「健康祝金付き」医療保険は得か 4事例で検証

日経マネー

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契約はしたものの、細かな内容はよく知らない――。生命保険や損害保険の契約者の中には、こんな人も少なくないだろう。だが、保険は契約条項ひとつで受けられる補償が大きく変わる上、新たなサービスも続々と登場している。本コラムでは、生命保険と損害保険を交互に取り上げ、保険選びの上で知っておきたい知識を解説する。今回は、数年おきに「健康祝金」を受け取れる医療保険サービスの損得について考える。

医療保険に入りたいが、掛け捨ては損だ──。そう考える人に健康祝金付き医療保険は魅力的に映る。健康祝金(以下祝金)の部分が高利回りに思えるからだ。

例えば、アクサダイレクト生命の終身医療保険に祝金特則を付けると、月々約1000円の追加で3年ごとに5万円が受け取れる。3万6000円の負担で5万円もらえるなら、得かもしれない。だが、「3年間の給付事由なし」、すなわち医療保険を使わないことが条件だ。

表は「祝金付きの終身医療」「祝金なしの終身医療」「定期医療(期間10年)」の比較である。4つの状況を仮定し、給付から支払った保険料を引いた額を算出した。

※保険料は35歳男性で計算。定期医療の保険料は男女共通。終身医療保険はいずれも終身払い。▲はマイナス

パターン(1)では終身医療の給付額が2万5000円なので、請求せずに祝金5万円をもらう方が得だ。そのため、給付請求しないと仮定している。これは、免責5万円の保険を3年ごとに更新するようなものだ。「入院なしの手術も保障」「入院1日目から保障」は絵に描いた餅になる可能性が高い。

祝金なしの終身医療の保険料1450円は、祝金付きの終身医療本体価格と表面上は同じだが、後者が実質的には免責5万円だと考えると、もっと安くなるはずだ。その分が祝金の表面上の高利率につながっているのではないか。

老後は“卒業”を検討

終身医療同士を比べると、(1)から(4)いずれも祝金付きが有利だ。だが、累計保険料は祝金なしが19万4400円少なく、家計全体では祝金なしの方がプラスである。

事例は全て1回のみの給付が前提だが、同じ30万円の給付でも3年に1回10万円ずつなど、査定期間の3年をまたぐ給付だと祝金がなく、受取額は小さくなる。

定期医療保険は終身より費用対効果が高く、祝金付きの累計保険料との差は28万2000円だ。ただし、10年ごとに保険料が上がり、費用対効果は徐々に悪化する。

「保険料が一定で保障は一生涯」が終身医療の強みだ。しかし、平均寿命は90歳に迫る。多少の入院はあっても、給付とは無縁の日常がはるかに長いし、医療制度も変わる。現役時代は費用対効果がいい割安な保険を活用して貯蓄に励み、老後は保険を卒業したい。

内藤眞弓(ないとう・まゆみ)
生活設計塾クルー。13年間の大手生命保険会社勤務の後、FPとして独立。生活設計塾クルー取締役を務める。『医療保険はすぐやめなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表。

[日経マネー2016年1月号の記事を再構成]

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