家計管理は妻任せ 過剰な親孝行で赤字転落家計再生コンサルタント 横山光昭

「ちっともお金がたまらないので、妻に家計のやりくりの仕方を教えてやってください」と相談に来たのは、東京近郊にお住まいのOさんご夫婦。共働きで、マイホームを持ち、順調に暮らしているはずなのに、お金はちっともたまらないとご主人が話します。

ご家族は会社員のご主人(38)、会社員の奥さん(36)、保育園児の長男(5)、次男(10カ月)の4人。手取り収入はご主人が24万円ほど、奥さんは15万円ほどです。ご主人だけの収入では生活費が不足するので、奥さんは産休終了後、次男を保育園に預け、復職しました。

「家計簿はきちんとつけてないので……」と、奥さんは恐縮しながら家計表を出してきました。通帳やレシートを参考に作成したそうです。見ると、住居費や生命保険、教育費、自動車関連費用などの固定費が高額になっています。交際費も他の家庭に比べると高めです。結果として、ボーナスなどで補填しないとやりくりが難しい赤字家計になっていました。

住宅は「早いうちに所有するほうがいい」とご主人のご両親に言われ、10年ほど前に頭金なしで購入したそうです。住宅ローンは「2人分の収入を合算して借りられるところ」という基準で金融機関を選んだため、金利などを意識しておらず、奥さんの収入がないと返済が難しくなる状況です。

生命保険はご主人の親類の方の紹介で加入したそうで、特約が付いた掛け金が高めの商品です。教育費として計上しているのは、お子さん2人が通う保育園の保育料と、ご主人のご両親の勧めで長男が通っている英語教室とスイミング教室の月謝です。

ここまで聞いていると、ずいぶんと支出項目のなかに、「両親」「親類」というキーワードが出てきます。交際費や自動車関連費についても、ご両親が影響しているのではないか――と思い聞いたところ、的中でした。

自動車はほぼ帰省のためだけに使っており、毎週末、片道1時間程度のご両親宅に行っているそうです。「孫に会うのを楽しみにしているし、仕送りしていないから手ぶらで行けないでしょう?」と、ガソリン代のほか、お土産代も結構かかっています。

家計表は赤字なので、どのようにやりくりしているのか聞いたところ、クレジットカードのキャッシングで回していると、奥さんが泣きそうな表情で話してくれました。これは家計表には記載されていませんでした。キャッシング総額は80万円ほどあり、毎月2万円の返済をしています。これも家計を圧迫する要因でした。

キャッシングの話をご主人は初めて聞いたそうで、「お金を借りているなんて……」と驚いていました。しかし、支出が膨らむ背景には、ご主人のご両親が影響しているわけで、奥さんはご主人の親孝行の思いに応えようと頑張っていたわけです。

「ご両親のところには毎週帰らなくてはいけませんか?」「保険は変えられませんか?」「支出を減らさないと、何も変わりませんよ」と私がご主人に言うと、ようやく気が付いたようです。そして、支出削減のプランに取り組みました。

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