マネー研究所

Money&Investment

マイナス金利で運用見直すべきか FPに聞く

2016/2/10

日銀のマイナス金利導入決定で資産運用の悩みが深まっている。預貯金の金利は急低下し、9日には長期金利も初めてマイナスを付けた。もはや元本確保型商品で金利を得るのは至難の業だ。ファイナンシャルプランナー(FP)の間では、老後資金など長期的な資産形成には株式や外貨建て資産などリスク資産への投資が必要との指摘が多い。とはいえ足元の株式・為替相場は大荒れ。当面様子を見て、相場が落ち着いてから始めても良いとの指摘がある。

■金利では物価上昇を補えず

お金が実質的に目減りする世界が始まっている。日銀が追加緩和を発表してからメガバンクの定期預金は預入期間10年までの多くが0.025%に下がった。9日には長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時マイナス0.035%を付けた。

消費者物価は、足元は原油安などで低迷しているが、年後半にはやや上向くとの見方がある。民間エコノミストが予想するESPフォーキャスト(1月発表分)は2016年度に前年比約0.82%増、17年度は1.13%増を見込む。今後の発表で見通しはやや引き下げられる可能性が強いが、金利より高い状況は続きそう。つまり金利では物価上昇を補えない。

一方、高齢化の進展で老後資金の重要性は増すばかり。現在の高齢・無職の夫婦世帯は年金で毎月の支出を賄えず、平均で月6万円あまりを取り崩している。FPの紀平正幸氏は「老後資金を増やしたいなら安全資産一辺倒ではなく、株式や上場投資信託(ETF)などリスク資産の割合を増やすのが一案」と話す。「若い世代だけでなく高齢層も、投資を考えることが重要な状況になっている」(尾藤峰男氏)

実際の投資は相場の混乱が収まるのを待つ手もあるが、とにかく資産運用の考え方を頭に入れておこう。どんな視点でリスク資産を選べばいいのか。

株式なら配当利回りの高い銘柄が選択肢になるという。東証1部上場銘柄の平均は9日終値時点で約2%。トヨタ自動車やゆうちょ銀行など3%を超える銘柄も少なくない。神戸孝氏は「総じて業績が堅調で、配当方針がぶれにくい銘柄を長期保有目的で選ぶといい」と助言する。花王や日本たばこ産業(JT)といった長年にわたって増配している銘柄も候補になる。

株主への利益配分に着目するなら、日本株に限らなくても構わない。例えば米国株ではプロクター・アンド・ギャンブルやコカ・コーラなど50年以上増配を続けている企業が10以上ある。「いずれも業績が景気に左右されにくい日用品や飲料事業を世界的に展開している。08年のリーマン・ショックの時期も増配が途絶えなかった」(尾藤峰男氏)

海外の個別株投資がハードルが高い場合は投信も選択肢になりそうだ。吉井崇裕氏はみずほ投信投資顧問の「MHAM海外好配当株ファンド」を例に挙げる。配当利回りが高い銘柄に分散投資し、組み入れ銘柄の加重平均配当利回りは1月時点で4.5%になっている。

利回りが見込める金融商品として不動産投資信託(REIT)を挙げる専門家も多い。金利低下は不動産価格の上昇につながりやすいからだ。「一足先にマイナス金利を導入した欧州では不動産価格の上昇が目立つ」と大和総研ロンドンリサーチセンターの菅野泰夫氏は指摘する。

日本でもマイナス金利導入の発表後にREIT価格は上昇している。「価格上昇で今回のマイナス金利の影響をかなり織り込んだが、マイナス金利が拡大するとみるなら投資対象になる」(小屋洋一氏)との見方も出ている。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL