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「新感覚しょうゆ」…フルーツにエビ、粉末も

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日々の食卓に欠かせない調味料・しょうゆが多様化してきている。卵ごはん専用や、かけるだけで薫製の風味が味わえる薫製しょうゆといった"新感覚しょうゆ"が増えているのだ。最近ではヤマサ醤油が、フレンチの巨匠・ジョエル・ロブション氏が監修を務めた「鮮度の一滴 グルメしょうゆ」を発売して話題となった。こうした新しいしょうゆが開発される背景に何があるのか。タイプの異なる3種のしょうゆが作られた経緯を探る。

海外でも普通に使ってほしい フルーツ×しょうゆ

バナナ、洋梨、ブルーベリー、ラズベリー、カシス、ザクロ、チェリー、パッションフルーツ、桃、ブドウ。これらの果実を使った新感覚のフルーツしょうゆが「ビューティソイソース」だ。かんきつ類ならポン酢じょうゆから味を想像できるが、このラインアップは、どんな味なのか好奇心を刺激される。口に含むと、まろやかなうすくちしょうゆ。その中にかすかな酸味とフルーティーな香りが立ちのぼり、果実の味もしっかり残る。洋食・和食問わず、さまざまな料理に活躍しそうだ。

フルーツしょうゆを企画したのは、エドデザインワークスの岡崎利彦氏。もとはアパレル関係の仕事をしていたが、関西出身でうすくちしょうゆの本場が身近な場所で生まれ育ったため、洋服の買いつけで海外に行くたびに現地のしょうゆが気になっていたという。

和食ブームやしょうゆの輸出が増加していると言われるのに、日本食レストランにちゃんとしたしょうゆが置かれていなかったり、スーパーで見つけたしょうゆもホコリをかぶっていたり。「海外の一般家庭でも使ってもらうにはどうしたらいいか」と考え、洋食の肉料理のフルーツソースをヒントに、果物を使ったしょうゆの開発を始めた。

製品に使用する純米酢の老舗製造元(1882年創業の今酢屋)のいとこの協力で、うすくちしょうゆの老舗・1879年創業の「オオギイチ醤油」(末広醤油)と組み、外国人にもアドバイスをもらって、3年以上かけて商品化。添加物、保存料不使用で、高級料亭御用達のうすくちしょうゆをベースに、旬な果物の果汁と伝統的製法の純米酢、純かき酢などをブレンドしたフルーツしょうゆができあがった。

夏場はさっぱりした酸味のパッションフルーツ、冬場は肉料理にあうカシスやラズベリーが人気だが、年間通した一番人気はブルーベリー。桃の節句に「ももしょうゆ」など季節にあわせて使い分けたり、ずらりと並べてあれこれ試したりするのも楽しい。プレゼントやパーティーの演出にも最適だ。

4年前に開店した学芸大学駅近くの店舗(東京・目黒)では、味見もできる。メディアでの紹介や口コミで広がり、2015年度は前年度の売り上げから約3割アップ。おいしくて使いやすいとリピーターも増えている。

サラダやマリネ、カルパッチョ、スパイスやオリーブオイルを足してドレッシングにしたり。洋食だけでなく、「らずべりーしょうゆ」×納豆、「ばななしょうゆ」+ラー油×ギョーザといった意外な組み合わせも「すごくおいしい」(岡崎氏)とか。組み合わせの発見やアレンジの楽しみが広がる、新しいしょうゆスタイルだ。

ここにしかない思い出のご当地味 北海シマエビ×しょうゆ

北海道の別海町観光開発公社が観光土産として開発したしょうゆが「しまえび醤油」だ。

別海町は北海道東部の根室と中標津の間の一帯で、全長26キロメートルという日本最大の砂嘴(さし)・野付半島がある。その野付湾の名産品のひとつが「北海シマエビ」。北海道遺産にも指定されている白い帆を張った「打瀬舟(うたせぶね)」による北海しまえび漁を見に来る観光客も多いという。

しかし、この北海シマエビの漁期は、初夏と秋の2回のみ。生鮮品なので、いつでも買って帰れるわけではない。そこで持ち帰れるお土産として「しょうゆに加工したらどうか」とアイデアが出た。しょうゆならどこの家庭でも毎日使うし、人にあげても喜ばれる。すでに「あさり醤油」を開発した経験もあり、うすくちだしじょうゆに北海シマエビのうまみをとじこめた"ご当地しょうゆ"ができあがった。お豆腐、おひたし、刺し身や炊き込みごはんに使うと、北海シマエビの風味が、野付半島の風景の思い出とともに立ちのぼってくる。

2015年秋に発売したところ好評で、すでにリピーターも多い。百貨店などからも取り扱いたいという話がくるが「この場所に行かなければ買えないしょうゆ」として観光の思い出とセットする路線を守り、ほかでは販売しない。ご当地しょうゆ第1弾の「あさり醤油」は「野付半島ネイチャーセンター」のみ、「しまえび醤油」は、「道の駅おだいとう(別海北方展望台)」のみの販売だ。

