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意外と満足 iPhone用純正バッテリーケース

日経トレンディネット

2016/2/23

日経トレンディネット

2015年12月、アップルがバッテリー内蔵型のiPhone 6/6s用ケース「iPhone 6s Smart Battery Case」(税別1万1800円、以下「スマートバッテリーケース」)を突然発表した。サードパーティーからは同様のバッテリー内蔵ケースがいくつも登場しているが、アップル純正品としては初の製品となることもあり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで大きな話題となった。

アップルが2015年12月に突然売り出した、iPhone 6/6s用のバッテリー内蔵型シリコンケース「iPhone 6s Smart Battery Case」

だが、Webサイトで製品の写真を見た人から「背面がボコッと出っ張ったデザインは不格好で、アップルらしいスマートさに欠ける」「純正品とはいえ、同種のバッテリージャケットと比べると価格が高すぎる」「市販のモバイルバッテリーのほうが大容量で安い」といった意見が噴出。アップルの新製品としては珍しく否定的な意見が多数を占め、デビュー時の反応としては芳しいものではなかった。

とはいえ、SNSなどで意見を述べている人のほとんどは実物を手にすることなく、写真の見た目だけで判断しているとみられる。実際にスマートバッテリーケースを入手し、半月ほど使ってみたところ、使い勝手や機能が良好だと感じられた部分が多くあり、意外にも満足度は高かった。

スマートバッテリーケースは、iPhoneと似た質感の高い紙製パッケージに入っている。パッケージのカバーをスライドして開けるとスマートバッテリーケースが顔を出す仕組みは、アップルらしい上品な演出だ

■使っているとデザインはまったく気にならない

まずは、スマートバッテリーケースの仕組みを改めてチェックしていこう。製品名に「iPhone 6s」とあるが、実際はiPhone 6でも問題なく利用できる。

本体はシリコン製なので、本革製のケースと比べて高級感に欠けるものの、プラスチックを採用した同種のバッテリージャケットのような安っぽさはない。だが、外装にはホコリやゴミが付着しやすく、しかも目立ちやすいので、日ごろからウエットティッシュなどできれいにするよう心がける必要がある。ただ、これまでのところ洋服やカバンの色が移ってしまうことはなく、ちょっと引っかいてもキズが付くことはなかった。使い込んでも、簡単にはみすぼらしい外観にはならないだろう。

スマートバッテリーケースの内側は、触り心地のよいスウェード調の素材が張られており、iPhone本体をキズ付けずに保護してくれる
バッテリーを内蔵している部分が約5mmほど出っ張って段差が生じているが、エッジはしっかりと丸められているので、手のひらに当たる感触は悪くない

ちなみに、背面のiSightカメラの周囲には黒いプラスチックパーツがはめ込まれており、レンズに不要な反射光が入って画質に影響を与えるのを防いでいる。

背面カメラの周囲は黒いプラスチックパーツが埋め込まれている。不要な反射光がレンズに入るのを防ぐための工夫とみられる
本体の上部はグニャリと曲げられる構造になっており、ここからiPhoneを差し込む仕組みだ。曲げた部分がシワになって痕が残ることはなかったので、ためらうことなく力を入れて構わない

バッテリーを内蔵しない上部は柔軟に曲がるようになっており、ここを後方にグッと曲げながらiPhoneを押し込むことで装着する仕組みだ。ドライバーなどの工具は必要なく、慣れればサッと脱着できる。スマートバッテリーケースの重量は約100g(実測値)なので、約143gのiPhone 6sを装着するとかなりズッシリとくる。

ただ、シリコンの外装は滑りにくいうえ、厚みが増すこともあり、手のひらに吸い付くような印象を受ける。スマホの軽さを重視する人には向かないが、実際は重さをそれほど意識することなく安定して持てるだろう。スマートバッテリーケースを装着するとスピーカーの開口部が前方に移動するため、開口部が下に位置する通常の状態よりも音が聞きやすくなるのは意外なメリットだった。

ただ、スマートバッテリーケースを装着するとiPhoneのイヤホンジャックまで1cmほど距離が生じるため、L字型や太いプラグを採用するイヤホンやヘッドホンは装着できなくなってしまう。高価な商品なだけに、イヤホンジャックの部分にも中継コネクターをしっかり搭載してほしかった。手持ちのイヤホンやヘッドホンが接続できない場合は延長ケーブルを利用するか、自宅では「iPhone Lightning Dock」(5800円)などイヤホンジャックを備えるスタンドを利用するのがよいだろう。

