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防災・渋滞対策… 東京湾アクアラインの秘密を調べた

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NIKKEI STYLE

川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアラインは、海底トンネルと人工島、海上の橋からなる自動車専用道路だ。約10kmあるトンネルの防災対策はどうなっているのか。行政や消防、警察などの境界線はどこにあるのか。そもそも「海ほたるパーキングエリア(PA)」は何県なのか。実際にアクアライン内部を歩き、調べてみた。

トンネルの避難通路、気圧高め煙の侵入防ぐ

「この扉の向こうが、トンネル内で何かあったときの避難用通路になっています。この先にさらに扉がありますが、絶対に同時に開けてはいけません」。海ほたるPAの地下で、東日本高速道路(NEXCO東日本)東京湾アクアライン管理事務所の副所長、道上義仁さんが念を押す。

なぜ同時に開けたらダメなのか。それは通路の気圧と関係がある。トンネル内で火災が発生しても煙が入り込まないよう、避難通路内は外よりも気圧を0.1%高くしてあるのだ。

気圧を高く保つため、通路内には外部から常に風を送り込んでいる。外と通じる扉を2つとも開けてしまうと、風が抜けて気圧が下がってしまう。トンネル防災の知恵だ。

トンネル真下に避難通路 専用の消防車も

避難通路はトンネル内の車道の真下にある。実際に訪れてみると、コンクリートに覆われた空間がどこまでも続いていた。この日は薄暗かったが、実際に避難するときはもっと明るくなるという。

通路は高さ2.75m、幅3.65m。大型車両は走れないサイズのため、専用の消防車や救急車を用意してある。川崎市や木更津市から来た消防隊員は海ほたるで専用車に乗り換えて現場に向かう。

通路脇には道路面から避難する際の滑り台状のスロープがある。トンネル内に片側33カ所ずつ、300mおきに設置されている。それぞれに番号が振ってあり、自分がいま、どこにいるのか分かる。トンネル内のどこにいても、2キロ強歩けば海ほたるなど地上への出口にたどり着くという。

この避難通路、実際に使われたことはあるのだろうか。道上さんに聞いた。

「2013年11月にトラックと車が衝突して炎上する事故がありました。そのときに、スロープで避難通路に降りてきた人々を、救急隊が専用車で運んだことがあります」

火災の際はまず、さいたま市にある道路管制センターから遠隔操作で初期消火を行う。トンネル内の監視カメラはセンターにつながっていて、水だけで難しいときは泡消化剤も放出する。これまでトンネル内では7件の火災があったが、消防隊が駆けつけた時に延焼が拡大したケースはなかった。

ちなみにこの道路管制センターはこの春、新しくなった。道路管制としては日本最大の大型ディスプレーを備えた最新のセンターとして、防災機能の中枢を担う予定だ。

トンネル内の消防 上り木更津市、下り川崎市が担当

ところでアクアラインは東京湾にある。火災が起きたとき、川崎市側、木更津市側、どちらから消防隊がやってくるのだろうか。そもそもアクアライン上の境界はどこにあるのか。

「それぞれの消防と協定を結んであります。海ほたるを境に木更津市寄り、つまり橋の部分はすべて木更津市の担当です。トンネル部分は川崎市から海ほたるまでの下り線が川崎市の担当で、海ほたるから川崎市までの上り線は木更津市の担当です」

トンネル部分はすべて川崎市に近いのに、どうして上り線が木更津市の担当なのか。

「単純に向かいやすさですね。トンネルの上り線は川崎からだと海ほたるでUターンしないといけない。木更津から向かった方が早い、という判断です」

海ほたるは千葉県 東京湾の境界線論争は続く

では海ほたるPAはどうなっているのだろう。

以前、「東京にも領土問題 千葉・埼玉との境界が未確定」(13年9月6日公開)でも書いた通り、東京湾の境界線を巡っては様々な主張が飛び交い、いまだに定まっていない。

気になったので調べてみると、1997年10月30日付の日本経済新聞千葉版に詳細な記事が載っていた。開通の2カ月前だ。

それによると、千葉県、木更津市、神奈川県、川崎市、東京都の5自治体が行政管轄区域を決める協定を結んだという。場所は海ほたると川崎人工島(現・風の塔)との間。海ほたるは千葉県側が課税や行政サービスを行うことになった。海ほたるは千葉県だったのだ。

ただ、協定には「ただし書き」もあった。このとき決めたのは正式な境界ではなく、「今後湾内の都県境が確定した場合は効力を失う」と書かれているという。東京湾の境界線問題が解決する日はくるのだろうか……。

交通量は右肩上がり 渋滞も多発

97年末に開通したアクアラインは当初、交通量が伸び悩み、「壮大な無駄」と批判されてきた。1日当たりの交通量は2万5500台と予測していたが、蓋を開けると1万5000台にも届かない年が続き、2万5000台を突破したのは09年になってから。料金引き下げがきっかけだった。

現在も普通車800円の「社会実験」が続き、14年は1日平均4万1900台と急増している。15年もさらに伸びているという。値下げに加え、12年に木更津市にアウトレットが開業したことも影響した。

そこで問題になってきたのが渋滞だ。週末の午後になると川崎方面に向かう上り線の渋滞が恒常化している。NEXCO東日本は13年から「ペースメーカーライト」を導入し、渋滞対策に乗り出した。

海ほたるから川崎方面に向かう上り線では、川崎浮島ジャンクションの出口付近で道路が急に上り坂になっていく。この付近で速度を落とすことが渋滞の一因だという。ドライバーが光を追いかけて加速すれば、渋滞が軽減できる、というわけだ。

今のところ効果は上がっているとはいうものの、交通量の増加ペースはさらにそれを上回っている。次なる対策も必要かもしれない。

3本目のトンネルが建設可能な構造に

ところでこのアクアライン、実は拡張可能な設計になっていることをご存じだろうか。トンネル部分も橋の部分も車線を増やすことが可能だという。どういうことか。

「トンネル部分では、川崎方面に向かう上り線、木更津に向かう下り線の隣にもう1本、トンネルが掘れるようになっているんです」

道上さんが教えてくれた。実際、300mほど掘ってあるという。場所は休日用の駐車場の奥。確かに薄暗いトンネル空間があった。幅は上り線と同じ16.5m。2車線分だ。川崎市と海ほたるの間にある換気塔「風の塔」も、3本目のトンネルが接続できる造りになっている。

橋部分はどうか。橋の構造上、さらに外側に車線を継ぎ足す工事に耐えられる設計になっているという。

ただしもちろん、トンネルにも橋にも莫大な工事費がかかる。数千億円はかかるだろう。それだけの社会的ニーズが高まれば、という仮の話ではある。

ちなみに工事といえば、川崎側のトンネル入り口にあるピラミッド型の換気塔の形が09年にひそかに変わった。羽田空港の拡張に伴い、航空法で定められた飛行機の離着陸の基準に抵触するといわれ上部を12m削った。不自然な台形になっているのは、そんな理由があったのだ。

来年迎える開業20年を前に、利用が広がるアクアライン。千葉県側では木更津市や君津市など人口増も顕著になっている。3本目のトンネルが議題にのぼる日は来るのだろうか。

(河尻定)

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