甘エビより甘い「猛者海老」、希少なカニも取り寄せでニッポンのうまいもの

日経トレンディ

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早朝の鳥取市賀露港。底引き網漁を終えた船が着岸し、水揚げ作業が始まる。セリ場にはハタハタやカレイといった日本海の幸が続々と運び込まれるが、そのなかにひっそりと「紛れ込む」エビがある。「モサエビ(猛者海老)」だ。

水深200mほどの深海に潜み、山陰沖が主な漁場。9月から5月末にかけて底引き網漁で取れるが、その量は非常に少ない。さらに、鮮度の劣化が早いため、ほとんどが地元で消費される。

だが、冷蔵・冷凍技術の向上により、最近では取り寄せに対応する販売店も増加。例えば、賀露港にある「かねまさ・浜下商店」では、セリで鮮度の良いものを仕入れられれば、冷凍せずに生のまま冷蔵で送ってくれる。

鳥取を中心とする山陰沖で水揚げされるモサエビは際立つ甘さと濃い味噌が特徴

口に含むと味の濃さに驚く。一般の甘エビに比べるとその差は歴然。甘みがものすごく強いのだ。刺し身はもちろん、頭を味噌汁にすれば濃厚な風味を余すところなく堪能できる。11月~2月の間は、ほとんどの船がズワイガニを狙って目の粗い網で漁をするためエビの漁獲量はさらに減る。新鮮なモサエビを求めたいなら、10月中か、3~5月が狙い時だ。

全身に鋭いトゲがある「オニエビ(鬼海老)」は、さらに希少性が高い。モサエビの50分の1から100分の1程度しか取れないといわれる、まさに幻のエビだ。大ぶりでしっかりとした歯応えがあり、非常に甘い。味噌は独特の味わいで絶品だ。生ではほとんど出回らないが、船内冷凍したものなら手に入れられる可能性がある。

カニにも希少な逸品はある。例えば、ワタリガニの一種である「どうまん蟹」は、温暖な地方の、しかも海水と淡水が混ざる水域にのみ生息し、沖縄や浜名湖など取れる場所が限られる。殻が硬く、爪は木づちなどでなければ割れないほど。「どう猛で動き回るため、身は筋肉質」(浜名湖産どうまん蟹を販売する魚魚一)で、食べ応えがあった。

上海蟹と近縁種の「モクズガニ」も、一般には出回りにくい。水質の良い川にのみ生息し、取れてもほとんどが地元の飲食店や旅館で消費されるからだ。通販サイト「山米鮮魚」では、兵庫県産の活モクズガニを販売。ただ、常に取れるわけではなく、入荷次第の発送になる。上海蟹と同じようにゆでて食べる他、良質なダシが出るので味噌汁や炊き込みご飯にも最適だ。

一方、イカは地元漁師が密かに楽しむ珍味に注目。鮮度の劣化が早いため一般には流通しない「イカの腑(内臓)」だけを、実は取り寄せできる。マルキョウスマイルフーズ(青森県八戸市)の「活イカレバ刺し」は、水揚げ後すぐに処理をして凍結。生で取り寄せ可能だ。

凍ったまま7mm程度の厚さに切り、半解凍の状態で食べるのがよい。舌でとろけ、腑の濃厚な味わいと磯の香りが広がる。酒の肴にうってつけだ。

モサエビ(鳥取):地元以外へ出荷されるものは僅か 甘エビをしのぐ甘みと旨みが魅力

店では、店頭でモサエビを使った天丼を提供している

鳥取を中心とした山陰沖が主な漁場で、9月から5月末までの底引き網漁で水揚げされる。漁獲量がとても少なく、ほとんどが地元で消費される。ズワイガニ漁の最盛期である11月から2月頃までは水揚げが減り、入手はさらに困難に。見た目は悪いうえに鮮度も落ちやすいが、甘エビよりも味が濃く、甘みが強いのが特徴。刺し身の他、味噌汁に入れても濃厚な風味を楽しめる。

【ココで買える】

かねまさ・浜下商店 http://www.hamashita.jp/

モサエビ 約100g・400~650円(税込み・送料別)

[注]価格などの情報は2015年9月中旬のもの。時期や漁の状況によっては変わる可能性がある。また、商品によっては品切れになる場合も

オニエビ(兵庫):殻がトゲに覆われた希少エビ 味噌は濃厚で独特の味わい

全身がトゲだらけで殻はむきにくいが、食感は良く、食べ応えがあった

標準和名はイバラモエビ。水揚げ量はモサエビの50分の1から100分の1程度といわれ、希少性がさらに高い。大ぶりで殻がトゲだらけなのが特徴。味は非常に濃く、歯応えもしっかりしている。味噌はやや個性的な味わいで通好み。加熱するとより甘みが増すため、炭火焼きがお勧めだ。

