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相続トラブル百科

20代、30代も人ごとではない 親が得る相続財産 司法書士 川原田慶太

2016/2/26

 20代や30代にとって相続の問題はあまり身近なこととは感じにくいかもしれません。高齢化に伴い、当然ながら日本で起こる相続は超高齢化しています。厚生労働省の統計をみると、2014年に起きた相続のうち、実に80%以上が「亡くなった人が70代より上」のケースで占められています。

 つまり、20代や30代の層が直接、相続人となるような50代や60代の親世代からの遺産相続の件数は、少なくなっています。むしろ、80代前後の祖父母世代が亡くなり、自分たちの親世代が相続人となるケースが大多数となっているのが現状です。このような「老老相続」の問題については、以前にも紹介しました。

 20代や30代にとっては相続は、「親世代の問題」であり、トラブルの渦中に自分が身を置く可能性は想像もできないと思います。仮に祖母の遺産をめぐるトラブルで親とおじ・おばの仲が険悪になったとしても、日常的に親戚づきあいがなければ、困った事態にはならないでしょう。

 SNSやインターネットを使った情報収集・交換にたけた世代でも、同世代の情報発信者がほとんどいないため、相続現場の「生」の情報に触れる機会はほとんどないと思います。

 しかし、「親世代が相続をどう乗り切るか」という問題は、今後、若い世代にとって大きな影響を及ぼす問題になるかもしれません。背景には人口が減って経済活動のパイが収縮し、若い世代が仕事で収入を右肩上がりに増やしていくのが難しい時代に入ったことがあります。

 高度成長期と異なり、若者のサイフにはあまりおカネが流れてこないかもしれません。日常的に収入増が見込めないとなれば、何を元手に将来設計をしていけばよいのか――。

 このように考えたとき、日々のフロー以外から得られる「臨時収入」の存在感が増していきます。成長期を歩んできた世代が蓄えている豊かなストックが、希望の光となる可能性が高まるのではないでしょうか。

 相続財産とは、まず自分の親世代がそれを手にしないことには、自分には回ってこない仕組みになっています。「親世代が相続で何を手に入れるか」は、これから先の見えない時代を過ごすかもしれない世代にとっては重要な問題です。

 ストックの引き継ぎを巡る「切実さ」の度合いは、これまでとは大きく異なってくることが予想されます。親世代がどう相続を乗り切るかが、若い世代にとっても「自らの問題」となる時代になりました。次回も引き続き、親世代の相続が若い世代に与えるインパクトについてみていきたいと思います。

川原田慶太(かわらだ・けいた) 2001年3月に京都大学法学部卒。在学中に司法書士試験に合格し、02年10月「かわらだ司法書士事務所」を開設。05年5月から「司法書士法人おおさか法務事務所」代表社員。司法書士・宅地建物取引主任者として資産運用や資産相続などのセミナー講師を多数務める。

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