iPS株乱高下を機に長期保有型に個人投資家 七転び八起き

渡瀬祐子さん(38、仮名) オンラインゲームのキャラクターデザインを在宅で手がける兼業主婦。「ゆるキャラ系」が得意

2011年春

「あなたも主婦なんだし、百貨店で買い物するなら株主優待カードを持ちなさいよ」。母の一言をきっかけに株式投資を始める。買い物が10%割引になる優待カード目当てに高島屋(8233)やJ・フロントリテイリング(3086)を購入。配当というものの存在を初めて知り、お金を銀行に眠らせておくのはもったいないと気づく。カゴメ(2811)やキユーピー(2809)など身近な食品株を中心に、1年ほどかけて数百万円を預金から株に移す。東日本大震災直後で、振り返ればいいタイミングだった。

12~13年

トヨタ自動車(7203)やデンソー(6902)を1週間で数度売買するスイングトレードにはまり、イラストレーターの仕事がおざなりに。そうこうするうち京大・山中伸弥教授がノーベル賞受賞。その前に何気なく買っていたタカラバイオ(4974)が、「iPS細胞株」として突如上がり始める。株価が5倍になったところで売り抜け、100万円以上の収益に。もっとも私を後追いした知人はその後の大きな値下がりでかなりの損失を被った。株価がこんなに乱高下したらさぞかし会社側も大変だろう。このまま株に熱中していては本業のイラストも上達しない。本当に応援したい会社に絞って長く保有するスタイルに少しずつ切り替える。

15年~

ニュースで「中国があぶない」という話を耳にしてすぐ輸出株の多くを売却。おかげで「中国ショック」のダメージはほとんどなかった。保有を続ける食品株はディフェンシブ優位相場で大きく値上がりし、16年の年初の下げも限定的だ。近ごろ目覚めたのは不動産投資だ。母が築20年の1棟マンションを相続し、賃貸経営を手伝うように。借りる側の目線に立ってリフォームや賃料設定を工夫し、低かった入居率がちょっとずつ上がっていくのが面白い。古めの分譲マンションなら自分にも手が届くかな。

「日経ヴェリタス」創刊以来の名物コラム。毎回1人の個人投資家を取り上げ、その人の投資歴の泣き笑いを赤裸々に紹介しています。

[日経ヴェリタス2016年1月31日付]

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