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ウオーキングより楽で効く、「スロージョギング」

日経ヘルス

2016/3/2

(写真:稲垣純也)
日経ヘルス

「運動嫌いでも続く」と評判のスロージョギング。肥満学会や抗加齢医学会などでも発表され、関心の的です。ウオーキングよりラクにやせられるだけでなく、老化ホルモンを抑えて若返りホルモンを分泌するアンチエイジング効果もあるのです。

[注]「スロージョギング」は一般社団法人日本スロージョギング協会の登録商標。

「若返りホルモン」の一つ、DHEAは「30分間の有酸素運動と筋トレの組み合わせで分泌が増えた。筋トレは下肢の大きな筋肉を使うとより効果的だ」と、老年医学が専門の東京大学大学院医学系研究科の秋下雅弘教授は話す。

この条件にピッタリなのが、歩く速さで走る「スロージョギング」。提唱する福岡大学の田中宏暁教授は「スロージョギングはウオーキングに比べ、脚を引き上げたり地面を蹴ったりするときに太ももやお尻の大きな筋肉を使う」という。

それでいて、抗ストレスホルモンのコルチゾールは増えない。「隣の人と笑顔で話しながら走れる速度“ニコニコペース”を保つので、一般的なジョギングのように心臓に負担がかからない。コルチゾールの増加も抑えられる」(田中教授)

ダイエット効果を出すには1日30分以上が目標だが、「1分×30回など細かく分けても効果は得られる」(田中教授)。

Q.スロージョギングって何?
A.歩く速度で走るジョギングです
(1)歩幅は小さく10~40cm。ニコニコペースを守る。
(2)着地は足の前部分から。
(3)1回1分から。小分けにしてもOK。
スロージョギングは、走る速度を落とすことで、心臓の負担を抑える。ポイントは3つ。足の前部分から着地すれば、ひざや腰を痛めにくい。1日合計30分以上を目標に、細切れに走ってもいい。高血圧、脂質異常、高血糖の改善、動脈硬化のリスク低減効果があるとされる。

■スロージョギングがいい3つの理由

1.下半身の大きな筋肉を使う有酸素運動で「若返りホルモン」のDHEAを分泌

「歩く動きはそもそも省エネで、小さな筋肉しか使わない。一方、スロージョギングは、たとえ低速でもお尻や脚の大きな筋肉を使う」(田中教授)。下半身の大きな筋肉を使う有酸素運動にはDHEA分泌効果が期待できる。

2.スローな運動だから「抗ストレスホルモン」のコルチゾールを抑える

抗ストレスホルモンのコルチゾールは最大摂取量の60%以上の酸素を使う運動で急増することが研究で分かっている。「ニコニコペースは最大酸素摂取量の50%程度」(田中教授)。コルチゾールは増えにくい。

18~30歳の男性12人に30分間、自転車を漕ぐ運動をさせ、運動前後の血中コルチゾールを測定。運動強度が最大酸素摂取量40%のときは運動前後で差はなかったが、60%、80%では増えた(データ:J Endocrinol Invest. ;31,7,587-91,2008)

3.ラクなのに、エネルギー消費量はウォーキングの約2倍

ウォーキングは時速4~5km。スロージョギングと同程度だ。「この範囲なら、歩くより走るほうが運動強度は高く、エネルギーの消費量は約2倍になる」と田中教授。その割に心臓への負担が小さく、疲れにくい。

速度と運動強度METsの関係を見ると、時速6km以下で同じ速度ならジョギングのほうがウオーキングより運動強度が高い。METsは、安静時の何倍のエネルギーを消費したかを示す数値(データ:ランニング学研究,25,1,17-23,2014)

【準備】

スロージョギングをするときは、足の前部分から着地すると足腰を痛めにくい。走る前に着地の感覚をつかもう。

Step 1 その場ジャンプで着地点を確認

その場で軽く連続ジャンプをしてみよう。足の前部分から着地するときの感覚を実感できる。

足の前部分というのは、足指の付け根から土踏まずの辺り。ここから着地する

Step 2 その場ジョギングで練習

その場ジョギングでは、足の前部分で地面を真下に押すように意識して。慣れたらそのまま少しずつ前に進んでみよう。

その場ジョギングでは、足の前部分で地面を真下に押すように意識して。慣れたらそのまま少しずつ前に進んでみよう

【スロージョギングスタート】

歩幅を狭くし、足を小刻みに動かすと、ゆっくり走れる。目安は15秒間に45~50 歩(1秒間で3歩程度)。少しでも苦しいと感じたら意識的に速度を落とす。

歩幅は狭く、足を小刻みに速く動かすのがポイント。最初は歩幅を10cm程度に抑える。慣れてきたら40cm程度に広げてもいい。

あごを上げて背すじはまっすぐ、口は開けて自然な呼吸で。ニコニコペースで1日30分が目標

スロージョギングをするとき、ニコニコペースを守るのと併せて大切なのが、かかとではなく足の前部分から着地すること。田中教授によると「足の前部分から着地すると、アキレス腱や土踏まずがクッションの役割を果たし、足腰への衝撃が軽くなる」。まずは、その場ジャンプやその場ジョギングで練習してから走りだそう。

日本スロージョギング協会認定アドバイザーの井上彩さんは「足の前部分を意識しすぎてつま先着地になる人がいるから注意して」とアドバイス。「アキレス腱やふくらはぎが痛んできたら、つま先で着地したりかかとを上げすぎたりしている可能性大。足の前部分から着地していれば、かかとはついても構いません」(井上さん)。

5分ほどニコニコペースで走ってみると、太ももやお尻の筋肉がじんわり熱くなってくる。これは筋肉が使われている証拠。走るのが苦手という人は、「1分走って1分歩く」を繰り返す方法もある。田中教授が行うスロージョギング講座でもこれを実践。運動習慣がないスロージョギング初心者でも「汗をかくし、脚の筋肉は重だるくなるのに、体に疲れは感じない」とラクに30分以上走れた。

■家の中で裸足ジョギング、練習にもGood

雨の日や外を走る時間がない日は室内を裸足で走ってもOK。「2~3mほどの幅でも1分間に10往復するペースで走れば、十分効果はある」(田中教授)。裸足で走れば、自然と足指の付け根から着地するので、スロージョギングの練習にもなる。

田中宏暁教授
福岡大学 スポーツ科学部生理学研究室。東京教育大学体育学部卒業。医学博士(愛媛大学)。生活習慣病の治療と予防、健康と身体能力向上に関する研究の一方、全国でスロージョギング講習会を開催。主な著書は『スロージョギング健康法』(朝日新聞出版)。
井上彩さん
日本スロージョギング協会認定アドバイザー。福岡大学および同大学院で田中宏暁教授の下、研究。スポーツ健康科学修士。関東を中心に、スロージョギングに関する講演や指導を行う。「誰でも自分のペースで楽しく行えるのがスロージョギングの魅力です」。

(日経ヘルス 平野亜矢、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 木下 優、モデル 高原 愛)

[日経ヘルス 2015年12月号の記事を再構成]

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