スマートバッテリーケースを装着すると、iPhone本体のイヤホンジャックまで1cmほど距離が生じる。差し込むプラグが太かったりL字型になっているものは差し込めなくなる可能性があるので、注意が必要だ
自宅で有線のヘッドホンやスピーカーと接続したい場合、イヤホンジャック付きのスタンドを利用するのがよい。写真の「iPhone Lightning Dock」は5800円と高価だが、金属製で重量があるため、スマートバッテリーケースを装着した状態でも安定して設置できた

ネットで酷評された背面のバッテリーの出っ張りだが、実物を手にすると意外にもほとんど気にならなかった。そもそも、装着したあとはiPhoneをわざわざひっくり返さないと目に入らないので、気になるとしても最初のうちだけだろう。逆に、忘年会に持って行ったところ「そのケース、例のやつじゃない?」と指摘されて盛り上がり、ファニーな見た目がiPhoneユーザーに好評だった。

カラーはホワイトとチャコールグレイの2色を用意する。バッテリーを内蔵しないiPhone 6s用のシリコンケース(3800円)は11色もあることを考えると寂しいので、もう2~3色が追加されることを期待したい。

■フル充電できないがきわめて快適

スマートバッテリーケースを使ってまず感じたのが、「わずらわしいケーブル接続の必要なくiPhoneを充電できるのがこんなに快適とは……」ということだ。かつて、パソコンのマウスをワイヤレスに置き換えたときや、ネットワーク接続を有線LANから無線LANにしたとき、ヘッドホンをワイヤレスタイプに交換したときの感動と似ている。

充電したスマートバッテリーケースをiPhone 6に装着すると、iPhone 6の内蔵バッテリーの充電が始まる。スイッチによる操作などは必要ない。バッテリー残量がわずか6%になったiPhone 6にフル充電したスマートバッテリーケースを装着すると、1時間でiPhone 6のバッテリーが66%にまで復活した。iPhoneの利用状況やバッテリーのへたり具合にもよるが、おおむね1分で1%の充電ができるとみてよいだろう。86%まで充電した時点でスマートバッテリーケースのバッテリーがなくなり、残念ながらフル充電には至らなかった。

バッテリー残量が6%とほぼなくなりかけたiPhoneにスマートバッテリーケースを装着してみた
装着後、1時間でバッテリーが66%にまで復活した。おおむね1分で1%ほど充電できるとみてよい

「iPhoneをフル充電できないのでは意味がない。大容量のモバイルバッテリーのほうが実用的だ」と考える人もいると思うが、「余計なケーブルやバッテリーをぶら下げることなくiPhoneをスマートに充電できる」のはやはり便利だ。充電は高速ではないが、満員電車でギュウギュウの状態でもカバンやポケットから出したケーブルが引っ張られるのを気にすることなく、いつものiPhoneのスタイルのままスマートに充電できるのはありがたい。

スマートバッテリーケースへの充電は、底面端子にLightningケーブルを接続すればOKだ。一般的なモバイルバッテリーでは、iPhoneの充電にLightningケーブル、バッテリーの充電にMicroUSBケーブルが必要だが、1本で済むのはiPhoneユーザーにとって意外とありがたいポイントといえる。

iPhoneを装着していれば、スマートバッテリーケースとiPhoneの両方のバッテリーに充電されるが、iPhoneの内蔵バッテリーを優先して充電するよう設計されている。スマートバッテリーケースはiPhoneを外して単体でも充電できるので、iPhoneと別々に充電すればトータルの充電時間を短縮できる。

■モバイルバッテリーが手放せなくなった人は検討に値する

おおむね好印象のスマートバッテリーケースだが、気になるのは1万1800円という価格だ。大容量化と低価格化が進むモバイルバッテリーと比較すると、明らかに高価だ。バッテリーを内蔵しないiPhone 6s用のシリコンケースは3800円なので、単純に考えるとバッテリー機能のプレミアムが8000円ということになる。

iPhone 6ユーザーの多くは購入から1年以上が経ち、内蔵バッテリーがへたってきた……と感じる人も多いだろう。充電なしではバッテリーが1日持たない、という人はモバイルバッテリーが手放せないと思うが、スマートバッテリーケースは「わずらわしいケーブル接続の手間なくiPhoneを充電できる」「モバイルバッテリー自体を充電し忘れたり家に置き忘れるというミスを気にせずに済む」という利便性がある。その点を評価できれば、購入を検討する価値がある。

(日経トレンディネット 磯修)

[日経トレンディネット 2015年1月8日付の記事を再構成]

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