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健康なら保険料を返還 若者向け「2000円保険」も プロが選んだ最新医療保険(上)

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2016/3/4

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生命保険業界で医療保険の開発・改良が活発だ。保険料を全額返還するなど斬新な商品が相次いでいる。もし一昔前に契約したまま放置している保険があるなら、一度見直すといいかもしれない。プロのアドバイスを基に、最新の医療保険を3回に分けて解説する。1回目は、健康なら保険料が戻ってくる人気の保険を紹介しよう。

医療保険など「第三分野」が国内生保に解禁されたのは15年ほど前のこと。その後、過当競争や不払い問題の発生で消費者の信頼を失いかけた時期もあった。

それでも、生命保険文化センターによると医療保険の人気は高く、2010年前後から各社とも本腰を入れて新商品開発や改良を進めてきた。ファイナンシャルプランナー(FP)の横川由理さんは「価格競争も落ち着き、商品性に競争の場が移っている」と言う。

一方で商品ごとの注意点も多いため、プロの意見と併せて商品ごとの特徴を紹介する。登場する商品の保険料例は原則として、30歳男性の終身払いで入院給付金日額5000円とした。

【メディカルKit R】 健康なら保険料を全額返還

「分かりやすさ」で1つの極みに達したのが東京海上日動あんしん生命保険の「メディカルKit R」だ。目玉は「一定年齢まで健康なら、払った保険料が全額返ってくる」という仕組み。2015年11月末時点の契約数は通算で約52万件のヒット商品だ。

主契約に「健康還付給付金」という特則があり、決められた年齢に達すると保険料が返還される。その年齢は契約時の年齢で決まる。契約が0~40歳時なら返還は60歳か70歳のどちらかを選択でき、それ以降は41~50歳なら70歳、51~55歳なら75歳など。仮に30歳男性で入院給付日額5000円タイプ(月額2905円)だと、70歳時点の返還額は約139万円になる。

下の図のように、入院給付などを受けても、給付額と払込額の差額が返還される。具体的には疾病、災害、手術、放射線治療の4給付金が対象。返還前と同額の保険料を払い続けることで、返還後も生涯保障が受けられる選択肢もある。

もっとも、注意点もいくつかある。1つ目は、「全額返還」が主契約にしか適用されないことだ。「先進医療」や「がん診断」など多様な特約を付けられるが、これらは返還の対象外だ。

2つ目は、「20年超」という返還までの期間の長さ。返還額は払込額と同じなので、いわば無利子のタンス預金だ。横川さんは「医療保険料の目安は入院給付日額が5000円で30歳男性なら月1500円程度。この商品は約2900円とおよそ倍で、高水準」と指摘する。

返還されるのだから、高額でも貯蓄と割り切ることはできる。ただしインフレが進むと貯蓄としての有効度は著しく下がる。横川さんは「返還後に解約して、その現金を医療費の備えにするというやり方はある。健康不安があれば返還後も契約を続けて、給付を受けたら解約する、などうまく使えばよい」としている。医療保険は欲しいが掛け捨ては嫌だ、という20~40代の働き盛りが備えとして使うのは○と言えそうだ。

【楽天生命のスーパー2000】 保険料が「一律2000円」

楽天生命保険が15年11月に発売した「楽天生命のスーパー2000」も分かりやすい。商品名の通り、「全年齢、男女共に月額保険料は2000円」だ。同社調べでは、若者が生命保険に入らない理由として「よく分からないから」という商品の複雑さが多かった。そこで「分かりやすさに徹底的にこだわった」(同社)結果、「スーパー2000」が生まれた。

保険期間は1年間で、翌年以降は自動更新される。入院や通院給付金、死亡・高度障害保険金などが一通り揃い、1年間、給付がなければキャッシュバックされる「健康祝い金」も特徴だ(下表)。

注:入院給付金は日額。契約期間は1年で自動更新。年齢区分が変わると自動的に保障額も変わる

ただし手術給付金がない点は要注意。「男性は50代以降は祝い金が出ない。若い子育て世代が取りあえず入っておく」(横川さん)など「入門商品」として使えそうだ。

横川由理さん
CFP、日本証券アナリスト協会検定会員、MBA。講師や執筆活動を中心として、お金に関する情報伝達に取り組んでいる
内藤眞弓さん
一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表、生活設計塾クルー取締役。大手生保を経てFPとして独立。講演等の講師としても活動

(日経マネー 嶋田有)

[日経マネー2016年3月号の記事を再構成]

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