【ココで買える】

山米鮮魚  http://www.yamayone.com/

浜坂産 おにえび(船内冷凍)約800g~1kg・8800円(税込み・送料別)

越前エビ(福井):>漁獲量は甘エビの10分の1 鮮烈な甘さと食感が魅力

鮮やかな赤色の甘エビに対し、やや茶色っぽいのが特徴。焼くと甘みがさらに強まる

福井名産の甘エビを狙う網の中に少量だけ混ざるエビ。標準和名はトゲザコエビで、取れる量は甘エビの10分の1程度といわれる。生での流通は難しく、取り寄せできるのは船内凍結品が基本。身は滑らかで、甘エビ以上に甘さを感じられるのが特徴だ。

【ココで買える】

荒海倶楽部  http://araumi.jp/

越前えび 約500g・2450円(税込み・送料込み)

どうまん蟹(静岡):かむと旨みがあふれ出す、浜名湖名産の“ワタリガニ”

殻が硬く、木づちなどで割って食べる。魚魚一は蒸したものを発送

淡水と海水の境目辺りにすむワタリガニの一種。漁場は沖縄や浜名湖などの一部に限られる。漁に出ても取れない場合が多く、漁獲量は毎年大きく変わる。爪は肉厚で弾力があり、かみ締めると濃厚な旨みが染み出た。

【ココで買える】

魚魚一 http://www.totoichi.com/mailorder/

浜名湖特産 幻のどうまん蟹《中》 100g当たり1300円(税込み・送料別)

モクズガニ(兵庫):日本で取れる貴重な「上海蟹」 風味豊かなダシを楽しめる

低温だと死んでしまうため、生きたまま常温で配送する場合が多い
味噌がたっぷり

川ガニの一種で、「日本の上海蟹」ともいわれる。漁期は8月から12月末頃までだが取れる量は不安定で、通販サイトでは入荷次第の発送とするところが多い。味わい深いダシが出るので、味噌汁や炊き込みご飯などにも向いている。

【ココで買える】

山米鮮魚 http://www.yamayone.com/

もくずがに(活生)オス・メス混ざり 1kg前後・3500円(税込み・送料別)

イバラガニ(北海道)

道外ではほぼお目にかかれない 味が濃く、旨みは本家タラバ以上

ゆでた状態で2kg前後のものが中心。脚1本でもかなりの食べ応え。炭火で焼くと、甘みや旨みが増して絶品に

イバラガニモドキ、通称イバラガニは、タラバガニより深い海にすみ、漁獲量が極めて少ない。国内では羅臼沖が有名な漁場だが、常に取れるわけではなく、予約販売とする店が多い。タラバに比べてトゲが多く、色が薄いのが特徴。タラバより価格は安いが、旨みが濃く食べ応えがあった。

【ココで買える】

知床三佐ヱ門本舗 http://www.siretoko.com/

いばらがに 約2.4kgのもので2万4300円(税込み・送料別)

タカアシガニ(静岡):ズワイ、タラバとは異なる食感や風味 「世界最大のカニ」の大迫力を味わえる

脚を切って蒸し上げると、スルリと殻から抜けた。エビのような歯応えに驚く

沼津市戸田地区で水揚げされる世界最大のカニ。水族館でおなじみだが、食べられるばかりか実は取り寄せも可能で、生の状態で届く。プリプリした食感や、独特なクセのある濃厚カニ味噌が特徴だ。漁期が限られるため取れ次第の出荷となる。

【ココで買える】

伊豆グルメ http://www.rakuten.co.jp/izugourmet/

世界最大の蟹 高足蟹 2.5kg前後のもので1万8000円(税別・送料別)

呼子イカ(佐賀):取れたてのイカを急速冷凍、生に近い透明感と食感が蘇る

玄界灘で取れた新鮮な剣先イカを、板前が一本一本活き造りにしてから瞬間冷凍。流水解凍すると、向こう側が透けるほどの透明感が戻るのは驚きだ。活イカに近い適度な弾力が感じられ、口いっぱいに甘みが広がる。

【ココで買える】

いか道楽 http://www.ikadoraku.co.jp/

呼子イカ・瞬間凍結いか活き造り・舟盛 1杯・2500円(税込み・送料別)

イカの腑(青森):漁師だけが知る伝統の味 急速冷凍で鮮度をキープ

地元漁師の酒の肴として愛されてきたイカの腑(内臓)。急速冷凍したものなら、取り寄せが可能だ。凍ったまま7mm程度にスライスしてルイベのように食べるのがオススメ。臭みは少なく、クリーミーな味わいだ。

【ココで買える】

マルキョウスマイルフーズ47CLUB店 http://www.47club.jp/04M-000034vyj/

活イカレバ刺し 3本パック 1本60~70g×3本・1080円(税込み・送料別)

[日経トレンディ 2015年11月号の記事を再構成]

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