軽量、頑丈、街中兼用 バックパックは3方に発達

日経トレンディネット

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ここ数年のアウトドアブームの影響もあり、アウトドア系の製品が日常使いに取り入れられるようになり、その人気は定着してきた。コートやジャケットなどのアウターの下にダウンベストを着る「インナーダウン」や、シェル(殻)の名の通り一番外側に着て体を保護する機能もある「シェルジャケット」など、アウトドア由来のファッションアイテムも増えている。

バックパックもアウトドア由来の日常使いのアイテムであり、最も長く広く浸透してきたものの1つだろう。そのバックパックに、新たな流れが見えてきた。高機能な製品の中に、携行性や耐久力、セキュリティー、軽量性に特化したバッグが多数生まれている。

「軽量性」「耐久性」「タウンユース兼用」に注目

特に日常使いのバックパックとして今季注目すべきは「軽量性」「耐久性」「タウンユース兼用」という3つのキーワードに当てはまるアイテムだ。それぞれ、特定のアクティビティーや目的に向けて、専門性の高いメーカーが製作している。

例えば、軽量性に優れたバックパックは現役ハイカーが集まったメーカーがウルトラライトハイキングに向けて作ったもの、耐久性に優れたバックパックは軍や法執行機関に製品を納入するメーカーが作ったもの、タウンユース兼用のバックパックはアウトドアとタウンユースの両方に優れたクリエイターが集まり作ったものなど、それぞれの高い技術やノウハウが生かされている。

具体的に最新アイテムを見ていこう。

ウルトラライトハイキングから生まれた「軽量性」

まずは軽量性から。

近年、愛好者が急増中の“ウルトラライトハイキング”で使われるバックパックで、その軽量性が注目ポイント。ウルトラライトハイキングとはその名の通り、携行品を厳選し、極限まで持つものの軽さを追求した山歩きのこと。当然、携行品を詰め込むバックパックもウルトラライト。軽量なナイロンにシリコンをコーティングするなど、適度な強度を確保しながらも軽さを重視した素材使いに加え、ポケットなどをそぎ落とし、わずか数百グラムに抑えている。

その軽さは日常生活でも、大きなメリットとなってくれるはずだ。

業界最軽量クラスのバックパック

軽量性にこだわったバックパックは、その道の専門ブランドのものを選んだほうがいい。

山と道は、日本発のガレージメーカーで、現役のハイカーたちが現地で感じた本当に必要な道具を作っているブランドだ。バックパックからサコッシュ、スリーピングパッドまで、世界最軽量クラスのアウトドアギアをラインアップする、ウルトラライトの雄ともいえる存在だ。

山と道「U.L.FramePack ONE」(3万5000円)

「U.L.FramePack ONE」は、ブランドを代表するプロダクト。大きさや素材をカスタムオーダーして作られるバックパックで、シリーズの中で最小・最軽量の仕様を選べば、本体重量はわずか511g。500mlのペットボトル飲料とほぼ変わらない重さということになる。

なお本体生地(トップ巾着およびサイドパネル)は、2種類から選べる。一つは生地両面にシリコンとウレタンをブレンドしたコーティングにより引裂強度、引張強度、防水性、耐紫外線を持ちながら30デニールとかなり薄い「SKYLITE」。もう一つは、少し重くなるものの70デニールと生地が厚く耐久性も高い「70D Silicone Coated Ripstop Nylon」である。

岩場が多くて歩きづらく、湿度が高い日本のトレイルに向けて作られているため、トレッキングなどのスポーツシーンで特に性能を発揮。背面長が45、48、51cmで容量35~47L、背面長54、57cmで容量40~52Lと、一泊程度の旅行なら十分な大きさがある。

山と道「U.L.FramePack ONE」にハイキングの装備を取り付けると、この通り。背負い心地にもこだわり、その軽さと相まって、まるで何も背負っていないかのような感覚が体験できる

