流れるようにスラスラ書けるアクロボールの高級版
「アクロインキ」は、パイロットの低粘度油性インク。そのアクロインキを使ったボールペン「アクロボール」は、三菱鉛筆の「ジェットストリーム」同様、スラスラ滑らかに書けることが特徴の油性ボールペンのシリーズだ。
しかし、両者の書き心地は微妙に違い、どちらが良いかは好みの分かれるところ。ちなみに筆者は、太い文字はジェットストリーム、細い文字はアクロボールの書き心地が好きだ。
しかし、アクロボールはジェットストリームに比べると知名度が今一つである。パイロットでは「タイムライン」や「コクーン」といった高価格のボールペンにも既にアクロインキのリフィルを搭載するなど、低粘度油性インクを前面に押し出して行こうという意向があるようだ。そこで登場したのが「アクロドライブ」だ。
書き心地の滑らかさをボディに表現
今回、アクロインキをより強調する形で発売された高価格ラインのアクロドライブを試した瞬間、「あれ、アクロインキって、こんなにスムーズに書けるんだったっけ?」と驚いた。
グリップ部分に向けて少し膨らんだボディラインは、アクロインキの滑らかさをデザインで表現したもので、握りやすく、ペン先をコントロールしやすい。うっかりすると、滑り過ぎる低粘度油性インクの弱点を、軸の重さと握りやすさでうまく解消しているようだ。
アクロドライブという名前は、「そのハンドリングの良さと、スムーズに書けるドライブ感から名づけられた」と、パイロット営業企画部高筆企画グループ課長の土江泰司氏は話してくれた。
クリップの水が流れるようなデザインは、パイロットのホームページなどで使われている、アクロインキの粘度が低いために流れ落ちている様子の写真を、そのままデザインしたものだという。文字通り、アクロインキのイメージを形にしているのだ。
芯は回転繰り出し式。ノックボタンなどを排して滑らかなスタイルを維持すると同時に、ペン先がしっかり固定されて、筆記時にブレないという利点がある。スーッと滑らかに回るように作られていて、その徹底具合に感心する。
今回、シルバーを基調にしたモデルの他に、クリップなどの金属パーツをゴールドにしたモデルも発売。このゴールドモデルの少しクラシカルなムードが受けて、とても売れているのだという。
「高級ボールペンに求めるイメージが少しずつ変わってきているのかもしれない」と、土江氏。ともあれ、クールなイメージとトラッドなイメージから選べるのはユーザーにとってはありがたい。高級ボールペンは、デザインも選択の重要なポイントになるのだから。
多機能なのにスリムな3in1
2015年11月30日に発売された、黒と赤のアクロボールと0.5mmのシャープペンシルが内蔵されている「2+1 アクロドライブ」は、「アクロドライブ」の多機能版。多機能ながら、その軸の最大径は単機能の「アクロドライブ」と比べて0.1mm太いだけ。スリムというより、握ったときの感覚があまり変わらないことがスゴイ。
つまり、この「2+1 アクロドライブ」は通常のボールペンを使っている感覚のままで使える多機能ペンということだ。ノック部分は一般的な多色ボールペンに使われているものと同じで、その分、高級感は削がれているが、価格も単機能の「アクロドライブ」より安価に設定されている。
軸やクリップのデザインはアクロドライブを踏襲。シャープペンシルもボールペンも、サイドに付いたノックボタンで出し入れするのだが、シャープペンシルの芯は上部をノックすることで繰り出される。替え芯はBRFS-10F-B・R(100円)。製品には0.7mmが搭載されているが、替え芯は0.5mm、1.0mmもある。
アクロドライブに使われているものに比べるとインク容量は少ないが、他の筆記具メーカーも採用している、いわゆる4Cと呼ばれる規格のものなので、カスタマイズも可能だ。
(日経トレンディネット 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2015年12月17日付の記事を再構成]
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