動画だけじゃない、ゲームも楽しい新アップルTV
第3世代Apple TVまでは、YouTubeやHuluなど有料・無料の動画配信サービスを見る機能が、標準で搭載されてきた。だが、Apple TV 4では動画配信サービスを使うにはApple TV対応アプリを入れなければならない。逆に言えば、自分でアプリをインストールしないと、動画配信サービスがほとんど利用できない。
YouTubeアプリはApple TV 4登場時に既にリリースされていたが、Huluアプリは、Apple TV 4の発売から約1カ月遅れでアプリが登場した。今思えば、たったの1カ月なのだけど、筆者にとっては長かった。iPhoneで見ていた番組の続きを、テレビで見ようと思ったときに「あ、Apple TVのアプリではできないんだ」と思うことが何度もあった。それだけ自然に使っていたのだ。
Apple TVの面白さは、パソコンの画面で見ることが当たり前だった動画配信サービスをリビングのテレビで見られることにある。テレビで見ても動画配信サービスは面白く、自分が今でも「テレビっ子」であることにも気づかされた。
ただし、Apple TV 4には難点がある。Apple TV 4で動画配信サービスを見るとき、リモコンからキーワードを入力して番組を検索する場合がある。付属リモコンでは、これがひどく使いにくいのだ。音声アシスタントのSiri機能は、検索フィールドへの文字入力に対応していない。
iPhoneやiPadをApple TVのリモコンとして使うアプリ「Remote」を使うと、検索時にiPhoneやiPadの文字入力機能が利用できる。文字入力が必要な場面では、すべてRemoteを使うのがおすすめだ。
なお、付属リモコンで動画配信サービスを見る際は「検索しない」に限る。HuluやNetflixなど今どきの有料動画配信サービスも、無料で見られるYouTubeも、ユーザーアカウントを登録しさえすれば、ユーザーの視聴履歴から面白そうな動画をリコメンドしてくれる。検索しなくてもテレビのチャンネルを次々切り替える「ザッピング」感覚で楽しめるのだ。
家庭用ゲーム機の楽しさを思い出した
Apple TV 4ではネイティブアプリを利用できるのが魅力。だが、本記事でのアプリの紹介は、HuluとYouTube、Air Videoと動画配信/再生用に偏ってしまっている。筆者の用途のほとんどが、その3つだったからだ。
他のユーザーも同じと見えて、現在のApple TV用アプリの中では、動画配信サービスを楽しむためのアプリと、パソコンやiPhoneの映像を再生するアプリが人気を博している。その他の、App Storeのランキングで健闘しているアプリは、ほぼゲームだ。Apple TV 4のアプリ数は半分以上がゲームという報告もある。
ただし、そのなかから自分の好みにあったゲームを探すのは、なかなか難しい。というのも、Apple TV版には、スタッフの「おすすめ」と、「有料」「無料」のランキングといった漠然とした表示しかない。現状ではゲームもユーティリティーも区別されていないのだ。iPhoneやiPadのApp Storeのように「カテゴリ」表示があれば、もう少し探しやすくなるだろう。
Apple TV 4用のゲームアプリは、現時点では大味なアクションゲームが多い。じっくり楽しむRPG(ロールプレイングゲーム)のようなものは少ないように見える。ただ、筆者が偶然見つけた「デラクエスト」というゲームは、懐かしい感じのするRPGだ。早速、iPadで遊ぶために持っていたゲームパッド「SteelSeries Stratus」で遊んでいる。
Apple TV 4はMFi認証を受けたゲームパッドを接続して、家庭用ゲーム機のようにコントローラーとして利用できる。MFiとは「Made For iPhone/iPad/iPod」のことで、アップルが自社製品での利用を認めているという証。筆者のSteel Series Stratusも、MFi認証を受けていて、将来登場するApple TVでは使えるようになるのではないかと思っていたら、その通りになった。
ゲームパッドでデラクエストを遊ぶと、気分はファミコン! 最近は、携帯ゲーム機ぐらいでしか遊んでいなかったのだけど、テレビにかじりついて家庭用ゲームで遊んでいた子どものときの感覚がよみがえってきた。
ゲームパッドもSiri Remoteと同じで、Bluetooth接続。Apple TV 4の高い処理速度のおかげもあって、スムーズに操作できる。Siri Remoteでも十分に操作できるが、ゲームパッドを1つ持っていると、ゲームの楽しさが格段にアップするはずだ。
結局、Apple TV 4は買いなのか?
Apple TV 4の発売直後は、以前のApple TVでできていたこともできないなど、不便なことが多かった。それが、定番アプリが出そろい、OSのアップデートなどにより、わずか1カ月で好転してきた。アプリでさまざまな機能が追加され、Apple TVの可能性が拡張されていくことも実感できている。今後、どうなっていくかも楽しみだ。
最初は「安くなった第3世代Apple TVで十分なんじゃないか?」とか、「Apple TV 4を買うなら、もうちょっと待ったほうがいい」と思っていたが、今ならApple TV 4を十分におすすめできる。
リビングのテレビで動画配信サービスを楽しみたい人にとって、お手ごろな価格で始められるのは第3世代Apple TVだろう。ただ、Apple TVは毎年新機種に買い替えていくたぐいのデバイスではない。また、ネイティブアプリの対応により、Apple TV 4の「できること」がどんどん増えていく。予算が許せば4のほうが良いだろう。
第3世代(8200円、税別)よりApple TV 4(1万8400円~、税別)のほうが価格は高いが、付属リモコンのSiri Remoteでの操作スタイルだけでも、その差額は埋められると考える。Apple TV 4を接続すると、うちのテレビがすごくなったと感じられるはずだ。
(日経トレンディネット 伊藤朝輝)
[日経トレンディネット 2015年12月18日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。