軍事用に開発されたからこその「耐久性」

続いては耐久性。ちょっとやそっとじゃ壊れない、タフなバッグであれば、それなりに長く付き合えるだろう。そこで注目されるのが最もタフな現場、つまり軍事用に開発されたミリタリー用のものだ。ファッションシーンにおいて人気のミリタリーアイテムだけに、タウンユースでもはまりやすい。アウトドアストアやセレクトショップで、実際に各国の軍や法執行機関に納入しているメーカーの製品が手に入るようになったのもありがたい。

また、このところ米軍開発のモール(MOLLE=MOdular Lightweight Load-carrying Equipment)システムといわれる、ポーチやアクセサリーといった装備品を別途取り付けることのできる、ナイロン帯のウエビング(帯ひも)を搭載しているモデルも多く、自由にカスタマイズできる点も大きな魅力だ。現場で磨かれた軍規格に対応した、ハイスペック・高耐久のバックパックは文字通り“一生モノ”になりそうだ。

とことんタフな軍用バックパック

ミリタリーバッグを選ぶなら、イギリス発のアウトドアブランド・カリマーの特別ライン、カリマーSFのアイテムをおすすめしたい。SFとはSpecial Force(特殊部隊)の略で、軍隊や警察、特殊部隊などのために、タフネスを最大限まで高めたギアをリリースするラインだ。

「リーコン40」で特筆すべきは、やはりその高い堅牢性。使われている素材は、引き裂き強度、折り曲げ耐久性に優れた1000デニールのナイロンを、シリコン/PUエラストマーでコーティングした耐久性・耐水性素材「KS100e」。実際に軍に納入されているだけあって、その耐久性はお墨付き。

「カリマーSF リーコン40」(4万円)。いかにもミリタリー然とした無骨なデザインにオリーブカラー、そしてファッション性を排除した機能美が男心をくすぐる

正面、底の2面MOLLEシステムで、さまざまなアクセサリーを付けられる点も大きな魅力。通信機器装備に対応したバッグということで、大きなコンパートメント(収納部分)とウエビングによる高いカスタマイズ性を備えている。

バックパック界のSUVのような「タウンユース兼用」

最後に紹介するのは「タウンユース兼用」。街での使用でも機能性が期待できるバックパックだ。

アウトドア向けの機能を日常使いを想定して落とし込んだモデルで、生活に役立てやすいのが特徴。たとえば、はっ水性の生地を使ったり、登山用のバックパネルを使って背負い心地に配慮したりといったアウトドア用品ならではの特性を持ちつつも、PCスリーブなどの日常使いに適した機能が搭載されている。一般ユーザーにとっては実に“ちょうどいい”アイテムといえるだろう。前述のミリタリーバッグが軍用車両なら、タウンユースバッグはSUVのような立ち位置だ。

高い機能性と利便性を備える“ハイスペックな日常用”バッグ

「ボレアス モントレー」(2万3000円)。普段使いにちょうどいい、程よい余裕のある35リットルサイズ。収納力も高い

ここで紹介するバッグのメーカー、ボレアスのコンセプトはまさに、上記のタウンユース用アウトドアバッグそのもの。高い機能と利便性を備えた、既成概念にとらわれない山でも街でも使えるプロダクトは、アウトドアギアの恩恵を最大限に堪能できるつくりになっている。

「ボレアス モントレー」もアウトドアユースの機能性とタウンユースの機能性を兼ね備えている。ロールトップ式のドライバッグを本体に内蔵した完全防水、軽量で快適な背負い心地を実現するEVAフォームの背面&ショルダーパットといったアウトドアギア特有の機能性に加え、PC用コンパートメントや夜間の安全をサポートするリフレクタープリントなど街での使用を想定した機能が搭載されている。アウトドアフィールドではもちろん、ビジネス、自転車乗りでも便利に使えるのは間違いない。


洗練されたスタイリッシュなデザインも、スタイリングの一部として活躍してくれるだろう。シンプルながらさりげなく気の利いたデザインは、ファッションフリークも納得の仕上がりである。

(ライター 山下皓平、中澤範龍)

[日経トレンディネット 2016年1月8日付の記事を再構成]

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