マネー研究所

もうかる家計のつくり方

予定外の教育費に慌てた夫 ときには柔軟な発想で 家計再生コンサルタント 横山光昭

2016/2/24

 「息子の大学資金は準備していたのに、入学金にひとり暮らしの費用……。このままでは足りなくなりそうだし、仕送りなんてできません」。昨年3月上旬、困り顔で相談に来られたのは、関西地方にお住まいの会社員Cさん(52)。

 春に大学に進学する息子の授業料として、400万円を学資保険で準備。大学入学後にも毎月4万5000円ずつ積み立てれば、不足分の学費を補える計画でいたそうです。400万円という予算は、自宅から通う大学に進学する予定で立てた計画で、それ以外に、余分な支出はないという前提でした。

 ところが、いざ受験時期に入ると計画通りにはいきませんでした。複数の大学を受験することになり、受験料だけで20万円ほどかかったほか、受験のための旅費などにも20万円ほどかかりました。合格発表と入学手続きの兼ね合いで、滑り止め大学2校分の入学金50万円も払うことに。結果的に自宅から通える大学は不合格になり、第2志望だった都内の大学に進学を決めました。息子さんのひとり暮らしが始まるのです。

 「妻(46)はパートで家計を手伝ってくれていますが、春以降はお金が足りなくなります」とCさん。計画を立て、コツコツためてきたお金が予定外の支出でどんどん目減りしていくことに不安を覚え、悩んでいます。息子さんの家探しの費用などもあるため、教育資金以外の貯蓄も取り崩すつもりだといいます。

 Cさんは、自分が親にしてもらったことを息子にもしてあげるべきだと考えています。つまり、教育や大学生活にかかるお金はすべて、親が負担しなくてはいけないと決めていて、心の余裕がなくなっているのです。

 まずは心を落ち着け、現在の家計状況と、今後予測できる家計状況を出してみることにしました。息子さんが家を離れると仕送りは必要になりますが、その分、自宅の生活費は減ります。夫婦二人暮らしになるのをきっかけに、いくつかの支出項目を見直せば効果が出そうです。

 Cさんは仕送りの負担が気になっている様子でしたので、全国大学生活協同組合連合会が実施した「第50回学生生活実態調査(2015年2月27日発表)」をお見せしました。これによると、大学生の仕送りの平均は約7万円で、不足分はアルバイトと奨学金で賄っていることがわかります。

 今後の暮らし方について息子さんとよく相談してみてはどうかと提案したところ、1週間ほど後に息子さんと奥さんを連れて再び相談に来られました。

 息子さんはCさんが思っているほど親に頼りきりの考え方ではなく、先輩たちの話なども聞いて自分で奨学金についてきちんと調べていました。「アルバイトもすぐ始めるし、奨学金も申し込む。仕送りは少なくても、ある程度は高校時代のアルバイトでためたお金で暮らせる」と頼もしい発言です。「ただ、できれば生活が安定するまでの1、2カ月の生活費と新生活の準備費用だけ助けてほしい」と。

 ご両親の負担も気にしていて「それほど仕送りには期待していない」とも話しており、なかなかしっかりした考えをもっていました。息子さんの新生活の見通しを立てるためにも、いくら仕送りできるのかを検討しなくてはいけません。

 現状の家計は黒字で、そう悪い状況ではありません。ただ、生活費が3人分から2人分に減ると気の緩みが出がちです。食費と日用品は無駄がないよう意識し、月1度は在庫や賞味期限の確認などをすることにしました。

 生活人数が変わったので節約の正確な効果はわかりにくいですが、食費は3万円、日用品は3000円減りました。水道光熱費は9000円減額。通信費は家電量販店で格安スマホに変更し1万5000円減です。格安スマホは1台3000円程度で利用できます。

 交通費、小遣い、理美容費も削減でき、支出は合計で7万6000円減りました。もともと3万8000円の余剰があったので、7万円は仕送りに、残る4万4000円はご夫婦の老後資金の準備に回していくことにしました。もともと、家計費の中には、息子さんが大学に入学してから積み立てていこうとしていた大学授業料4万5000円が含まれていたわけですから、かなり良好な家計状況といえます。

 Cさんは急に大きな出費が重なったことで焦っていましたが、今までの教育資金の準備やその後の計画などは立派なものです。ただ、あまりに厳密に計画しすぎて、予定外の事態が起こったときに焦ってしまったということなのでしょう。息子さんもしっかりした考えをもっていて、頼もしいと感じました。

 教育費は大きなお金がかかるため、負担に感じるのは事実です。ですが、ある程度コツコツと準備してきたのなら、あとは子どもに少し工夫してもらったり協力してもらったりするのは決して間違いではありません。

 奨学金を借りずとも、バイトなどで賄い切れるケースもあるでしょう。親が学費のすべてを負担する時期が過ぎたのなら、子どもの力を信じることも必要なのではないでしょうか。それによって、子どもに社会性が身につき、よい教育につながるとプラスに考えてみてはいかがでしょうか。

 「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です。次回は3月9日付の予定です。
横山光昭(よこやま・みつあき) マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで8000人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「年収200万円からの貯金生活宣言」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめとする著書は累計99万部。近著は「『おひとり』を不安0で生き抜く女子貯金」(祥伝社)。

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