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街で見かけた 何かヘンだよ外国人観光客

立川談笑

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NIKKEI STYLE

 春節が近づいて、また中国人観光客が大挙して日本にやってくるぞ、なんて記事を目にします。今年の爆買いの傾向や変化を予測するのは本職のみなさんにお任せするとして、ここでは私が街で見かけた外国人観光客とその周辺の話をします。

去年のこと。ホテルの朝食会場でなんともいえない違和感に包まれました。そこは名古屋城のすぐ横のホテルで、あちこちのテーブルに中国人らしき団体客があふれているのは近年おなじみの光景です。なのにこの違和感は何だろうとしばしあたりを眺めていて、気が付きました。静かなのです。大きな声でワーワーわめきあう、あの騒がしさがありません。うわあ、中国の皆さんはすっかりマナーを身に付けちゃったのか。喜ばしいのだろうけれども逆になんだかもの足りないというか、私の中の予定調和がはぐらかされてしまったような落ち着かない感じです。

それでも帰り際、家族連れが立ち去ったテーブルをのぞくと大量に食べ残した皿や食器類が乱雑に広がっていてひどい有様でした。こうこなくっちゃ、と妙に安心したりして。

そして部屋に戻ろうと乗ったエレベーターの扉が閉まるところに、ドタバタと駆けてきたのは中高年のご婦人たち。間違いなく中国人です。典型的なおばちゃんパーマだもの。昔懐かしの人民服がとっても似合いそう。こんなヘアスタイルがまだ残ってたんだ。察するに、お住まいは上海などのおしゃれな大都会ではなさそう。とはいえ日本まで観光にくるくらいだから、そこそこの地方都市のお金持ちなのかな。なんて想像しながら、こちらは都会的で紳士的な日本人として扉を押さえて待ってあげました。心の中では迫りくる無作法な瞬間に身構えます。礼儀なんて期待してないぞ。この人たちは我々と常識が違うだけで悪気はないんだと。

そして、どどっとばかりにエレベーターに乗り込んだおばちゃんの一人が静かにひとこと「謝謝」。うわっ。意外。頭の中でだけとはいえ、反対にこっちがずいぶん失礼だったんじゃないか。ううむ。日本での中国人観光客の振る舞いはここへきて大きく変化しているようにも見えるけど、そうでもなさそうにも見える。まだまだ私には読めません。

さて、ここでひとつ疑問。そんな中国人観光客が団体でバスツアーを楽しんでいる様子はよく目にするところです。団体を誘導する添乗員は中国人。その添乗員とバスの運転手さんが打ち合わせをしている様子を見て、あれ?と思いました。やりとりする言葉は流ちょうな中国語。そう、バスの運転手さんも中国人らしいのです。大型2種免許を持って営業運転をしている中国人、ってことでしょうか。国籍はどっち?外国籍なら就労可能なの?など疑問は尽きません。そもそも免許取得はどうしたんだろう。中国で取得した免許を国際免許に……って営業運転でそれはないか。じゃあ学科の試験のために日本語を勉強したのか。ひょっとして外国語対応の試験があったりするのか???

さらにちょっとそれますが、同じ疑問を抱いた体験を紹介します。それは、都内で中国人のタクシー運転手に出くわしたこと。言葉に強いクセがあって、いったいどこのなまりだろうとプレートの氏名を見たら中国人だった。力強い運転ぶりも応対も快適でよかったのですが、全く東京の道を知らないのには困りました。首都高の入り口やジャンクションはおろか、行き先である羽田空港の「空港中央」の出口の存在も知らなかった様子。この分だと車を降りる時にもちょっと手間取りそうだと考えて、走行中にあらかじめお願いをしました。

