困難な状況でも諦めない 前向きになれるイチオシ映画
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こんにちは。映画ライター・清水久美子です。
昔から映画が好きで、さまざまな作品を紹介していますが、久しぶりに「人生のベスト映画」になりそうな作品と出合いました。今回はそのイチオシ映画「オデッセイ」を紹介します。
もしも、「もう絶対にダメだ。死んだ方がマシ」と思うほどの困難な状況に陥った場合に、知恵とポジティブな考え方で乗り切る人がいたら、本当に尊敬するし、その人の「サバイバル術」をぜひ聞いてみたいですよね。「オデッセイ」に登場する主人公は、まさにそんな人なんです。思い切って先に言っちゃいますが、この映画を見るとすごく前向きになれますし、心の底から良い気分を味わえるので、どうか時間を作って見てみてください。
メリッサ・ルイス船長(ジェシカ・チャステイン)の指揮のもと、有人火星探査ミッション<アレス3>の任務に参加したマーク・ワトニー(マット・デイモン)。彼は、突然吹き荒れた猛烈な嵐によって、吹き飛ばされて行方不明になってしまいます。
任務中止になり、撤収を余儀なくされたチームは、ワトニーを必死に捜索しますが、彼は見つからず、死亡したと判断されてしまいます。
ところが、ワトニーは奇跡的に生きていました。
チームは去り、火星にたった独りで取り残されたワトニー。酸素はほとんど無く、食糧は31日分しか残っていないのに、NASAの次の探索ミッションまで4年……。あらゆる現実が生存不可能を示していました。
普通の感覚なら、気が変になってしまうような状況です。でも、ワトニーは持ち前のポジティブ思考と優れた科学の知識で、どうにかして生き残る道を探り始めます。
そんな中、NASAは火星の衛星画像からワトニーが生存している証拠を発見して驚きます。彼に食糧を届ける方法、無事に生還させる方法を見つけるために、一丸となって力を注ぐNASAの面々。ルイス船長率いるチームも、ワトニーを救うために立ち上がります。
ワトニーは、一度は死んだと公表されていましたが、NASAのサンダース長官(ジェフ・ダニエルズ)が彼の生存を記者会見で発表。火星で孤独なサバイバルを続けるワトニーは、全世界が注目する「時の人」となり、世界中の人々が彼の生還を祈るように見守ります。
地球から2億2530万キロ離れた火星に独りぼっちでいるのに、明るく前向きなワトニーでしたが、次々とトラブルに見舞われ、絶体絶命の危機に陥ってしまいます。果たして、ワトニーは無事に生還することができるのでしょうか……?
「SF映画は興味ないなぁ」と思った人へ。確かにジャンルはSFかもしれませんが、本作は「これって実話じゃないの?」と思えるくらいリアリティーがあるんです。NASAが撮影に全面協力しており、マット・デイモンをはじめとするキャストたちは、本物の宇宙任務さながらのハードな撮影だったと語っています。
宇宙飛行士は性格的な適性も非常に重要で、安定した精神力を求められるそうです。ワトニーを演じるデイモンは、まさに本物の宇宙飛行士をイメージさせ、彼だからこそ孤独なサバイバルに立ち向かえるんだと思わせてくれます。
火星で独りぼっちでも、ワトニーは頭脳明晰かつ、常に前向きな性格の宇宙飛行士だから闘える。NASAにはきっと世界で一番頭の良い人たちが集まっているから、彼らの知恵を結集させて救出作戦を考え出してくれる。そんな期待にワクワクできる映画「オデッセイ」。ワトニーだけじゃなく、あらゆる登場人物が魅力的で、仕事に取り組む姿勢に引き付けられる必見の傑作です。
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「インターステラー」
「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督による、誰も思いつかないような衝撃の宇宙体験を味わえるヒット作。舞台は近未来。環境の悪化により地球の寿命が尽きかけ、人類は滅亡の危機に直面していた。元テストパイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)は、居住可能な新たな惑星を探すミッションの調査隊に選ばれるが、シングルファーザーの彼には15歳の息子とまだ幼い娘がいた……。「オデッセイ」主演のマット・デイモンは本作でも宇宙に取り残された男を熱演しており、ルイス役のジェシカ・チャステインはクーパーの娘の成長した姿を演じている。「オデッセイ」と併せて見るのも面白い。
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「ゼロ・グラビティ」
アルフォンソ・キュアロンがアカデミー賞監督賞に輝いた、最多7部門受賞のSF感動作。メディカル・エンジニアであるライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)は、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)のサポートのもと、地球の上空60万メートルの無重力空間<ゼロ・グラビティ>で、データ通信システムの故障の原因を探っていた。ところが、人工衛星の破片による事故が起き、ストーンは宇宙空間へ放り出されてしまう。ほぼ全編、ブロックが孤独なサバイバルを試みるストーンを熱演する様子が映し出される。彼女の息苦しさが伝わってくるようなリアルな映像が見どころだ。
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メーカーでOLとして働きながら、夜は音楽雑誌の編集部でアシスタント業務をこなす。メーカー退職後はパソコン誌の編集部に就職し、その後フリーライターに。ペット雑誌、医療誌、主婦向け雑誌、タウン誌などで執筆を重ね、最も好きなジャンルであるエンターテインメント、海外ドラマ・映画・音楽の記事を主としたライターへ転向。雑誌「SCREEN」「日経エンタテインメント! 海外ドラマSpecial」や、WEB「日経DUAL」「TVグルーヴ・ドット・コム 清水久美子のライターズ・プレイス」「クランクイン!」などにて執筆中。
[nikkei WOMAN Online 2016年2月6日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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