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自分と家族のために知っておきたい 乳がんとお金 働き女子のお金レスキュー隊!

日経ウーマン

2016/3/11

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日経ウーマン

昨秋、同居している夫の母が乳がんになりました。乳がんは手術後に再発予防の治療が長く続きます。それを義母と家族に言ったところ「知らなかった」と大合唱。治療が長期にわたるとお金もかかります。知っておくことは財産です。30~40代での発症は多いので、どんなお金がかかるのか見てみましょう(一例を基にした目安。金額は3割負担分)。

【手術(乳房温存の場合)】1週間から10日程度の入院で25万~28万円。ただし「高額療養費制度」により、一定額を超える部分は払い戻されるので、最終的な医療費負担は約9万円です(月収28万~50万円のケース。月収26万円以下なら約6万円)。

再発予防の治療には、抗がん剤や放射線、ホルモン療法があり、治療法は乳がんのタイプや広がりによって決まります。すべて必要な場合もあれば、ホルモン療法だけの場合もあります。

【抗がん剤】6カ月で約22万円(3週に1度投与×4回、毎週投与×12回の併用療法の例。1回1万4000円弱)[注]

[注]抗がん剤は、3週に1回ACを、毎週パクリタキセルを投与した場合。治療方法と金額は一例であり、異なるケースもあります。

【放射線治療】5~6週間で12万~15万円(月~金の週5回通院。1回約5000円)。

【ホルモン療法】3カ月に1度生理を止める注射を打ち、1回約2万2000円。さらにホルモン療法薬が月に約4000円で、5年間投与。

ここまでの治療費を合計すると5年間で100万円超。このほかに検査費用や診察料もかかり、抗がん剤を使う場合はウイッグの購入費用もかかります。

どんなタイプのがんになるかは、分かりません。治療費がかさんだ場合を想定して、どう備えるのか考えてみましょう。

■貯蓄とがん保険で治療費をカバーする

イラスト:いいあい

ホルモン療法は5年間と長く続きますが、1回に支払うお金は多額ではないので、毎月の収入で賄うとしましょう。

一方、手術後に抗がん剤・放射線治療となると、短期間で数十万円の出費。毎月の収入で賄うのは難しいので、貯蓄に加え保険でも備えておくと安心です。

がんに備えるなら、医療保険よりもがん保険がおすすめ。抗がん剤投与も放射線治療も、入院せずに外来で済むケースがほとんどです。医療保険は、入院か手術で給付金が出るものですから、乳がんのように外来で高額な治療費がかかると保険でカバーすることはできないのです。

そんなとき、がんと診断されると100万円などのまとまった額の「診断給付金」が受け取れるがん保険は頼りになります。

特に正社員ほど雇用が安定していない派遣社員や契約社員の人は、がん保険の必要度は高いといえます。もし、放射線治療をすることになると、平日に毎日通院する日々が5~6週間も続きます。一時的に収入が途絶えるとしたら、がん保険の診断給付金は役に立ちます。

がん保険には「悪性新生物(がん)のみ対象」と「悪性に加え、上皮内新生物も対象」のタイプがあります。上皮内新生物とは、がんが上皮内にとどまり深いところまで広がっていない状態のこと。取ってしまえば転移の可能性はほとんどなく、大腸の上皮内新生物などは内視鏡の簡単な手術で取れることが多いようです。このため、「上皮内を対象外」として保険料を抑えたがん保険もあります。

でも、乳がんの「上皮内」(非浸潤性乳がんといいます)の場合は、悪性とほぼ同様の治療コースになるのです。乳房全摘出もあり得るし、手術後の放射線治療が必要なケースもあります。ないのは抗がん剤くらい。

貯蓄がまだ十分でなく、放射線治療を受けるとなると収入がダウンするかもしれない人は、「上皮内も悪性同様の保障」のタイプを選ぶのがいいですね。

非正規雇用の人には特に、貯蓄をコツコツ増やしつつ、保障がシンプルで保険料の安いがん保険に入ることをおすすめします。もし乳がんになっても、治療が終わる日は必ず来るので、仕事を辞めようと思わないでね。

今月の回答者

深田晶恵さん
ファイナンシャルプランナー。株式会社生活設計塾クルー取締役。外資系電機メーカー勤務を経て、1996年にFPに転身。現在は、特定の金融商品を販売しない独立系FP会社生活設計塾クルーのメンバーとしてコンサルティング業務を行うほか、雑誌等の原稿執筆、講演などを手がける。

[日経ウーマン 2016年4月号記事を再構成]

日経WOMAN2016年4月号

著者 :
出版 : 日経BP社
価格 : 590円 (税込み)

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