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「おひとりさま」の住まい 老後に備え持ち家検討

2016/2/14

 身を切るような冷たい風の日。買い物帰りの初野一家はトレンチコートの襟を立てて駅前の喫茶店に入っていく鯛吉を目撃しました。カウンターでマスターと顔を寄せ合い、なにやらヒソヒソ声で話し合っています。
大学で金融を勉強中の初野新衣紗(はじめの・にいさ=上)と父の藤志郎(とうしろう=中左)、母の利子(りこ=中右)、隣に住むファイナンシャルプランナー・税理士の有賀鯛吉(ありが・たいきち=下)

 とうしろう やあ、鯛吉くんじゃないか。どこの刑事かと思ったぞ。

 にいさ 刑事?

 りこ 昭和の刑事ドラマのね。パパのヒーローだって。

 たいきち ……。うちの事務所の隣に建つマンションの話をしてただけです。これが新聞チラシです。単身世帯向けの1LDKの間取りが多いですから、生涯結婚しない「おひとりさま」が買うのかもしれませんね。駅が近くて通勤は便利ですから。

 にいさ 大学の金融ゼミの卒業生にもおひとりさまが増えてて、40歳くらいでマンションを買う人もいるって先生が言ってた。

 たいきち でも、そういう人はまだ少数派で、おひとりさまは賃貸住宅に住んでいる人が多いんだ。結婚するとか、子どもが生まれるとか、マイホームを買うきっかけになるライフイベントがないからね。総務省の2013年の調査で世帯主が40~44歳の世帯をみると、2人以上の世帯の持ち家率が67%なのに、単身男性は21%、単身女性は22%にとどまっている。

 りこ わずかだけど女性のほうが持ち家率が高いのね。

 たいきち はい。実は30代までは男性のほうが高いのですが、40代で逆転します。リクルート住まいカンパニーのアンケートでは、14年に新築マンションを購入した単身女性の40%が「老後の安心のため」と回答していますが、同じ回答をした単身男性は21%でした。女性のほうが将来をしっかり考えている印象がありますね。

 とうしろう 老後のために、おひとりさまは家を買ったほうがいいのかな?

 たいきち 一概には言えませんが、年金収入の中から家賃を払い続ける負担は小さくありません。総務省の家計調査のデータから推計すると、賃貸で暮らす65歳以上の単身無職世帯の家賃は平均で月4万円あまりです。90歳までの25年間で考えると合計で1200万円を超えます。とりわけ都市部では、この家賃では満足できる物件が借りられないかもしれません。持ち家を選択肢として考えてもいいでしょう。

 りこ 女性の4人に1人は95歳まで生きるって聞いたわ。持ち家があれば家賃を心配しなくていいし、駅に近い1LDKのマンションならちょうどいいわね。

 たいきち はい。ただし、中古も含めて専有面積が50平方メートル未満の物件を買う場合は気をつけてください。リクルートの調査では、おひとりさまが買った新築マンションの21%が50平方メートル未満ですが、実はこの広さでは住宅ローン減税の対象になりません。

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