ここ数年、NHK朝の連続テレビ小説(以下、朝ドラ)は、大ヒットが続いている。ヒロインを務めた杏、吉高由里子、土屋太鳳、波瑠らは、幅広い層に支持を拡大した。2016年4月スタートの『とと姉ちゃん』でヒロインを演じるのは、『ごちそうさん』で東出昌大の妹役を演じ、演技派として評価が高い高畑充希。雑誌『暮しの手帖』の創業者をモデルとする主人公・小橋常子を演じる。
「朝ドラのヒロインは大きなものなので、自分に務まるイメージは正直なかったです。撮影はまだ徐行運転という感じで、今撮っているものが数カ月後にはたくさんの人の目に触れることに、まだピンと来てないです。始まる頃には、自分はどうなってるのかなって。
私は人の先頭に立つのがあまり得意ではなくて。でも、2015年に入って、お仕事で真ん中に立たせてもらうことも出てきて、真ん中って、すごい場所だなと思います。朝ドラの撮影が始まる前は引っ張っていく気まんまんだったですけど、いざ始まってみると、そんな余裕はなくて。まわりに助けてもらうタイプの座長になりたいです」
面白い役は自分でやりたい
「(2015年の)春まで『未来ロケット』でMC(番組の進行役)も務めさせていただいて、大好きな番組でしたが、バラエティーは、しばらくおやすみでいいかな(笑)。お芝居がしたいです。いろんな考え方があると思いますが、演者は見ている人が、イメージがあまり混乱しないようにその人の余計な情報がないほうがいいのかなと私は考えてます。
視聴者のみなさんには私はきっと、(チョーヤやNTTドコモの)CMでやたら歌う人っていうイメージじゃないかな(笑)。15年末にはライブもやりましたが、お芝居が一番やりたいことなので、歌は私のチャームポイントのひとつとして使っていただけたら、うれしいです」
16年の高畑充希の「挑戦」は、朝ドラだけではない。1月クールは、月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジ系)にレギュラー出演している。
「役がごちゃごちゃになりそうなので、衣装や髪型でスイッチを入れてもらってます。でも、私は忙しいときほど、人に会って、パワフルになるかも。フットワークがすごく軽いところが長所です(笑)。
面白そうな作品があると、ほかの人がこの面白い役を演じるくらいなら自分がやりたいと好奇心が先走ってしまって、「やります」と言っちゃうんです。『問題のあるレストラン』の撮影中も同時に舞台をやってましたが、どっちかを選んでいたら、後悔していた気がして。その経験があったので、今回も朝ドラと月9って大きく出てしまって…。なんとかなるはずだと思ってます(笑)。始まると、必ず終わりますし!」
16年6月にはEXILE/三代目J Soul Brothersの岩田剛典とのダブル主演による映画『植物図鑑』が公開される。有川浩の小説が原作で、高畑はピュアな恋愛映画のヒロインを演じて、新しい魅力を見せてくれそうだ。
「朝ドラも元気な役でずっと走っているので下駄で走るのがうまくなりましたが、『植物図鑑』の撮影でも、商店街の通りをまるまる走りました。運動が苦手なのに、なんで走る役が多いのか(笑)。
『植物図鑑』も、景色のシーン以外は私がずっと出てます。でも、朝ドラはそれが10カ月間の撮影の間続くので、ハードルを超えたら、もっと高いハードルが目の前に来るんだなと。これをやりきったら、怖いものはなくなるかなって。
朝ドラが終わったら、秋に家族とイタリアに行くともう決めています。絶対、行きます。そこだけは、お仕事を入れない(笑)」
(ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント! 2016年2月号の記事を再構成]