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月経前のイライラ「PMS」 症状記録で悪化防止

日経ヘルス

2016/4/10

PIXTA
日経ヘルス

 月経前からイライラや情緒不安、眠気、過食、頭痛、むくみ、乳房の張り、便秘などが出現。でも、いざ月経が始まると不調はスーッと消える……。これが「月経前症候群(PMS)」の典型的な症状。編集部の調査では、イライラや怒りっぽさが最も多く、不眠や情緒不安が続く。精神的な症状に悩む人が特に多い。

(イラスト:sino)

 「精神症状が強く、社会生活にも支障が出る場合は『月経前不快気分障害(PMDD)』と呼ばれ、PMSの重症型と位置づけられる」と近畿大学東洋医学研究所の武田卓教授は話す。感情が高ぶってけんかをする、人前で泣いてしまう、過食に走って冷蔵庫の食べ物を全部平らげるといったことも。フルタイムの仕事に就くのが難しい人もいる。

 出現パターンは、月経の1週間くらい前から症状が現れ、次第に強くなって月経開始と同時に症状が消える例が最も多い。重症の場合は、いきなり強い症状が出て、それが月経開始まで持続する。中には排卵のころにも不調が出る人も。

月経の1週間ほど前(排卵の約1週間後)からPMSの症状が出始め、だんだん強くなるパターンが最も多い(左)。いきなり強い症状が出て、それが月経まで続く重症型も(右)。排卵のころにも一時的に症状が出る人もいる

 詳しいメカニズムはわかっていないが、このような症状に関わっているのが女性ホルモンのプロゲステロンだ。「妊娠のためのホルモンで、排卵すると分泌量が増える。水分をためる働きがあるため、むくみや便秘、乳房の張りなどの症状が出やすくなる」と東京歯科大学市川総合病院産婦人科の小川真里子准教授は明かす。

排卵後、卵巣からはプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増える。これが体内に水分をため込んで、むくみや乳房の張りなどを引き起こすと考えられる。月経が始まるとプロゲステロンの量がガクンと減るので、症状が一気に消失する

■「症状日記」でパターンを知る

(イラスト:sino)

 PMSは更年期症状に比べて認知度はあまり高くないが、悩んでいる人は決して少なくない。武田教授の試算では、症状が重いにもかかわらず治療を受けていない人が約180万人いるという。「高校生のころから始まることが多く、30年ほどのつきあいになる。更年期のつらさはせいぜい10年程度なので、実はPMSの方が悩む期間はずっと長い。症状が強い人は我慢せず、セルフケアや治療などの対策を講じて」と武田教授はアドバイスする。

 PMS対策として武田教授が一番に薦めるのが、「症状日記」。「どんな症状がどのくらいつらいか、2カ月ほどチェックすると自分のPMSパターンがつかめる」(武田教授)。月経の何日前から症状がつらくなるとわかれば、そこに重要な予定を入れないなどの対策も可能。知っておくだけで症状が軽くなることもある。

まずは自分のPMSを知ることから。どんな症状がいつ出た? 月経はいつ始まった? 症状はどのくらいひどい?など、程度を表すマーク(△○◎など)を決めて最低2カ月間記録してみて。上の表をコピーして手帳に貼ってもOK。マイパターンを把握しよう

 武田教授は東北大学勤務時代、高校生にPMSの講義をした。その後、東日本大震災が起こり、講義をしなかった高校では震災ストレスからPMSの悪化が認められたが、講義を受けていた高校生たちは悪化しなかったという。

■大豆や魚、ハーブで症状改善

 食事も大切だ。この時期は甘いものを食べたくなるが、とりすぎは禁物。「血糖値が急激に変動すると症状が悪化しやすい。間食は控えめにして食事をきちんととることが重要」と小川准教授。

 大豆製品も積極的にとりたい。大豆イソフラボンの摂取で、頭痛や乳房の張りなどのPMS症状が改善したとの報告も。「大豆イソフラボンには女性ホルモンの調節作用があり、ホルモンの変動を和らげる働きが期待できる」と武田教授。魚もいい。アスリートを対象にした武田教授の調査では、魚を多く食べる人ほどPMSの自覚症状が少なかったそうだ。

PMSがある女性23人(18~35歳)が、1日68mgの大豆イソフラボンを7月経周期、摂取。その結果、偽サプリを摂取した人に比べ、頭痛や乳房の張りなどの身体症状が明らかに改善した(データ:Br J Nutr ;93, 731-739,2005)

 またチェストベリーという西洋ハーブを含む市販薬も昨年登場。PMSの改善効果が認められている。

67人が月経3周期、チェストベリーエキスを含む薬(プレフェミン)を服用。周期を重ねるごとに、イライラ、抑うつ気分、怒り、乳房の張り、頭痛などのPMS症状が軽減した(データ:Adv Ther.;31,3,362-373,2014)
■PMSをラクに乗り越える心得
(1)自分のパターンを知っておく
(2)その期間は重要な予定を入れない
(3)大豆、魚などを積極的に
(4)甘いもの(間食)を食べすぎず、食事をきちんと食べる
(5)この時期は無理をしない

■この人たちに聞きました

武田卓所長・教授
近畿大学東洋医学研究所産婦人科医。東北大学産婦人科客員教授も務める。「PMSに悩む女性は多いが、治療を含め、十分な対策がとられていない。まずはPMSについて知ること。職場や社会での認知度を上げていくことも大事です」
小川真里子准教授
東京歯科大学市川総合病院産婦人科産婦人科医。専門は女性医学。「月経前には誰でも何らかの症状が出やすく、PMSは身近な不調。例えば米国では女性が『今、PMSなの』と言えば、ボーイフレンドにも通じるくらい一般に認知されています」

(ライター 佐田節子、構成 日経ヘルス 黒住紗織)

[日経ヘルス2016年4月号の記事を再構成]

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