米国株投資は「四半期」を見る 日本と異なる方程式

日経マネー

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米国株の取引方法は日本株とほぼ同じなので、日本株の投資経験がある人なら、スムーズに売買できるはずだ。しかし、米国株取引には、日本と異なるルールや傾向もある。思わぬ損をしないために、事前に覚えておこう。

 まず、米国株は1株単位の売買が基本。数万円の資金でも複数の銘柄に投資できる。「業種が偏らないように、分散投資を心掛けたい」(資産運用アドバイザーの尾藤峰男さん)。米国市場は値幅制限がないのも特徴。ストップ安がないため、一日で株価が半値になってしまうケースもある。

 米国株では、同じ銘柄が「クラスA」「クラスB」のように区別されている場合もある。これは、シェアクラスという仕組みで、クラスによって議決権や転売権などに差があるので注意したい。

米国株は四半期ごとの決算を重視

 米国株投資では、日本との「決算の捉え方」の違いも重要だ。四半期ごとに決算が発表されるのは同じだが、日本の四半期決算が「通期決算の途中経過」といった位置付けなのに対し、米国市場では「どの四半期も同じように扱われる」(尾藤さん)。

 四半期決算が発表されると、その3カ月間の業績が前年同期と比べて伸びているか、アナリストの予想の平均値を上回っているか、といった観点から株価が上下に動く。日本よりも分かりやすい素直な反応になることが多いという。

 決算で見るべき数字も異なる。日本では営業利益や経常利益の注目度が高いが、米国ではEPS(1株利益)の伸びが特に重視される。米国は株主還元の意識が強く、自社株買いを通じたEPSの継続的な押し上げが期待されているからだ。また、配当は基本的に四半期ごとに実施される。

マネックスの手数料は最低5ドルから

 米国株を扱う主なネット証券3社の取引環境を比較してみよう()。3社とも特定口座に対応し、取り扱い銘柄が1000銘柄を超えるなど、数年前と比べてレベルが大幅に上がっている印象だ。

注:2016年2月初旬時点。価格は税抜き。手数料は国内手数料。手数料の例は1ドル=120円で試算

 最大の注目ポイントは売買手数料。SBI証券と楽天証券は株数に応じた手数料、マネックス証券は約定金額に応じた手数料体系になっている。ただ、マネックスの手数料が1取引当たり5~20ドルなのに対し、他2社は最低でも1回25ドル掛かる。このため、手数料ではマネックスが有利といえる。

 特に手数料の差が大きくなるのは、1回数万円の少額取引のケース。例えば、株価500ドルの銘柄を2株(約12万円分)買う場合、SBIと楽天の手数料は25ドルだが、マネックスは5ドルで済む。また、取引株数が多い場合も、手数料に上限(20ドル)があるマネックスが大幅に有利になる。

マネックスの「トレードステーション」。スクリーニングやランキングなどの機能も充実

 取引環境を見ても、高機能なトレーディングツール「トレードステーション」が使える、リアルタイム株価が無料で提供される、逆指し値が使えるなど、マネックスが一歩リードしている印象。特に注目したいのは、時間外取引に対応している点だ。米国市場では、決算発表を受けて時間外取引で株価が大きく動くことも多い。マネックスなら、こうした動きに反応して利益を狙うこともできるわけだ。

 SBI、楽天が優れるのは、決済手段。外貨決済だけでなく円貨決済にも対応しているので、円口座の資金で直接米国株を購入することができる。SBIは、住信SBIネット銀行と連携できるのもポイント。銀行でドルに替えてから証券に送る形にすれば、実質的な為替手数料を片道15銭に減らせる。銀行と証券間の入出金手数料も無料だ。

SBI証券の「米国株スクリーナー」は投資指標やテクニカルなど50以上の項目を使ってスクリーニングが可能。スライダーを左右に動かすだけなので直感的に操作できる
楽天証券は、銘柄の詳細画面で、売上高や利益の推移をグラフで表示。業績動向が一目で分かる。また、割安度や成長性などをレーダーチャートで評価する機能もある

(日経マネー 市田憲司)

[日経マネー2016年4月号の記事を再構成]

日経マネー(ニッケイマネー)2016年5月号

著者 :
出版 : 日経BP社
価格 : 690円 (税込み)

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