「降りる時に、レシートじゃなくて手書きの領収証がいただきたいんですが」

「大丈夫ですよ。金額はいくらで?」

おいー、そうじゃなくってさ。「手書き=不正」がさらりと直結するハードルの低さったらどうだい。

無事に羽田空港に到着して支払いの段になったら、結局この運転手さんは手書きの領収証なんか最初から持ってなくて、印刷されたレシートしかもらえませんでした。すると、あのやりとりは何だったのか。うーん、前職がたとえば飲食関係だったとすると、まあ、ありがちなやりとりだとも考えられますね。それにしても外国人(元・外国人?)が2種免を取って、タクシー会社で働く。そんな時代なんですねえ。

おっと。話を観光客に戻します。

駅で困っている外国人観光客をよく見かけます。ときには日本人の私だって迷うんだもの。不慣れな土地ならば当たり前です。大きな荷物を抱えたカップルや家族連れが立ち止まって不安げにキョロキョロしている姿は気の毒で手助けしたい気持ちはあるけれども、すべてに対応していたら駅から出られなくなりそう。それでも余裕のあるときは声をかけています。

あるとき東京駅で見つけたのは、壁の大きなJR路線図とにらめっこしている黒人男性です。

「築地駅に行くためには何線に乗ればいいですか?」

青年、そりゃ3時間にらんでたって見つからないよ。築地駅はJRじゃなくて地下鉄だから。

東京の鉄道はJR、私鉄各線、地下鉄とあります。都内で電車移動しようとするときに鉄道会社ごとの路線図だけ見せられても、役には立ちません。どの駅にもきっぷ売り場に掲げてあるのは通常、その会社の路線図です。乗り換えの他社路線が表記されていても、主だったものだけで網羅はしていません。電車内でもそう。特に不便だと感じるのは相互乗り入れの場合です。車内に張り出されている停車駅案内図は現在走っているところからはるかに離れた、その車両が属している会社の路線だけなんてことも珍しくありません。かといって、すべての鉄道各社を重ね合わせた完全な路線図は膨大な駅の数になってしまって、それはそれでまた分かりにくい。困ったものです。

「おいおい、乗り換え案内アプリがあるだろう」

という声が聞こえてきそうですね。私ももちろん利用しています。ところが、こんなことがありました。地下鉄車内で白人男性に声をかけられたのです。彼が手にしているスマートフォンの画面には乗り換えアプリが。並んだ駅名の一つを指さして、

「これは、何と読みますか?」

「よつやさんちょうめ」

アプリは漢字表記でした。外国語対応じゃないのかいッ。いや、もちろん各国語対応のアプリがあるはず(……ですよね)。でも、その便利ツールにたどり着けない人は確実に存在しましたよ、という報告です。街で見かける限りでは、同じように迷っている外国人観光客がずいぶんいるように思えるのですが、どうでしょう。

道に迷うのは案内板をきちんと見ないから悪いんだ、で済まさずに、迷う人の目線で案内板の分かりやすさをもう一度検討してみたらどうなのかなあ、と思うわけです。もちろん「案内板」という言葉は、たとえとして使っています。

最後にもう一つ。駅や街なかで気になるのが、壁などに張られた手書きの注意書きです。注意を促すくらいだから重要だろうに、ほぼ日本語だけなんです。英語、中国語、ハングルを併記した手書きの貼り紙は目にしません。

「天井低し、頭上注意」

「鳩のフンが落ちてきます」

「こちらの駅入り口は〇〇線です。○○線、○○線には乗れません」

だからそんな場所の近くで、頭から血を流しながら鳩のフンだらけになって遠回りしている人を見かけたら、それはきっと外国人。わはは。そんなことじゃあ、いけない。

外国からのお客様をしっかりおもてなしして、リピーターとして日本にお金をじゃんじゃん落としてもらおうじゃありませんか。

さあ、これにてこの連載も最終回です。お付き合いいただきありがとうございました。

そして新装オープンのお知らせ。2月14日から装いも一新して新連載が始まります。弟子の吉笑、笑二も巻き込んだ内容は、見てのお楽しみ!

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>独演会3月6日、4月13日の予定。吉笑(二ツ目)、笑二(同)、笑坊(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は2月21日、3月25日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/

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