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日本人女性に急増する乳がん 不安と疑問に答えます

日経ウーマン

2016/3/18

PIXTA
日経ウーマン

著名人の闘病報道などによって乳がんへの関心が高まっている。そこで、乳がんに関する代表的な疑問を専門医に聞いた。不安を解消して予防対策につなげよう。

Q.乳がんの原因は?

A.女性ホルモンや食生活の変化が一因

乳房にできる悪性腫瘍である乳がん。乳頭から放射状に広がる乳腺組織に発生し、放置するとリンパや血液の流れに乗って肺や肝臓、骨などに転移する。発症に関わるとされるのが、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロン。「女性ホルモンにさらされる期間が長い、つまり初潮年齢が早い、閉経が遅い、妊娠や出産経験がないほど、乳がんにかかりやすくなります。過度の飲酒や閉経後の肥満、不規則な生活も乳がんリスクを高めます。近年、高脂肪・高タンパクの欧米型食生活に変化したことも乳がん患者増加の遠因です」(湘南記念病院 かまくら乳がんセンター長の土井卓子さん)

Q.日本で乳がんは増えているの?

A.日本人女性が患うがん第1位は「乳がん」

乳がんは今や日本人女性の12人に1人がかかるがんで、女性のがん罹患数中最多。「現在は年間8万人ですが、20年には10万人がかかると推計され、乳がんによる死亡者数も先進国のなかで日本だけが上昇しています」と土井さん。近年、治療方法が細分化され、自分のがんのタイプに合わせた最善の方法を選択することが可能に。「憂慮すべきは、約20%という乳がん検診の受診率の低さ。乳がんのがん細胞は20~30代のころから発生し、特殊なタイプを除けば長い期間をかけてゆっくり成長するため、早い段階で見つけられるほど命を助けられるのです」

Q.乳がんを早く見つける方法は?

A.とにかく検診を受けることが早期発見の鍵

早期発見のために必須なのが乳房専用のレントゲン「マンモグラフィー(マンモ)」による検診。北斗晶さんのように「毎年マンモを受診していたのに乳がんを発見できなかった」という報道を聞くと「検診の意味は?」と疑問が湧くかもしれないが、「乳腺の密度が高い場合や、乳頭直下に病変がある場合はがんを発見しにくい。検診と検診との間に発見される成長の早いがんもあります。ですが、マンモ検診を受診することで乳がん死亡率が大幅に減少することが分かっている。そう考えると、検診の意義は大きいのです」

Q.マンモやエコーなど、検診の種類はどう選ぶべき?

A.40代は両方を組み合わせるのがベスト

「乳腺密度が高い場合、マンモでは乳腺もしこりも白く写り、がんを見つけにくい。超音波(エコー)検査では細かい砂粒状の“石灰化”という病変を見つけにくいなど、それぞれの検査に得意・不得意分野があります。乳腺密度が高い傾向にある40代は、マンモとエコーの併用がベスト。マンモとエコーの併用効果を見る『J-START』という研究により、40代では命に関わる浸潤がん[注]の発見率が高いことが明らかになっています。なお、近親者で乳がんにかかった人がいる場合、40歳までに1度はエコーを受けましょう」

[注]乳がんの9割は乳腺内の乳管に発生。がんが乳腺内にとどまる「非浸潤がん」なら命の心配はないが、外へ出てしまうと「浸潤ガン」と呼ばれ、全身への転移のリスクが高く、命にかかわる。

Q.マンモを受けるベストタイミングは?

A.生理開始後3日目~1週間がお薦め

乳房を強い圧で挟み、レントゲンを撮るマンモ。「乳房が張っているときは痛みを感じやすいので、生理開始後3日目~1週間ぐらいの間に受けるといい」

Q.検診施設はどう選ぶ?

A.全国リストを参考に

精度の高い乳がん検診を行う施設を探すには、「日本乳がん検診精度管理中央機構」のサイトの病院リスト(http://www.qabcs.or.jp/mmg_d/list/)を参考にしてみよう。またエコー検査をする人の技量には、ばらつきがあるのが実情。同機構の乳房超音波講習会を受けているか施設に問い合わせを。

◇   ◇   ◇

■月に1度の“自己検診”が体を守る

乳がんは、普段から体に触れることによって、自分で早期発見できる数少ないがん。1~2年に1回の乳がん検診をベースとするとともに、触診によるセルフチェックを習慣にしよう。「人さし指、中指、薬指の3本の指の腹で乳房を縦横方向に触れ、硬い部分がないかチェックして」と土井さん。しこりなど気になる症状があれば、すぐに乳腺外科や乳腺科で診察を受けよう。

CHECK【見る】

□ 乳房の大きさに左右差はないか

□ 乳房の形に左右差はないか

□ へこみや引きつれはないか

□ 乳首にただれや出血はないか

□ 乳房に赤みがないか

CHECK【両腕を上げてひきつれチェック】

両腕を上げて、へこんだ部分やひきつれを感じる部分がないかを確認。しこりがあると、ひきつれを感じやすい。

CHECK【全体をくまなく触ってチェック】

チェックする乳房の側の手を後頭部に置き、もう片方の手の指の腹で鎖骨の下から乳房の下まで縦横方向に触れる。脇の下にも手を入れ、しこりがないかをチェック。

【しこりを探すコツ】

グーにした手の甲の指の付け根の上に6つ折りのハンドタオルを置く。タオルの上から指の腹で触れた付け根の感触が、実際のしこりに近い感覚。目安を知っておくと格段に探し当てやすくなる。

(写真:スタジオキャスパー)

■乳房切除後の再建が保険全適用に

これまで乳房再建の保険適用範囲は、「お腹や背中などの自分の組織による乳房再建のみ」だったが、14年1月から、インプラント(人工乳房)による乳房再建も保険適用に。再建費用のハードルが大きく下がり、朗報だ。

この人に聞きました

湘南記念病院 かまくら乳がんセンター長 乳腺外来 医師
土井卓子さん
乳腺外科分野で30年の経験を積み、女性の立場からの乳がん治療、乳腺分野での治療に従事。医師、看護師だけでなく、薬剤師、体験者コーディネーターなどを組み込んだ乳がん治療チームによる、心のこもった医療を行う。

(ライター 柳本操)

[日経ウーマン 2016年3月号の記事を再構成]

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