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働く女性に増加、年代別婦人科トラブルと回避のカギ

日経ウーマン

2016/3/16

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日経ウーマン

 生理痛やPMS(月経前症候群)など婦人科トラブルに悩みがちな働く女性。忙しいからと、体と心を置き去りにするのは禁物です。体からのサインに早めに対処して、内側から温める「自家発電」で元気になりましょう。

 「働く女性たちの間で、生理不順など婦人科系のトラブルに悩む人は増えており、受診する女性のほぼ全員が、年代問わず冷えを訴えます」と、よしかた産婦人科副院長の善方裕美さんは話す。

 「忙しさや個食を背景にした、食事内容が大きく影響していると思います。朝は飲み物だけなどで適当に済ませたり、食事時間が不規則だったり。タンパク質やビタミン類の栄養素が不足し、エネルギー不足の女性が多い」(善方さん)

 生理痛も「生まれつき、痛みの原因物質のプロスタグランジンが出やすい体質の人もいますが、慢性的なエネルギー不足が、痛みに対する抵抗力を弱めているように思う」と善方さんは言う。

 年齢によって、体の状態や起こりがちな婦人科トラブルも異なる。「生理痛がつらくても、ある程度頑張りが利くのが20代。しかし、30代以降は無理が利かなくなり、それまで放置していた婦人科系のトラブルが、子宮内膜症などの病気として表に出てくることも」(善方さん)

 一方、「カラダの冷えは心の冷えとも関係が深い」と言うのは、助産師のやまがたてるえさん。「多忙な女性は常に緊張状態であることが多い。血管もぎゅっと収縮し、めぐりが悪くなるんです。子宮は“感情の臓器”といわれ、ネガティブな感情をため込むことによって不調がさらに悪化します」(やまがたさん)

 そこで働く女性こそ習慣にしてほしい、とやまがたさんが提案するのが、心を「緩める」、カラダを「中から温める」2つのメソッドだ。

 深呼吸したり、スマホから距離を置いたりすることで、心を「緩める」と、自分の状態を観察するのが上手になるという。「カラダの声を聞けるようになると、生理痛があれば『頑張り過ぎかな』と未然にケアができるように」(やまがたさん)

 「中から温める」には、湯たんぽなどで外側から温めることも効果的だけれど、それだけでは限界がある。下半身の筋肉を鍛えて内側から熱をつくる「自家発電女子」になろう。「自ら熱を作り、めぐらせることで冷えが根本から解消します」(やまがたさん)

■知っておくべき「働く女性のカラダ」最前線

1.生涯の生理回数が増え、婦人科系トラブル増加

「子宮内膜症や生理不順、PMS(月経前症候群)で来院する人が増えています。子宮内膜症は生理により症状が進行するので、出産回数の減少に伴う生理回数の増加も関係が」(善方さん)

2.カラダと心のケアがつい後回しになっている

 「疲れて食事せず寝てしまったり、朝食を飲み物だけで済ませたりと、食事をおろそかにしている人は、30代になって無理が利かなくなり、婦人科疾患を発症するケースも」(善方さん)

3.不調を訴える女性の大半は「冷えている」

 「婦人科の不調で受診する人の大半は、年代を問わず“すごく冷える”と言います」と善方さん。食事の偏りと睡眠不足によってエネルギーが不足し、冷えが次の不調を生む悪循環に。

4.実は「栄養不足」の人が続出、食生活の影響大

 13年の厚労省の調査によると「20代女性の約2割が痩せ過ぎ」という結果に。「食べる量が少ない。肉や魚などタンパク質を取らないなど、栄養の偏りが大きいです」(善方さん)

■世代別・婦人科系トラブルをチェックしよう

【20代】

カラダの状態:全体的に痩せ傾向

 忙しさから「とりあえずの食事」ですませることが多く、痩せ傾向でエネルギー不足。睡眠不足だが、若さでなんとか乗り切っている。

起こりがちな生理の不調:生理不順、生理痛

 20代は、生理周期が一定しない生理不順や生理痛などが多い。生理痛で寝込む、貧血で倒れる、ダイエットのし過ぎで生理が止まる人も。「生理痛で市販の鎮痛薬を飲み続けた結果、じんましんなどのアレルギーを起こす人も」(善方さん)

増える症状や病気:月経困難症、卵巣機能不全

 寝込むとか吐き気がするなど、日常生活に支障を来すほど生理がつらくなる「月経困難症」、生理の周期が乱れたり、無月経や無排卵などになったりする「卵巣機能不全」など。放置すると不妊症につながる可能性も。

