えると、ブレーカーで電気が遮断される仕組みになっている。

ではアンペアはどのくらいまで小さくできるのだろうか。住宅の節電に詳しい積水化学工業の林哲也・主席技術員は「平均的な一戸建てなら40アンペア、マンションなら30アンペアが一つの目安になる」という。電子レンジやエアコンなど消費電力の大きい家電を同時に使わないように気をつけるのが原則。特にエアコンの扱いがポイントになる。

10畳用エアコンの最大消費電力は冷房で1000ワット、暖房では2000ワット近い。林氏は「エアコンの消費電力は立ち上げ時に大きい。断熱性の高い住宅なら起床1時間前にタイマーで立ち上げて、起きたら切る方法もある」と助言する。

夏のエアコンは設定温度を高めにしても、足元にたまる冷気を扇風機などで循環させれば涼しい。電気の契約だけでなく、「家電の使い方にも見直しの余地がある」と節約アドバイザーの和田由貴氏は話している。(表悟志)

■設定額超えそうならメールでお知らせも
国はエネルギー基本計画で2020年代の初めまでに全世帯にデータ通信機能が付いた「スマートメーター」を導入するとしている。新電力と契約すると、自宅の電気メーターがいち早くスマートメーターに交換されるメリットがある。曜日や時間帯別の電気の使用量を知らせるサービスができるようになり、契約者にとっては節電の目標が立てやすくなる。
新電力の東京ガスは4月、契約者があらかじめ設定した月々の電気代を超えそうな場合、月中にメールで知らせるサービスを始める。同社のほか、スマートメーターのデータを基に最適な料金プランの提案などを計画している新電力もある。

[日本経済新聞朝刊2016年3月16日付]

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL