マネーハックで人生をスマートにしよう

2016/2/14

コラムの表題「マネーハック」というキーワードはあまりなじみがないかもしれません。これは「マネー」と「ライフハック」という言葉を合わせた造語です。

ライフハックは仕事術として紹介されることが多く、特にIT(情報技術)スキルを使うことがしばしばです。スマートフォン(スマホ)やアプリを使って効率化を図ることは典型的なライフハックです。例えば「Google(グーグル)カレンダーを使えば、職場でもスマホでもスケジュール管理できて効率的になる。紙の手帳を忘れたり、なくしたりして困るようなこともない」という感じです。

ライフハックを通じて、それまでの「当たり前」がステップアップしてより便利になります。このライフハックの手法を、お金のテーマにも使ってみようというのがマネーハックです。「money + lifehack = moneyhack」と考えてみてください。

たとえばこんな風にマネーハックしてみよう

マネーハックは「知っている人にとっては当たり前のこと」かもしれませんが「知らない人にとっては驚き」だったりします。

たとえば、給与振込口座(メーンバンク)に10万円の定期預金をつくるのはちょっとしたマネーハックです。これにより、あなたは「残高不足による引き落とし失敗」を自動的になくすことができるからです。

銀行には「当座貸越」というしくみがあって、普通預金の出金時に残高が不足している場合、同一口座内の定期預金を担保として不足金額を自動的に借り入れできます。クレジットカードの引き落としなどで普通預金の残高が不足したとき、定期預金があれば助かります。

このしくみ、知っている人は「そんな当たり前のこと、今さらでしょう?」と思うかもしれません。しかし、知らない人からすれば「いやそれ、目からウロコなんですけど!」となります。

知らなかった人が定期預金を組んだことでクレジットカードの引き落としミスがなくなれば、まさにマネーハックに成功したことになります。こうした小さな違いは、長い目で見てお金と人生の関わりを好転させていくと思います。

お金の問題が人生を大きく左右する

これまで日経電子版では「バラ色老後のデザイン術」というコラムを連載してきましたが、その多くは老後のテーマではなく、20歳~40歳代がやっておきたい「今」のお金の課題がほとんどでした。

なぜなら、目の前のお金の問題を解決できずに、未来のお金の問題を好転させることはほとんど不可能だからです。現役世代の人が老後について考えるということは、人生を通じたお金の問題を考えることとほとんど同義なのです。

そして、私たちが人生を変化させていこうと考えるとき、その多くが「お金の問題」であることに気がつかされます。もちろんお金以外の問題、幸せや心の豊かさ、生きがいなどはありますが、それでもお金の問題抜きに語ることはできません。たとえば、

○長くつきあっていた彼女と別れたので、引っ越しして気分を変えたい人も、お金がなければ引っ越しできません。

○ネットで見かけたしゃれたグッズが欲しいと思って「ポチる」のはすぐでも、クレジットカードの支払いは数カ月後にしなければなりません。

○子どもが入学試験に合格したときの笑顔はプライスレスでも、すぐ払う入学金はやっぱりお金の問題です。

お金の問題そのものが人生を大きく変えてしまうこともあります。住宅購入と住宅ローン設定などはまさにその好例ですし、転職や独立開業の成否(年収の変化)なども人生全般に影響してきます。

それに、お金の問題は心の落ち着きの問題でもあります。どんなに仲の良い幸せな家庭でも、いつも赤字の家計では平安は得られません。

「お金の問題は、人生の問題である」との視点でこれから始まる新連載では、人生を通じたお金のあらゆる問題に踏み込んでみたいと思います。お金の問題で回り道やムダなルートにはまることなく、人生をスマートに変えることのできるマネーハックを考えていきましょう。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはITスキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。所属は日本年金学会、東京スリバチ学会。近著に『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』(明日香出版社)『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)などがある。趣味はマンガ読みとまちあるき(看板建築マニアでもある)。Twitterアカウントは@yam_syun。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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