紙より断然便利な「iPad Pro+タッチペン」戸田覚のデジモノ深掘りレポート

筆者は、手書きできるタブレット、スマートフォンだけでも、複数の端末を使い分けている
筆者は、手書きできるタブレット、スマートフォンだけでも、複数の端末を使い分けている
日経トレンディネット

年明け早々にアップルの「iPad Pro」を購入した。もう少し早く手に入れるつもりだったが、忙しさのためにズルズルときてしまったのだ。われながらだらしない……。

ところが僕にとっては良いこともあった。出遅れたために安く手に入れられたのだ。入手したときの価格は税込みで11万3000円(128GBの無線LAN対応モデル)。「アップルストア」での価格は、2015年11月の発売当初は12万1800円(税別)程度だったので、1万円近く安価になっていたわけだ。新モデルであることを考えると、かなり値下がりしている。

サイズが大き過ぎるとか、値段が高過ぎるとかいうiPad Proへの評価には、僕も異論はない。だが、iPad Proとスタイラスペンで実現できる「デジタルの手書き」が予想より流行していないのは、ちょっと残念に思っている。僕自身が使い込んで「これほど便利なものはない」と実感しているので、今回はそのメリットを紹介していきたい。

昔のシステム手帳ブームのときのような、整理・管理が楽しいだけで実は大して生産性に寄与しなかった、ということもない。iPad Proとスタイラスペンで「デジタルの手書き」にぜひチャレンジしてほしい。iPad Proでなく、手持ちのタブレットでも構わない。

今回は「タブレット+スタイラスペン」で生産性が向上するポイントをチェックしていく。

【ポイント1】 デジタルで保存するメリットとは?
【ポイント2】 キーボード入力との違いは?
【ポイント3】 専用ペンを使うと生産性がアップする理由とは?

紙のノートと違っていつでも見られる

お断りしておきたいのは、紙のノートとペンへの愛着を否定するつもりは毛頭ないということ。僕は紙のノートに関する書籍も執筆しているくらいだ。しかし、仕事の記録となると話は別。仕事では、生産性を最重視するべきだろう。その意味で「タブレット+スタイラスペン」は確実に「紙+ペン」を超えている。

まず、「タブレット+スタイラスペン」でデジタル化したメモには物理的な制約がないので、いくらでも保存でき、破れたり汚れたりする心配がない。また、データをクラウドに保存しておけば、どの端末からでも閲覧できる。紙のノートを忘れたら出先では見られないが、iPadを忘れて外出しても、スマートフォンやノートパソコンで開くことができるのだ。休みの日に突然仕事の連絡があったときに「手元にノートがないから分からない」などという事態は起こらない。

確かに「紙+ペン」に比べるとコストが掛かる。だが、数万円もする万年筆を使っている人がいることを考えれば、高すぎるというほどではないと思う。

【ポイント1】 デジタルで保存するメリットとは?
【結論1】 制限なく保存できる。端末を問わないので、いつでも閲覧できる
Evernoteは手書きにも対応。もちろんクラウドとの同期もできる

変換不要で図も描ける

会議中にキーボード入力でメモを取る人は少なくない。議事録作成が役目で、自分はあまり発言しないなら、それでも問題ないだろう。しかし、自分が主となって話しているときは、とてもじゃないがキーボードで入力などしていられない。文字変換を確認するために、頻繁に目線を画面に移すことになるからだ。

しかし、スタイラスペンで手書きするならキーボード入力のような文字変換が必要ないため、自分が話しながらでも大丈夫だ。しかも重要なポイントに○を付けたり、ちょっとした絵や図を描いたり、といったことも簡単にできる。キーボード入力で作成したメモと比べると、後で見返したときに「ああ、ここが大切なのか」と把握しやすいのも手書きデータの素晴らしいところだ。

【ポイント2】 キーボード入力との違いは?
【結論2】 手書き入力はキーボード入力より速く、ちょっとした絵や図も描ける

手書きは感覚的なメモを残せるので要点を把握しやすい

指より専用ペンがラク

手書きアプリでは指を使っても文字を書けるが、実際に書いてみるとスタイラスペンを使ったときとの差がとても大きい。指では精細な線を書きづらいし、指で操作するのは想像以上に疲れるのだ。試してみると分かるが、ペンで文字を書く操作は指よりも動きが少なくて済む。指で延々と文字を書いていく作業はつらいと、誰もが感じるはずだ。

また、最近ではスタイラスペンでの操作に対応したアプリも増えている。例えば、描画アプリの「OmniGraffle」を使うと、ペンで図を描いたり線をつなげたりする作業がとても楽になる。同様に、印刷物やウェブページのラフを作れる「Adobe Comp CC」での作業もペンのほうが数段使いやすい。作図はペンで行い、図の移動は指を使うなど、使い分けができるのも便利だ。

使用する端末は、専用のペン(デジタイザー)が利用できる製品、それもタブレットをおすすめする。専用のペンはペン先が細くて書きやすいものが多いのだ。また、スマートフォンでは画面が小さ過ぎると思う。

具体的にはiPad Proがベストだが、価格が高いので、今や型落ちとなったマイクロソフトの「Surface Pro 3」などでもいいだろう。また、ASUS(エイスース)の「ZenPad S8.0」も別売のスタイラスペンを買えば快適に使える。

なお、市販されているペン先が太いスタイラスを使うのも悪くはないが、書き心地は大きく劣る。ペン先の太いペンは「手書きを体験する」程度に考えるべきだ。

【ポイント3】 専用ペンを使うと生産性がアップする理由とは?
【結論3】 専用ペンは圧倒的に書きやすい。ペンのほうが操作しやすいアプリも増えている
OmniGraffleなら、チャートもパソコンより簡単に作成できる
Adobe Comp CCでデザインラフを作る作業もペンのほうが楽だ
戸田覚(とだ・さとる)
 1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2016年2月18日付の記事を再構成]