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レコード大手SME、各地でイケメン版AKB48育成 地方局と組み原石発掘

日経エンタテインメント!

2016/3/13 日経MJ

「劇団番町ボーイズ☆」は好素材の宝庫として評判が高まってきている

レコード会社大手のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)で新人の発掘・育成を手がけるSDグループ。1978年に発足し、松田聖子や尾崎豊から、西野カナ、KANA―BOONまで200組以上のアーティストを音楽シーンに送り出してきた同セクションが、現在“劇団”の育成に力を入れているという。

手がけているのは男性18人が所属する「劇団番町ボーイズ☆」。きっかけは2014年夏ごろのオーディションだった。当時は雑誌『Smart』のモデル募集や、読者モデルとユニットを組むメンバーを探す「ボーイズグランプリ」など、新しいタイプのオーディションをいくつか開催していた。

劇団設立の中心となったSDグループの長谷川愛子氏は「オーディションの特性上、魅力的なビジュアルの子とたくさん出会えたが、必ずしも歌が得意な子ばかりではなかった。そのままでは社内のレーベルなどでデビュー候補生に選ばれるのは難しい。違うプレゼン方法として考えたのが劇団だったんです」と話す。

こうして14年11月に結成。だが、社内に劇団運営のノウハウは全くない。15年4月の旗揚げ公演も集客に苦労し、「当時はどうしてレコード会社が劇団をやるのか、という社内からの視線を感じていました」(長谷川氏)。

しかし、公演が終わると状況がガラリと変わった。公演に出た18人のうち3人が、俳優も抱える系列のソニー・ミュージックアーティスツの所属に。さらにもう1人、誘いを受けて他社へと移籍した。これは「普段のSDグループでのプレゼンと比べてもかなり高い採用率」(長谷川氏)だと言う。

音楽の分野でも成果が表れた。15年4月から始まったシドのボーカリスト、マオらが参加する「イケVプロジェクト」、10月に始まった読者モデルとのユニットメンバーを探す「ボーイズグランプリウエスト」という両オーディションでは、番町ボーイズ☆のメンバーがグランプリを獲得。メジャーデビューに向けて準備が進んでいる。

長谷川氏と共に番町ボーイズの育成に携わる佐藤友佳子氏は「大勢の人の前で勝負する度胸や責任感など、デビューしないと得られないものが身につく。劇団を経験したことで急成長したメンバーが本当に多かった」と振り返る。徐々に好素材の宝庫との評判が高まり、昨年11月の第3回公演には各レーベルの代表クラスがこぞって視察に訪れた。

こうした“イケメン集団”からスターを育てる動きは、SME社内で各地に広がっている。

福岡では総合エンターテインメントグループ「10神 ACTOR(テンジンアクター)」の人気が上昇中。これはSMEとFBS福岡放送が組み、歌・ダンス・芝居ができる才能を探すオーディション番組で結成された10人組だ。14年7月に始まった番組は、メンバーの活動を追う形で現在も続いており、昨年10月からは放送地域が九州4局に拡大。地元では、1500人規模の会場を埋めるまでに成長してきた。

昨年10月には北海道でも、大泉洋を擁する地元の芸能プロダクションのオフィスキュー、札幌テレビと組んで、オーディション番組「アオタガイ学園」をスタート。東京や福岡と同様に、劇団的な展開も考えているそうだ。

AKB48グループやスターダストプロモーションなどの女子アイドルグループと違い、男性グループを地方展開する例はほとんどない。演技を切り口にグループを売り出していくこの試みがどこまで広がるか、注目される。

(「日経エンタテインメント!」3月号の記事を再構成。敬称略、文・山本伸夫)

[日経MJ2016年3月4日付]

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