コスタリカからクモザル登場
どうも森の中に住んでいると、クリスマスやお正月などといった季節の行事をあまり意識しなくなったと感じる。でも今回は2016年の干支「申(サル)」にちなんでいくつかの生きものを紹介しよう(哺乳類のサルばかりではありません)。
とは言え、まずはクモザル!
コスタリカには全部で4種のサルが生息している。マントホエザル、ノドジロオマキザル、ジェフロイクモザル、そしてセアカリスザルだ。なかでも一番大きく動きが軽快なのがジェフロイクモザル(別名はアカクモザルまたはチュウベイクモザル)。
このクモザルは中央アメリカ一帯に生息していて、コスタリカの広範囲、海沿いの低地から標高2800mまで分布している。数頭の小さな群れから40頭ほどの大きな群れで昼間に活動するが、絶滅危惧種に指定されていて、簡単には出会えない。
名前のゆえんは、クモの脚のような長い手足としっぽ、そして茶色い色にあるのだろう。英名もスパイダーモンキー(spider monkey)だ。体長は50cmほどだが、しっぽは70~80cmもあって手足よりも長い。ジャングルの中で手足としっぽを伸ばしていると、巨大なクモに見える。
そのクモが、枝から枝へと雲梯(うんてい)をするかのごとく宙を駆けて行く。その姿はいつ見ても印象的でワクワクさせてくれる。
手には親指がなく、指は4本。長い4本の指を曲げてフック状(かぎ形)にすることで、こんなふうに軽快な移動ができるのだそうだ。
上の写真は、甲虫サルハムシの一種。サルに似ていないのに、何でサルハムシ?と思いながらフェイスブックに写真を載せたところ、耳寄りなコメントをいただいた。
サルはサルでも、京都の「くくり猿」というお守りの丸い姿に似ていることからその名前がつけられたそうだ。早速ネットで検索。なるほど、似ている! 紹介する2種は、モンテベルデの家の前にすんでます。
ついこの間、飼育できたチューバッカ似?のガもどうぞ。
1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学でチョウやガの生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[Webナショジオ 2016年1月12日付の記事を再構成]
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