【30代】

カラダの状態:婦人科系の不調が出やすくなる

 徐々に無理が利かなくなってくるが、自らの体に意識を向けないために不調が悪化し、婦人科の疾患にかかる人が一気に増え始める。

起こりがちな生理の不調:生理不順、生理痛、PMS

 30代からは生理前にむくみやイライラや落ち込みといったPMSによる不調が増える。「30代は多忙を理由に受診が遅れ、婦人科疾患が放置されるケースも」(善方さん)。20代からの生理不順や生理痛が続く人も多い。

増える症状や病気:子宮内膜症、卵巣のう腫、子宮筋腫、子宮頸がん

 子宮の筋肉に良性の腫瘍ができる「子宮筋腫」、ひどい生理痛が特徴の「子宮内膜症」、無自覚のうちに症状が進行する「卵巣のう腫」などの婦人科疾患が増加。「PMS」も悪化。「子宮頸がん」の発症は30~40代がピーク。

【40代】

カラダの状態:代謝ダウン、ストレス太りの人も

 代謝が落ちてくる。不規則な生活や過労によるストレス太りによって生活習慣病予備軍になる人と、健康志向の人とが両極化。

起こりがちな生理の不調:PMS、プレ更年期

 PMSをはじめ、30代の生理の不調や婦人科疾患は40代前半まで続くことが多い。「40代後半以降は、更年期に向かうホルモンバランスの変化で生理が不順になり、プレ更年期の不調に悩まされ始めます」(善方さん)

増える症状や病気:子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣がん

 40代前半までは「子宮筋腫」や「子宮内膜症」が依然として多い。40代後半から50代半ばにかけては、ホルモン分泌の乱れによる「更年期障害」の不調が増えてくる。卵巣にできる悪性の腫瘍「卵巣がん」も40代で増加。

緊張を取るための「緩める」メソッドと、体を内側から温めて熱をつくる「中から温める」メソッドとを組み合わせて

【心を緩める】


 1分間の呼吸数を観察して。「不安があると回数が早くなる。深くリラックスできたときは5~6回に」(やまがたさん)

【中から温める】

子宮ウオーク:骨盤を動かしながら、子宮を中心に歩くエクササイズ。子宮への意識も高められる。

1.真っすぐ立ち、膝をくっつける。1本の糸が膣から垂直に子宮、おへその後ろを通り、頭頂部から空につながる感覚をつかむ。

2.1の状態を保ちながら歩く。骨盤ごと、脚を前に出すイメージで歩く。楽しい気分で歩こう。

膝をすり合わせるポーズ:ベリーダンスの「シミー」という基本の動き。全身を振るわせることで、下半身の緊張が緩むとともに筋肉も鍛えられる。

 両脚をそろえて立ち、両膝を擦り合わせるように前後に素早く動かす。1分ほどで全身がぽかぽかに温まる。

下半身スクワット:全身の70%の筋肉が集中している下半身の筋力を鍛えると、全身がぽかぽかに。

 足を肩幅に開いて立ち、腕を前に伸ばし、鼻からゆっくり息を吸ってお尻を後ろに突き出しながら腰を落とす。鼻から息をゆっくり吐きながら元の姿勢に戻る。

かかとトントン:座っているとき、歯磨き時などのすきま時間にかかとに刺激を与え、下半身の血行アップ。

 かかとを少し上げて、床にすとんと落とす動きを繰り返す。1秒に1回のペースで。血液が流れる感覚を味わおう。むくみ予防にもなる。

雑巾がけ:子宮を支える骨盤底筋を鍛え、子宮周りの血液の巡りを良くする。

 雑巾をしっかり絞ったら、お尻を高く上げて床を雑巾がけする。「今、カラダと心を磨いている、という意識で行って」(やまがたさん)

この人たちに聞きました

よしかた産婦人科副院長
善方裕美さん
 日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医、女性ヘルスケア専門医。専門は女性医学。横浜市立大学附属病院で、更年期外来を担当。丁寧な診察と分かりやすい説明に定評がある。
助産師
やまがたてるえさん
 産前産後の心とカラダを癒やすバースセラピスト。日本性の健康協会理事。医療機関で助産師として5年勤続し、現職。著書『女性ホルモンを整えて幸せになる!ぽかぽか子宮のつくり方』(河出書房新社)。

(ライター 柳本操)

[日経ウーマン 2016年3月号の記事を再構成]

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