リーダーに大切なのはスキルではなく「スタイル」

2016/3/24

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日経DUAL

企業が女性活躍を推し進める中、「自分がリーダーになるなんて、自信がない」と感じている女性は少なくないかもしれません。先日実施された小室淑恵さんの講座「チームで勝てるリーダー術! 女性管理職養成講座」に登場したのは、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二さん。早稲田大ラグビー部監督に就任した後、部員から「日本一オーラのない監督」と言われつつも、翌年から2年連続で全国制覇を成し遂げた中竹さんが語る、「リーダーに必要なこと」とは。

リーダーに一番必要なのは、自分自身を見つめること

日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二さん

「リーダーになったときに、まずやるべきこととは?」と聞かれて、皆さんはどんなことを思い浮かべますか? 私は徹底的に自分自身を見つめることだと考えています。自分の本質を知るために、これまで「何を考えてきたか」ではなく「何をしてきたか」という行動の面から自分を振り返ってみてください。

では手始めに、あなたが好きなものと嫌いなものを思い浮かべてみましょう。

「自分は何が好きで、何が嫌いか」――。そう聞かれて、意外とパッと思い付かない方もいらっしゃいます。自分のことについて、実は自分自身があまり分かっていなかったりする。そういった状態では、他人の考えに簡単に影響を受けてしまいかねません。

最近、経営者などの間でマラソンや瞑想、ヨガなどの人気が高まっていますが、こういった活動には「意識的に自分のことを考える時間をつくる」という意味合いがあります。今後はぜひ1日3分でもいいので、自分自身を見つめ直す習慣を取り入れてみてください。

自分のスタイルを見出だせるまでには3年

リーダーになった途端、「さあ、自分のスキルを磨こう」と思う人は多いようです。ところが私がリーダーにとって大切だと思っているのは「スキル」より「スタイル」です。スキルは学べば身に付きます。「大きい」「高い」「多い」などというふうに優劣もつきやすく、競争してナンバーワンにもなれるものもあるでしょう。また、「専門性がある」と言い換えることもできます。

ところがスタイルは一人ひとり異なるもので、優劣や正解はありません。「オンリーワンだ」とも、「一貫性がある」ともいえます。

また、スキルは外部から自分の中に取り込むものですが、スタイルは自分自身にもとから備わっているものです。

社会に出て組織の一員になると、人は得てして本当の自分を隠すようになります。しかし、スタイルを見つけるには、それとは逆で「自分自身をさらけ出す」作業が必要になります。

私は今、企業のエグゼクティブ人材に対するコンサルティングを行っています。そこで分かったのですが、皆さんが自分のスタイルを見出だせるようになるまでには、だいたい3年がかかります。自分を本気で見つめるプロセスは時に苦しく、最初の2年くらいはモヤモヤした気持ちが続き、なかなか自分のスタイルを決められません。「自分にはこれができるし、あれもできる」と、ついスキル面ばかりにとらわれがちなのです。自分のスタイルを探すためには、「自分の良いところを出そう」というのではなく「自分は一体何にこだわっていて、何が好きで、何が嫌いなのか」を見つめる必要があります。

そして不思議なことに、そのエグゼクティブ人材が自分自身をさらけ出すことができるようになると、それに応じて、その方の会社の売り上げも伸びていきます。自分のスタイルがあれば、逆境に見舞われても、必ず力を発揮できるようになるのです。

中竹竜二さん
 (公財)日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター/U20日本代表ヘッドコーチ。TEAMBOX代表取締役。1973年、福岡県生まれ。早稲田大学人間科学卒業後、単身渡英。レスタ―大学大学院社会学部修了。三菱総合研究所でコンサルティングに従事した後、早稲田大学ラグビー蹴球部監督、ラグビーU20日本代表監督を務め、自律支援型の指導法で多くの実績を残す。 現在は、日本ラグビー協会コーチングディレクター(初代)として、指導者の育成、一貫指導体制構築に尽力している。次世代リーダーの育成・教育や組織力強化に貢献し、企業コンサルタントとしても活躍している。主な著書に『自分で動ける部下の育て方-期待マネジメント入門』(ディスカヴァー携書)、『部下を育てるリーダーのレトリック』(日経BP社)など。

(ライター 西山美紀)

[日経DUAL 2016年2月25日付記事を再構成]