多忙な人の買い物術 ロッカー&コンビニを活用
そんな声を受けて、近ごろ、配達先を自宅に限らず、コンビニエンスストアや駅の専用ロッカーに指定し、好きな場所・好きなタイミングで荷物を受け取ることができるサービスが拡大している。最新事情をまとめた。
食材を駅の冷蔵ロッカーで受け取れる東急ストア
東急ストアネットスーパーなどのサービスを提供する東急ベルでは、東急東横線綱島駅改札前に冷蔵ロッカーを設置し、利用者が都合のいい時間に商品を受け取れるサービスを2016年1月から試験的に開始した。
ロッカーの受け取りは1日3便((1)13:30~15:30 (2)16:00~17:30 (3)18:00~21:00)で、中心層は30~50代の女性。平日の3便に利用者が集中していることから、仕事帰りの人が利用するケースが多いと見られる。
ネットスーパーは便利な反面、「受け取り時に必ず在宅していなければならないのがネック」「配達時間帯のどのタイミングで来るのか分からないので、お風呂にも入れない」との声もあった。配達先を最寄り駅のロッカーに指定すれば、仕事帰りのタイミングでピックアップできて時間短縮になる。
昼休みに妻がスマホから注文をしておき、ひと足帰宅が早い夫がピックアップ、といった使い方も可能だ。
ロッカー利用料は税抜300円で、税込2500円以上の購入で利用料が無料になる。現在は、綱島駅のみでの試験的な運用だが、利用者が増加すればサービス拡大も検討しているという。
楽天市場の商品を受け取れる「楽天BOX」
駅構内を中心に設置を拡大しているのが、楽天市場で購入した品を受け取れる専用ロッカー「楽天BOX」。現在、駅構内や商業施設など全国25カ所に専用ロッカーが設置されている。
「共働きで自宅を不在にしがちな人」「夜間に宅配業者が玄関先まで来るのが不安という一人暮らしの女性」、「住所などのプライバシーを守りたい」という人にもぴったりだ。
最寄り駅の駅ビル内に楽天BOXがあり、気になっていた編集者が利用してみた。
使い方は簡単。いつも通り「楽天市場」で買い物カゴに商品を入れ、支払い方法や配送先を編集する画面で「ロッカー受け取り」を選び、受け取りたい楽天BOXの所在地を選択するだけ。宅配業者がロッカーに商品を配送すると、登録してあるメールアドレスにロッカー番号、ロッカーを開けるためのパスワードが送られてくる。受け取れるのは配送された日を含む3日間だ。
普段は自宅の宅配ボックスを大いに活用している編集者。しかしたまに「宅配ボックスがいっぱいのため、商品を入れられませんでした」と書かれた不在通知に悲しい思いをすることもある。確実に受け取りたいときは楽天BOXを利用するのも手だな、と感じた。
楽天BOXに対応している楽天市場内の店舗の数は限られているが、日本最大級のインターネット通販サイトの専用受け取りボックスの需要は高そうだ。また、宅配業者にとっても1回で配達が完了でき、配送の効率化につながる。
■ユニクロの注文品を最寄りのセブンで受け取り
ユニクロでは公式オンラインストアで購入した品を、セブン-イレブンで受け取れるサービスを2月16日からスタートさせた。
共働き世帯の加藤さん(仮名・41歳)は、子どもの洋服や肌着などをユニクロのオンラインストアで月1ペースで購入している。加藤さんの自宅には宅配ボックスがないため、これまでは仕事が休みの週末の午前中に受け取りを指定していたが不満も感じていた。
「ネットショッピングを頻繁に利用するので、土曜の午前中は宅配業者待ちで半日出かけられないこともあります」
受け取り手続きは簡単だ。配送先をセブン-イレブンに指定し、メールで送られてくる「コンビニ引換証番号」のバーコードをレジで提示するだけ。加藤さんは、配送先を職場近くの「セブン-イレブン」に指定したので、これまでのように週末まで配達を待つことなく、注文から中1日で受け取ることができた。
セブン-イレブンでのユニクロ受け取りサービスは、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県、約5700店のセブン-イレブンでスタートし、その後全国のセブン-イレブンに順次拡大予定。
セブンでの受け取りで送料無料になる「オムニセブン」
セブン&アイグループの店舗を統合したショッピングサイト「omni7」では、購入した品をセブン-イレブンなどの店舗で受け取れるサービスを昨年からスタートした。ショッピングサイトには、西武・そごう、イトーヨーカドー、アカチャンホンポ、LOFTなどが集結する。
例えば、デパートで化粧品を買いたいが営業時間内に行けない場合でも、ネット注文をしておけば、家の近くのセブン-イレブンで24時間いつでも受け取れる。子育て世代には何かと入用な、アカチャンホンポの商品も店舗に行くことなく、セブン-イレブンで受け取りが可能だ。
「お急ぎ店舗受取りサービス」(別途手数料、税抜300円)を利用すれば、注文したその日に受け取ることもできる。
「omni7」の最大のメリットは、小額の買い物でも、受け取りをセブン-イレブンに指定すれば、送料・手数料が無料になること。ネットショッピングは、送料を無料にするために余計な買い物をしてしまいがちだが、これなら手に入れたいものを、タイミングを逃さず迷わず購入できる。
さらに、セブン-イレブン、ファミリーマート、ミニストップ(いずれも一部店舗のみ)では、クリーニングの取り次ぎサービスも行っている。共働き家庭では、平日にクリーニング店に衣類を出したり、受け取ることがなかなか難しい。週末にまとめて出すために、休日の予定が制約されることも。コンビニなら24時間ピックアップが可能だ。
毎日の通勤で必ず利用する駅や、自宅や職場の近くのコンビニエンスストアをもっと有効活用して、日々の家事や買い物の負担を少しでも減らしてみませんか。
(ライター 中島夕子)
[日経DUAL 2016年2月26日付記事を再構成]
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