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人間は何歳まで生きられる? 寿命決める遺伝子とは

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
聞きたかったけど、聞けなかった。知ってるようで、知らなかった。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の"からだ知恵録"をお届けしよう。

人間の寿命はどんどん延びている。厚生労働省によると、日本人の平均寿命は男女ともに80歳オーバー。2015年時点で100歳を超えている人は6万1568人もいた。はたして、人間は何歳まで生きられるのか? 一説には「120歳まで生きられる」なんて話も耳にするが、ホントだろうか?

長生きのギネス記録はフランス人女性の122歳

「人間が何歳まで生きられるのか、諸説ありますが正直言って分かりません(笑)。長寿に関わる因子がすべて分かっていないので計算は難しいです。120歳まで生きられるという説の最大の根拠は、"実際に生きた人がいるから"ということにすぎないのです」と話すのは、東京大学分子細胞生物学研究所教授の小林武彦さんだ。

フランス人女性のジャンヌ・カルマンさんが1997年に122歳で亡くなった。これが現在公式に認められている「長生き」の世界記録。つまり、「120歳まで生きられる」というのはあくまで結果論であり、理論的に導かれた数字ではないわけだ。とはいえ、この辺りに人間の生物的限界があるのも確からしい。

「現在、100歳以上の人は日本だけでも6万人を超えているのに、110歳以上の人となると全世界で100人もいないのです」と小林さん。

100歳と110歳の間には想像以上に大きな壁があることが分かる。まして120歳となると、世界史上公式に認められたのはカルマンさんしかいない。

摂取カロリーを減らすと長寿遺伝子が活性化

最近、"長寿遺伝子"という言葉をよく聞く。「サーチュイン」と呼ばれる遺伝子で、これが活性化すると生物の寿命が延びるのだ。活性化させる方法は、ずばり摂取カロリーを減らすこと。

「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)というサーチュインを活性化させる因子があります。このNAD+はたくさん食べていると減り、逆に食べる量を減らすと増えるんです」と小林さんは説明する。

実際、ハエやマウスは摂取カロリーを減らすと寿命が延びる。しかし残念ながら、より人間に近いサルの研究では効果が確認されなかった。米国の国立老化研究所の研究によると、摂取カロリーを20%減らしたサルは生活習慣病になるリスクは減ったものの、肝心の寿命には差が見られなかったのだ。

一方でウェルナー症候群やブルーム症候群など、「早期老化症」と呼ばれる遺伝病がある。これは文字通り早く老ける病気。思春期を過ぎると一気に老化の速度が上がり、50歳くらいですっかり老人になって死んでしまうという。

「普通に生活していると、1日で50万カ所くらいDNAに傷がつきますが、ほとんど修復されます。早期老化症の人は、このDNAの傷を治す修復遺伝子に異常があることが分かっています」(小林さん)

顔や手に比べると、日光に当たらない背中やお尻の肌は白いだけでなく、シワやシミも少ない。これは紫外線にあまり当たらず、皮膚細胞のDNAが壊されないためだ。

DNAの中でも特に構造が不安定で、切れたり絡まったりしやすい「リボソームRNA遺伝子」(rDNA)という部分がある。小林さんたちはサーチュイン遺伝子がこのrDNAを守ることで寿命を保っているというメカニズムを確認し、2013年に生物学の専門誌に発表した。

染色体の"テロメア"の長さも寿命を決める

「老化には"細胞の老化"と"個体の老化"があります」と小林さんは続ける。

染色体の両端にテロメアという部分があり、細胞が分裂する度に短くなっていく。長さが半分くらいになると細胞の老化が始まり、分裂する能力を失っていく。

「多くの細胞は老化して、死すべき運命にある。何回も分裂していくと、がん抑制遺伝子が壊れて細胞ががん化してしまうこともあります。がんになる前に、古くなった細胞には死んでもらう必要がある。これが"細胞の老化"で、赤ん坊にも見られる現象です」(小林さん)

中には何回分裂してもテロメアがあまり短くならない細胞がある。赤血球やリンパ球を作る造血幹細胞など、新しい細胞を生みだす役割を持つ幹細胞がそうだ。

しかし幹細胞も不老不死とはいかない。長い時間のうちに少しずつDNAが壊れ、不純物がたまり、機能が衰えていく。

「ある程度、ダメージがたまった時点で老化のスイッチが入る。この幹細胞の老化こそが個体の寿命に強くかかわっていると考えられます。つまり、幹細胞の寿命が我々の寿命と言えるのではないでしょうか」と小林さんは話す。

長生きするための5つのコツとは?

では分子生物学的に老化を遅らせ、少しでも長生きするにはどうすればいいのか? 小林さんに教えてもらった。

1. 病気にならない

戦前は感染症で多くの人が命を落としたし、高齢者は免疫力が衰えることで肺炎などを起こしやすい。脳卒中や心臓病も生活習慣病が背景にあることが多い。まずは、病気にならないように注意することが基本だ。

2. DNAに傷をつけない

老化を防ぐためには、できるだけDNAに傷をつけないようにすればいい。紫外線、放射線、タバコ、活性酸素などはDNAを破壊する。紫外線対策や禁煙を心がけ、ビタミンCやビタミンEなど抗酸化成分を積極的にとるようにしよう。

3. ストレスをためない

「過度のストレスはDNA修復酵素の活性を下げます」と小林さん。アドレナリンの分泌によって活性酸素が増えるし、生活習慣病にもなりやすくなる。ストレスを感じずに生活することは不可能だが、過度にならないように上手に解消してほしい。

4. 適度な運動

運動は筋肉、心臓、血管の機能を高めるとともに、がんをはじめとした多くの病気の発症リスクを下げることも確認されている。

5. 食べすぎない

まだ霊長類で確認されてはいないが、理論的には摂取カロリーを減らせば長寿遺伝子サーチュインが活性化するはずだ。また、肥満は生活習慣病につながる。糖尿病や高血圧といった生活習慣病は老化を進め、確実に寿命を縮めることが分かっている。

死は必ずやって来るが、努力次第でその時期を遅らせることは十分可能。体にいい生活習慣を心がけ、与えられた寿命を縮めることなく、きっちり全うしてもらいたい。あなたがジャンヌ・カルマンさんの記録を塗り替える可能性だってゼロではないのだから。

(伊藤和弘=フリーランスライター)

Profile 小林武彦(こばやし たけひこ)
 東京大学分子細胞生物学研究所教授
1963年生まれ。九州大学大学院医学系研究科博士課程修了。理学博士。米国立衛生研究所研究員、基礎生物学研究所助教授、国立遺伝学研究所教授などを経て、2015年から現職。専門は分子生物学。2月20日に新刊『寿命はなぜ決まっているのか――長生き遺伝子のヒミツ』(岩波ジュニア新書)を刊行予定。

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