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「男性育休」は女性活躍のリトマス紙

日経BPヒット総研所長 麓幸子

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日経BPヒット総合研究所
エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を切るコラム「ヒットのひみつ」。今回のテーマは、「男性育休」。宮崎謙介元衆議院議員の不倫問題によってミソをつけられた感のあるキーワードですが、今後の女性活躍のためには極めて重要なテーマです。

3月のこの時期は昇進して新任管理職となる人も増えるだろう。「男性育休」に対してどんな態度を取るか。それによってデキる管理職か否かが決まる、女性活躍推進のリトマス試験紙のようなものだと筆者は思う。今回は、女性のキャリアにも大いに関係の深い「男性育休」について考察してみたい。

2015年12月に閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」(以下、基本計画)で、ターゲットとされているのは「男性中心型労働慣行」である。「男性中心型労働慣行」とは、「男性は仕事、女性は家庭」という性別役割分業が前提となる。

これまでは、家事・育児・介護という私的領域を女性に任せることで、男性は時間の制約・制限なく働くことができた。制限・制約のない男性を組織の主たるメンバーとして労働慣行は出来上がった。何時間でも働くことができ、突発的なことにも対応でき、転居転勤に応じることができるのが、そのメンバーの条件となった。

しかし、家事・育児を主に担っている女性には同様のことを求められてもそれに応えられず、女性たちはメーンストリームから外されていた。それが女性活躍の阻害要因になっていた。

男女雇用機会均等法が施行して今年で30年だが、いまだに管理的職業従事者の女性比率が11%台と諸外国と比べて突出して低いのも、そこを変革できなかったのが大きな理由だ。しかし、今回の基本計画ではそこにメスを入れる。高度経済成長期に形成された固定的な性別役割分担意識と、長時間勤務や転勤が当然とされる男性中心型労働慣行を見直し、男性の家庭生活への参画を強力に促進することで女性活躍の推進を目指す。長時間労働を削減し、ICT(情報・通信技術)サービスを活用し多様で柔軟な働き方が選択できるよう働き方改革を推進する。

そこで、基本計画の成果目標になったのが、男性の育児休業取得率なのだ。2014度で民間企業2.3%(国家公務員3.1%、地方公務員1.5%)の取得率を、2020年までにいずれも13%とすることを目標として定められた。同じく2020年までに、男性の配偶者の出産直後の休暇取得率80%、6歳未満の子どもを持つ夫の育児・家事関連時間を1日あたり67分から2時間30分とする目標も設定された。育休取得を促進するために、16年4月から、企業に対して、男性社員の育休取得時および復帰時の2段階で助成する施策も予定されている。

「日経WOMAN 企業の女性活用度調査」2015年報告書によると、過去3年間の男性社員の育児休業取得率は8.2%で、平均取得日数は47日(女性は358日)。ボリュームゾーンは「0~4日」(35%)だが、平均30日以上と回答した企業が3割以上あり、また、最長取得日数が半年以上という企業が2割以上となっている。この比率は、14年に23%、15年に26%で、男性社員が長期の育児休業を取得する企業は徐々に増えてきている。助成などの制度拡充でそれに弾みがつくに違いない。

基本計画で注目したいのは、男性の育児・家事の参加は、女性の活躍推進に寄与するだけでなく、男性のキャリアにとってもメリットがあるとしていることだ。家事・育児・介護などの多様な経験が、マネジメント力の向上や、多様な価値観の醸成などからの視野の広がりにつながり、男性自身のキャリアにとっても重要だとみている。育児・家事がキャリアのロスではなくキャリア形成にとってチャンスとみる。そういう視点を企業が獲得すればこれもまた男性育休の後押しになるに違いない。

男性の育児参加を推進するトヨタのねらいは

そのひとつの事例としてトヨタ自動車を紹介したい。女性の就業継続のために、社内託児所を設置し夜10時まで子どもを預かるなどフルに活躍したい女性をバックアップしてきたトヨタだが、実は、2015年から、ユニークな産休前セミナーを実施している。

