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パリに「パリコレ」はない? 和製呼称の由来と未来

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NIKKEI STYLE

 パリで著名デザイナーやブランドが約半年先に店頭に並ぶ新作を、華やかなファッションショーで発表する「パリコレクション」。日本では「パリコレ」の通称でおなじみだ。3月には最も注目を集める婦人プレタポルテ(高級既製服)の2016年秋冬コレクションが開幕する。日本では盛んに「今回のパリコレは……」などと報じられるが、実はこれは一種の和製英語。同様のイベントはミラノやニューヨークにもあるが、海外では「ファッションウイーク」が主流だ。なぜ日本だけが「コレクション」と呼ぶようになったのか。

「長年この仕事をしているが、『パリコレクション』という言い方はしたことがないし、聞いたこともない」と言い切るのは、パリコレを運営する仏オートクチュール・プレタポルテ連合協会のシルビー・ザワツキー事務局長。「パリコレクション」を仏語にした「コレクシオン・ア・パリ」も聞かないという。

世界の主要コレクションの名称
日本での一般名称現地正式名称
パリコレクションなし(通称ラ・スメーヌ・ドゥ・ラ・モードまたはパリ・ファッション・ウイーク)
ミラノコレクションミラノ・モーダ(通称セッティマーナ・デッラ・モーダ=ファッションウイーク)
ニューヨークコレクションニューヨーク・ファッション・ウイーク
ロンドンコレクションロンドン・ファッション・ウイーク(婦人服部門)
東京コレクションメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京

パリで「コレクション」といえば新作発表のニュアンスを含むことはあっても、「あくまで(デザイナーやブランドが)シーズンごとに作る作品群」(ザワツキー氏)を指す。「シャネルが2016年秋冬コレクションを発表した」とは言っても、日本のように「100ブランドが参加するパリコレクションが開幕した」とは言わないのだ。パリコレに「正式名称」はないそうだが、「La semeine de la mode(仏語のファッションウイーク)」または「パリ・ファッション・ウイーク」と呼ぶのが一般的だ。国内外のバイヤーやジャーナリストが効率的に見られるように、主に年2回、デザイナーらがある週を中心に集中してショーなどを開催するところから付けられた。ちなみに「パリ・ファッション・ウイーク」は商標登録もされている。

世界の主流は「ファッションウイーク」

世界の主要コレクションの正式名称も「ファッションウイーク」か、同じ意味の現地語が主流だ。「ニューヨーク・ファッション・ウイーク」を運営する米ファッションデザイナー協議会も「『ニューヨークコレクション』が正式名称になったことはない」と断言する。

もともとコレクションは「収集品」などの意味があるが、ファッション用語として使われるようになったのは19世紀半ば。パリでデザイナーのシャルル・ウォースが新作をシーズンごとにまとめて発表したことが始まりだ。複数のデザイナーがルールを定めて合同で行うファッションイベントは20世紀初頭には始まっていたが、「ファッションウイーク」と呼ばれるようになったのは1970年代といわれ、比較的新しい。それ以前の名称ははっきりしないが、仏服飾高等教育機関IFMのダビッド・ザイッシュマン教授によれば「プレゾンタシオン・ア・ラ・プレス(マスコミ向け発表会)」などがあったという。

一方日本ではどうかといえば、1936年に創刊した現存国内最古のファッション誌のひとつ「装苑」(文化出版局)の記事を見ると、戦前の36~40年には「コレクシヨン發表會」「巴里デザイン發表會」などの表記がみられるが、「コレクション=合同発表会」といった意味はない。「現地速報 春夏のパリコレクション」など、今のようにはっきりと新作発表の総称として登場するのは50年代からだ。

パリコレに関する著書がある京都服飾文化研究財団名誉キュレーターの深井晃子さんは「フランスの戦前の雑誌では、パリコレを『Les Collections des Grands Couturiers』、つまり『デザイナーたちの作品群の集まり』などと表現している。現在のファッションウイークの名称や形式が確立される前に日本の雑誌がそうした現地の言葉を断片的に伝えるうち、次第に『コレクション』がイベントの総称として定着していったのではないか」とみる。

日本語の「コレクション」という言葉をさらに浸透させたといえるのが日本版ファッションウイーク「東京コレクション(東コレ)」だ。国内有力デザイナーが組織する東京ファッションデザイナーズ協議会(CFD)が85年に本格スタートした。CFD初代議長で現在は官民ファンド、クールジャパン機構社長の太田伸之氏に命名の経緯を聞くと、(1)既にアパレルメーカーが組織する東京婦人子供服工業組合(現日本アパレル・ファッション産業協会)が75年から「東京ファッションウィーク」の名称を合同展示会で使っていた(99年に終了)、(2)ファッション業界で「パリコレ」などの呼称が定着していた――ことから、自然な流れで「コレクション」になったという。

東コレは80年代にDC(デザイナー・アンド・キャラクター)ブランドブームを盛り上げて認知度を高め、イベントとしての「コレクション」という言葉もますます広がった。東コレは2005年に事実上海外に倣って「東京発日本ファッション・ウィーク」が正式名称になり、さらに11年にはスポンサー企業名を冠した「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京」となったが、今も新聞や雑誌では「東コレ」が根強く定着している。

独自の意味合いを持ち始めた日本発「コレクション」

日本では「ファッションウイーク」の意味で使われてきた「コレクション」という言葉だが、そこからさらに「たくさんのブランドが集まって華やかなショーを見せる」という部分が抜け出して、新たな日本独自の意味合いを持ち始めている。

2005年に始まった「東京ガールズコレクション(TGC)」。バイヤーやジャーナリストではなく一般の若い女性が対象で、ショーには半年先ではなく、そのシーズンの身近な服が登場する。気に入ればその場でスマートフォンから購入できる。そうした点が受けて開催は既に21回、今年も3月19日に開かれ来場者は3万人を見込む。3月12日には神戸市でも消費者向けの「神戸コレクション」がある。

いずれも音楽ライブあり、タレントのトークありと、従来の「コレクション」とはもはや別物だが、海外でも注目を集めるイベントとなっており、TGCは7月には初の本格的海外進出として、タイのバンコクでも開催される。日本独自の意味を持った「コレクション」が今度は世界に通じる日が来るかもしれない。

(堀聡)

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