老舗の蔵から生まれた フリーズドライのしょうゆ

新タイプのしょうゆの中でもひときわ斬新なのが、フリーズドライの粉末しょうゆ「ソイソルト」。液体ではなくふりかけのような顆粒状で、カリッとした食感と香ばしい風味が魅力だ。開発したのは1753年に創業した香川県引田のかめびし。大豆と小麦をむしろの上に広げてこうじを育てる伝統的な「むしろ麹法」を守り続けてきた老舗だ。

開発のきっかけは、18代目の岡田佳織氏によると、父の言葉がヒント。「しょうゆは重いのでもっと軽く持ち運べる方法はないかと言ったんです。また、しょうゆの消費が低迷してきて、利用シーンを広げるため洋食に使えるしょうゆがあればと考えて」この2つの課題をクリアするため、イタリアンやフレンチのシェフに協力してもらい、1年以上の試行錯誤を重ねて、シェフたちが求めていたシーズニングにも使えるしょうゆのフリーズドライ化に成功した。

うまみの強い「三年醸造」と薄色で塩味のきいた「うすくち」を発売したのが、2007年。その後、一般家庭でも使いやすい、香ばしい玉ねぎとニンニク風味の「オニオン&にんにく」、ピリッとうまい「青唐辛子醤油」を使った「青唐辛子&にんにく」など、フリーズドライの機械を購入して開発、ラインアップを広げてきた。2015年はテレビ番組で紹介され、通常月の20倍の売り上げとなった。

サラダのアクセントに粒コショウ感覚で使ったり、汁漏れが困るお弁当にも最適だ。シェフたちは、ソテーした肉や魚、野菜の上に一粒のせたり、皿のデコレーションに使ったりすることも。すぐには溶けない特性を生かしてスープの上に浮かべたり、デザートのアクセントなど、さまざまに使われている。

一番新しい「Super Sel(シュペールセル)」は、こうした少量でも存在感のある使い方から「もう少し塩分が強ければ」という要望がでてきて生まれた製品だ。しかし単に塩を追加したのでは、しょうゆとしては邪道。いろいろな蔵のしょうゆを試す中、うすくち仕込みで長年置かれていた蔵のしょうゆに、ちょうど良いものが見つかった。10年寝かしていたことでうまみが強く、水分が蒸発して塩分濃度も高い。伝統的製法で丁寧に作られたたくさんのタイプのしょうゆが、歴史ある蔵に長期熟成されている老舗だからこそできた味わいだけに、「他社がいくら製法をマネしても、同じテイストのものはできません」と岡田氏。まさに、かめびしの社訓でもある"伝統と革新"から生まれた、しょうゆの進化系だ。

増えるしょうゆの使い分け、健康志向が背景に

なぜこのようにバラエティー豊かなしょうゆが次々と登場するのか。『醤油手帖』(河出書房新社)などの著書があるしょうゆ研究家の杉村啓氏に話を聞いた。

◇   ◇   ◇

このような、何かに特化したしょうゆが小瓶で販売されることが増えているのは、以前と比べ、日本人のしょうゆの使い方に変化が表れているからだろう。

大家族が減り、少子化、核家族化が進んだので、煮物のようなしょうゆをたくさん使う料理を作る機会は減りつつある。そのため、昔のような一升瓶ではなく、小瓶のしょうゆで足りるようになった。

しょうゆの消費は年々減っているが、実はだしじょうゆやめんつゆのようなしょうゆ加工品の消費は伸びている。自分で味つけをするのではなく、最初から味がついている調味料を選ぶ人が多いのだろう。また健康のために減塩志向が高まり、従来のしょうゆではなく、塩分ひかえめのだしじょうゆを選ぶ人も増えてきた。

だしじょうゆの消費が増えてきたことで、最初から味がついているしょうゆの手軽さに気づいた人が増えたのではないだろうか。その流れがたまごかけごはん専用しょうゆに見られるような、専用しょうゆブームにつながったと考えられる。

最近、人気なのが魚介類を主な原料にした「しまえび醤油」のような「魚醤(ぎょしょう)」ジャンル。醸造技術が進歩して、発酵力が弱い種類の魚でも魚醤が作れるようになったため、全国各地で特産品を使ったバラエティーに豊んだ魚醤が作られている。新技術で使られた魚醤は生臭みも少なく、日本人の舌になじみやすい。

もともと関西には、さまざまなしょうゆを料理によって使い分ける文化があった。何種類ものポン酢を家庭に常備し、野菜やトリ、ブタ、ウシなど素材の味にあわせて、繊細に使い分けていた。そうした文化が、前述したような傾向とあいまって全国的に広がってきたのだろう。

また、空気に触れない容器の開発や、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことにより、しょうゆが見直され、注目を集めたことも大きい。新しいしょうゆが次々と登場している背景には、そういった流れがすべて合わさっていると思われる。

(フリーライター 波多野絵理)

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