「当社では社内結婚が比較的多いのですが、これまでは社内結婚した夫婦に子どもができると、女性が育休取得し、復帰後は時短勤務となるパターンが多かった。そうすると、女性の職場には、休み中の代替要員の手当や復帰後の職場アサインなど課題が生じた。かたや男性のほうは働き方が変わらず、結果、男性の職場に影響が出ないという不均衡が生じるようになった。そこで昨年から、産休前セミナーに配偶者の夫とその上司にも参加を促し、4人1チームとして研修を受けてもらっています」(人材開発部第1人事室長・山門豊氏)。

産休前セミナーは、当該女性社員のみが参加するのが一般的で、当該社員とその上司、また当該社員とその配偶者が参加するセミナーが少しずつ出てきたかなという筆者の感覚からすると、夫の上司まで参加するということに驚いた。社内結婚だからできることだが……。

職場復帰したときに女性社員だけに負担がかからないように、夫である男性社員はどのくらい育児に参画できるのか――4人そろえばそんなことを本音ベースで話し合える。

「母親社員のキャリア形成をストップしないためには夫の育児参加が必要。上司を含めた意識改革をしていかないと女性の活躍は難しいと思います。半年間女性が休むよりも、例えば、夫婦交代で育児休業を取ってもらえば、女性のキャリアの中断期間が短くなり、キャリアのロスもなくなります」

子どもが生まれる前から夫の育児参加を促すトヨタは、当然ながら男性の育児参加や育休をマイナスとはとらえない。

「男性が育児を経験することはいい経験だと考えています。そういう人が上司になったとき、今度は部下に『仕事と育児は両立できるよ』とアドバイスできる。そんな管理職が増えると、育児しながら活躍する女性が増えるだろうし、ロールモデルもたくさん誕生する。さらに女性活躍が進んで好循環が生まれ、人材競争力が上がる。これが一番の大きな効果だと思います」

産休前セミナーでの男性の意識改革は、社内だけで実施しても完結しないため、今後、トヨタグループ企業とも相談したり、さらにはその輪を愛知県下に広げていったりしたいとの希望もある。世界のトップメーカーであるトヨタの動きは少なからぬインパクトを与えるのではないか。

冒頭で「男性中心型労働慣行」は女性活躍にはなじまないと書いたが、それは共働きの男性にとっても同じだ。専業主婦が自宅にいることを前提としている慣行だからだ。1997年以降、共働き世帯数は片働き世帯数を抜き、その後増加の一途をたどっている(下の図)。2014年では1077万世帯となり片働きより357万世帯も多い。「男性中心型労働慣行」が適応する人は、職場ではすでに多数派ではないとみた方がよいだろう。

共働き世帯の増加や政府の後押し、そして先進企業の取り組みによって「男性育休」は今後も増える。男性が育児休業を申請したときに、「忙しいのに、何、考えているんだ?」「出世しなくていいのか?」などと言ってしまう管理職のいる職場だと、女性活躍は進まない。

あなたの上司はどうだろう。またはあなた自身が管理職ならどうだろうか。

麓幸子(ふもと・さちこ)
日経BPヒット総合研究所長・執行役員。日経BP生活情報グループ統括補佐。筑波大学卒業後、1984年日経ホーム出版社(現・日経BP社)入社。1988年日経ウーマン創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長、2012年同発行人。2014年より現職。同年、法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。筑波大学非常勤講師(キャリアデザイン論・ジャーナリズム論)。内閣府調査研究企画委員、林野庁有識者委員、経団連21世紀政策研究所研究委員などを歴任。経産省「ダイバーシティ経営企業100選」サポーター。所属学会:日本労務学会、日本キャリアデザイン学会他。2児の母。編著書に『なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか』『なぜ、女性が活躍する組織は強いのか?』(ともに日経BP社)、『企業力を高める~女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版)、『就活生の親が今、知っておくべきこと』(日経新聞出版社)などがある。
[参考] 日経BPヒット総合研究所(http://hitsouken.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。

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