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マイナス金利下での資産運用「見直し64%」 日経モニター調査

2016/3/6

日銀のマイナス金利導入決定から1カ月あまりが過ぎた。「日経生活モニター」に登録する読者を対象に、マイナス金利をきっかけに資産運用を見直すかを聞いたところ、すでに見直したり、見直しを検討したりしている人が全体の64%に達した。一段と金利が下がった普通預金などから、より高い利回りが期待できる金融商品に資金を移そうと考える人が多い。調査は2月13~17日に実施した。有効回答は814。

資産運用の見直しに「着手した」との回答は11%、「着手していないが、必要性を感じる」とした人は53%だった。マイナス金利の導入決定後、大手銀行の普通預金金利が0.001%に下がるなど元本の安全性が高い金融商品の金利は一段と低下している。「預ける意味がなくなった」(兵庫県の年金生活者、67)といった声が目立つ。

ただし、具体的な見直し策については方針が分かれた。見直しに「着手した」または「着手していないが、必要性を感じる」と回答した人に聞いたところ、銀行預金や国債などの「元本の安全性が高い商品を増やす」が25%。株式や投資信託など「リスク性資産を増やす」は21%だった。「当面は様子見だが、将来に向けて情報収集する」は54%と過半を占めた。

資産見直し方針によって、減らしたり増やしたりしたい資産は大きく異なる。「元本の安全性が高い商品を増やす」と答えた人に、減らしたい資産をたずねたところ「日本株」が43%と最も多かった。「日本株などで運用する投資信託」も18%あった。一方、増やしたいとの回答のトップは「定期預金や定期・定額貯金」で36%。「普通預金・通常貯金」も26%で続いた。

日銀のマイナス金利導入決定後に株式相場は乱高下し、日経平均株価は調査の直前に1万5000円を割り込んだ。その後も不安定な値動きが続くため、いったん資金を引き揚げ定期預金などに避難させる様子がうかがえる。

千葉県の男性会社員(51)は確定拠出年金をすべて株式で運用していたが、半分を定期預金に変えた。「株価の先行きが不透明なため、チャンスを待つ」という。東京都の男性会社員(47)は日本株の一部を現金化したが「MMF(マネー・マネージメント・ファンド)が販売停止になったので、金利上乗せキャンペーンをしているネット銀行の定期預金にする」という。

逆に「リスク性資産を増やす」と回答した人では、減らしたい資産のトップが「普通預金」で58%。「定期預金や定期・定額貯金」も34%に達した。増やしたい資産の首位は「日本株」が62%と断トツだった。「外貨建て資産」(41%)、「日本株などの投資信託」(25%)と続いた。

「日本株を増やしたい」と回答した層は、マイナス金利導入決定後の下げを好機とみている。埼玉県の自営業男性(69)はファナック株や日本電産株などを買った。財務体質が良好で国際競争力のある銘柄として注目し「割安感があると判断した」という。預金金利が下がったため「配当や株主優待は非常に魅力がある」(東京都の女性会社員、36)との声もある。

マイナス金利導入決定後は円高も進んだ。東京都の男性自営業者(60)は外貨預金や外国債券に資金を振り向けた。「今の水準は仕込み時とみている」という。愛知県の男性会社員(52)は米国株の上場投資信託(ETF)を購入したという。

「当面は様子見」とした人では、普通預金や定期預金について「減らしたい」とした割合が「増やしたい」を10ポイント以上上回った。ただ日本株や外貨建て商品では「減らしたい」と「増やしたい」との回答がほぼ拮抗。預金の魅力は低下しているものの、値動きが大きいリスク性資産も手を出しにくいようだ。埼玉県の専業主婦(41)は預金の代わりに「百貨店の友の会積み立ても考えたい」という。

金利低下で恩恵を受けやすいのが住宅ローンの借り換えだ。埼玉県のパートの女性(48)は1300万円残っている住宅ローンの借り換えを検討し始めたという。兵庫県の男性公務員(50)も借り換えを念頭に「どこまで金利が下がるか見極めたい」としていた。(長岡良幸)

■定期・住宅ローンの金利低下
マイナス金利の導入決定以降、金融商品の金利は軒並み下がる傾向にある。大手銀行やゆうちょ銀行の普通預金・通常貯金は0.02%から0.001%へ、定期預金も期間が長いものを中心に下がった。
比較的金利が高いインターネット銀行にも引き下げは波及している。楽天銀行は定期預金(100万円・期間1年)の金利を0.13%から0.04%にした。
個人向け国債の10年変動金利型は2月募集分の金利は0.05%と、商品の設計上の最低水準になった。基準となる市場金利が下がったためだ。国債の利回り低下を受け、ゆうちょ銀行と日本郵便は日米の国債で運用する投資信託「JP日米国債ファンド」の発売を取りやめた。
住宅ローンでは三井住友信託銀行が10年固定型の最優遇金利を年0.5%にすると発表。メガバンク3行はそろって0.8%にするなど、引き下げ競争は過熱している。
金利の低下で今後増えるとみられるのが、貯蓄性のある保険商品の売り止めや実質的な値上げだ。すでに一部の保険会社は一時払い終身保険の販売をやめたり、保険料の引き上げを決めたりしている。

[日本経済新聞朝刊2016年3月2日付]

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